FOU’s blog

日本の大学 今 未来

大学職員として働くなら結局どこが一番よいのか考えてみる

一部の若者の間では絶大な人気のある就職先としての大学職員。いろいろなブログでは私大大人気。確かに楽勝の部分もあるかもしれません。筆者自体はブラック・ホワイト・高給・夏休み・残業などの概念を感じながら大学で仕事してきた訳ではありません。筆者の知る大学の状況はお話できますがお仕事のマッチングは人によっていろいろと思いますので、セカンド・サードオピニオンとして使えれば参考にしてみてください。

大学職員になるには

筆者が採用された頃は、普通に国家公務員採用Ⅱ種試験(もしくはⅢ種)を受けて合格者名簿に載るといわゆる法務省経産省等々同様国立大学に官庁訪問します。例えば(人事院経由で)京大の人事課などとコンタクトをとり面接して内定をもらう感じ。当時は行革前で国立病院(厚労省)や国立大学は不人気官庁で面接すればだいたい内定をもらえる状況。(参考までに他に受けると簡単に内定もらえるところ(当時)は、法務局(法務)、入管(法務)、公安調査庁(法務)あたりはいろいろあって人気がない官庁。それが国立大学が法人化して国家公務員から外れたので独自試験に変更。それからは一応大卒レベルのエリア別の試験となりました。試験の難易度は地方公務員や同じようなカテゴリーの中では比較的合格しやすい方の試験のようです。現行の試験との身分上の違いは、国家公務員合格者の場合、もちろん文部科学事務官の官職をもちますが、何か職務上の必要性があれば他省庁(例えば農林水産事務官etc)になることができます。それが現行の個別試験の場合は、主管官庁の文部科学省事務官にしかなれません。(以前そう聞いた記憶がありますが、現在はちょっと不明)。また、文科省でのお仕事はもちろん行く気があれば文科省所管機関のハワイ天文台や南極基地とかでの事務職に就けます。※この話をここまでお読みになって So What? と感じる人は多分国立大学は向いていないかもしれません。

公立大学が一番やっかい。例えば関西なら、大阪市大あたりは独自募集をしていますが兵庫県立大は県からの出向者と非常勤職員のみ。その出向者は数年で県に戻ってしまいます。そのような公立大学が全国的には圧倒的多数だと思います。そんなんで特に地方の小規模公立大学でプロパーで働きたくても求人自体がありません。さらに地方公務員にとって大学で働くということが自身のキャリアパスにならないポジションと考えられていて、ちょっといろいろあってエリート地方公務員からドロップアウトした感じの人が多く見られるように(筆者は)感じます。

そして私立大学。こちらは採用を法人独自に行なっているのでそれぞれに聞くしかありません。参考までに筆者が最初に働いた私大は、大学のゼミの教授が大学の就職部長をやっていて突然『こんなとこあるけどどーだ?』と言われ面接一回で内定をもらっています。

働いてみたら

いくつかのブログを眺めていると『私立大学は仕事が楽勝で給料が高い』という評価をしているのをよく見ます。それは確かに間違ってはいないので楽勝私大を探してみるのも良いと思います。筆者個人的に『ちょっとなあ…』と感じるのは、大学内では高給取りで楽ちんだとしても日頃の(基本的に単調で飽きやすい)仕事ばかりやっていると有事の対応が出来なくなりそう。今の日大をみていると筆者はそう感じます。また、そんな私大にはアホみたいな職場の伝統文化があるところが多いので、そんなものへの耐性も仕事のうちとして必要になります。それとお金の面でいうと、今、大学で働いている事務系職員の半数は低賃金で雇用されている非常勤の方に依存していることも忘れない方が良いと感じます。また、小規模大学なら何十年も同じキャンパスで同じメンバーと働くのは結構疲れるもんです。お金もそうかもしれませんが、そんな大学に入ってからもどれだけモチベーションを維持してがんばるかで伸びる人は伸びていくんだと思います。

公立大学は書いたとおり地方公務員が大学職員をやっていますので割愛。なお、国立大より大学の仕事を知らない地方公務員の方が明らかに給与水準が高いのも(筆者が)イラッとくるところです。

国立大学はぶっちゃけた話、給与面での待遇は一番良くありません。でも良いところもいろいろあります。2~3年で確実に異動があるので、人間関係も含めて気分的に楽。また、希望を出せば他機関への異動もできます。文科省を除いて、関西圏なら、例えば京大からなら、北陸先端科学大学院大や奈良先端科学技術大、国立民族学博物館万博公園)、日文研若狭湾少年自然の家、曾爾少年自然の家、各高専あたりが定番ルート。首都圏なら各大学から大学入試センターJASSOJSPS放送大学国立オリンピック記念青少年総合センターあたりの交流人事が良く聞く行き先。こんな交流人事は若いうちは好き嫌いがあるかもしれませんが、筆者みたいに歳をとると『若いうちはどんどん行く方がいい』的な考えに変わっていきます。なお、読んでる人の中には強制的に行かされるイメージを持つかもしれませんが(確かにそういう側面はありますが)最後は自分の判断でお断りできますのでご安心ください。

もちろん国立大の職員もいろいろでやる気のない人たちもたくさんいますが、異動と他機関交流などの機会を活かし一生懸命やると私大や公立大の職員では得られない経験と知識を持つことができます。月並みですが、入ってからの頑張りが大切です。また首都圏以外の人にはなじみが薄いですが文部科学省文教団体職員採用試験というのがあってJASSOJSTJSPSなどのプロパーになりたいのなら情報収集してみてください。給与は通常の国立大職員よりもお高いですしお仕事的にもかなりのポジションまで進むことができます。国レベルの教育行政部門で働きたい人はお勧めです。ただしかなり難関の試験です。

沖縄で働いてみる

この項で筆者が話をしているのは首都圏や関西圏エリアの国立大学の話。北海道・東北エリア、四国・山陰エリアの国立大は状況が異なってきます。アナ?狙いなら琉球大学が楽しそうです。給料はともかく若い人なら沖縄への移住も視野にトライしてみるのも良いと思います。職員も普通にかりゆし(ウェア)でお仕事もできるところも(国内で)異文化体験できて楽しめます。

【写真1】琉球大学 大学構内の茂みにはハブがでます。

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【写真2】琉球大学 建物には普通にシーサーがいます。

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沖縄に関しては、普通の人たちには知名度が高くありませんが沖縄科学技術大学院大学もオススメ。誰が作ったかややこしくて、一応最初のうちは国が作ったのですが、文科省ではなくて、内閣府が(沖縄振興の目的を含め)作った(一応)私立大学。日本でもっとも国際化された大学といえ(国際教養大学などのレベルではなく)全てが世界標準で大学が動いています。職員募集はよく行なわれていますが、恩納村という地域性と業務のハードルが高過ぎて良い人材が集まらないように感じます。大学の周りはキレイな海岸線が続きハブさえ注意すれば自然を堪能できる場所です。なお最近は国立大学などとの人事交流をやっているようですので国際交流に自信のある方は(まずはお試しで)トライしてみてください。

まとめ

あまりまとまりませんが、基本的にお金目当てなら私大で間違いは無いと思います。(筆者毎度のコメントで恐縮ですが)私大は法人により社風・文化が異なることを理解する、公立大は(働くことについては)オススメできない、国立大学は給料は安いけど働きやすい、のイメージでお目当ての大学を選べば良いと思います。

 

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兵庫県にある大学 まだコメントしていない大学がありました

阪神間(神戸側)にはまだまだ大学があります。筆者個人的にはもう少し魅力がある大学があってもいいのにと思います。さらっとざっくりのショートコメントですが、セカンドオピニオンとしてご参考にでもなれば。

神戸大学

メインの六甲台キャンパスの一番近い最寄り駅は、阪急神戸線六甲駅。また、JR神戸線六甲道駅からもバスが出ています。昔々諸般の事情があって神戸大学さんに出張に行ったことがあります。その時、担当課の課長と課長補佐のコンビが、とても手厚い?サービスをしてくれて、帰る時、事務棟の前には阪急タクシーさんが止まっていてチケットまでいただきました。ありがとうございました。神戸大の六甲台キャンパスの場合、要所に阪急バスのバス停があるし、行きと違って帰りはずっと下り坂なので歩きでも大丈夫なのですが。マクラが長くなりましたが、神戸大学の問題点は坂道がキツイことぐらいであとは良い大学です。系譜としては、旧官立大学(商業大学)が起源で一橋大学さんと同じような時期に設立されています。この三商大(もう一つは大阪市立大学)の系譜が息づいて社会科学系の分野が強いところが特色。筆者個人的には理工系のがんばりがもう少しあった方が良いような気もします。特色のもう一つに神戸商船大学との統合があったので全国的にも少ない海事関係の学びができることも魅力。坂はキツイですが、筆者としては、間近に海もあり山もあるとても良い環境にあるので関西圏以外の人も学んでもらいたい大学だと思います。

関西学院大学

阪急電車神戸線西宮北口駅西宮ガーデンズ前)で今津線に乗り換え宝塚方面へ。最寄り駅は甲東園駅。場所的には伊丹空港の滑走路の西側、また仁川駅には阪神競馬場があったりするところ。この路線、関西圏以外の人には馴染みがないかもしれませんが高級住宅地アリア。特に甲東園にあるキャンパスは美しく、その光景にあこがれて入学する学生が多いんだと思います。筆者個人的には(受験偏差値は高いのですが)この大学で行わている教育や研究にピンとこない部分が多いでコメントは控え気味。もちろん関西でいう関関同立の一つであり、他の私大と比べれば相対的に高いところに評価されています。関西圏での大学受験の際には欠かせない大学と言えます。

神戸女学院大学

この大学も阪急今津線門戸厄神駅が最寄り駅。(筆者の認識では)関西で一番の女子大。英語名称は Kobe Collegeで通用。筆者が大学生だった昔はもっと受験偏差値の高い難関大学だった記憶があるのですが、今でもそれは色あせてはいません。学生数も無理に増やさずリベラルアーツのスタイルでやっているのも好印象。建物も阪神間モダニズムの時代的な雰囲気で良く整備されています。多分、これからも現在と同じスタイルの女子大でやっていける良い大学だと感じます。また、卒業生(Alumni)には、笛吹 雅子さん、赤江珠緒さん、有働由美子さんなど、なぜかアナウンサーで働いている人が多いのが特色。在学生は関西圏の学生が多いようですが、この雰囲気の良さは首都圏その他に住む方にもお勧めできます。

兵庫医科大学

阪神電車本線に乗っていると武庫川駅という駅があります。この駅の作りはとても面白くてプラットフォームが川の上にあってお客んさんは川の両岸で乗り降りすることができます。その駅の西側出口を出るとこの大学の西宮キャンパスの施設が立ち並んでいます。ただ、筆者にはこの大学はあまり知識がありません。基本的には臨床医を目指す医学部と考えれば良いと思います。また、医療系大学との統合があり2022年度4月からポートアイランドキャンパスにある兵庫医療大学薬学部・看護学部etcが兵庫医大の中の学部となります。一般的に自前の大学病院で研修できるメリットは大きいと思います。

武庫川女子大学

こちらも阪神電車本線の鳴尾・武庫川女子大前駅に一番大きな中央キャンパスがあり、兵庫医科大学さんのキャンパスとは隣接しています。その兵庫医大さんとは、薬学部と看護学部が競合するすることになります。この女子大の特色は規模。学生数が8000名を超え、キャンパス自体の雰囲気は、日本の私立総合大学的な背の高い建物が立ち並ぶ感じで神戸女学院大学さんとは対照的です。こちらも筆者の知識不足もありこの大学の評価は難しいところですが、なんで女子大でやる必要があるのか、とその中で価値を見出すことができるのか、あたりが大学選びの際のポイントになると感じます。

神戸学院大学

最近、摂神追桃という言葉を知りました。表現的には、産近甲龍の下、首都圏で言う大東亜帝国に相当する大学だそうです。昔は神戸市の西端伊川谷という場所にのみキャンパスがあったのですが、現在は、ポートアイランドにキレイなキャンパス作りを行なっています。コロナワクチンの接種で大変だった頃は、神戸市にポーとアイランドのキャンパスを接種会場として提供しています。で、実際の大学の状況ですが、所謂誰にでも門戸を拡げているレベル。筆者の認識では他の地域の人は(他に選択肢はたくさんあるので)わざわざこの大学で学ぶために神戸に来る必要はないと思います。

 

最近のJR西日本の車内広告で大学を考えてみる 特に徳島大学さん

日常のありふれた出来事。筆者はJR神戸線をよく利用します。車内のどこかに大学の広告を見かけることが良くあります。

なぜか徳島大学さん

最近一番おっと思ったのが徳島大学さんの広告。よく読んでみると理工学部の中に光システムコースというのができ、そのPRのよう。地方国立大学の場合、それぞれの地域に根差し、その中でキラッとしたオンリーワンがあるような大学を作ることが大切ですので(文科省の役人の月並みコメントのようですいません)そのあらわれのように感じました。なお、他の四国の国立大学 香川大学さん、高知大学さん、愛媛大学さん、そしてもう一つ、鳴門教育大学さんもそれぞれのホームページがとてもきれいで見やすくなっていました。現実的には首都圏や関西圏から四国の大学を目指す受験者は少ないのが辛いところですが、少なくとも四国に住んでいる受験者には地元で学べる魅力ある大学こと知ってもらうことは非常に良いことだと思います。

www.tokushima-u.ac.jp

www.opt.tokushima-u.ac.jp

奈良先端科学技術大学院大学さん

駅構内や車内広告を通年の感じでずっとやっています。奈良先端科学技術大学院大学は関西圏以外ではなじみがないかもしれません。1980年代に大学院を充実させましょうという動きがあって、その中の先端科学技術大学院構想により設置されたのがこの大学(同時期に北陸先端科学技術大学院大学も設置されています)。学部のない先端研究のみの大学院ですから、ターゲットは大学院を目指そうかと考える学部3~4年生か研究職の社会人が中心となるのでどれだけの意味合いがあるのか筆者には謎ですが、学生の募集とともに大学の知名度を改めて拡げることが必要なのかもしれません。

www.naist.jp

その他にも

JR西日本管内の東海道線神戸線京都線)は、米原滋賀県)~京都~大阪~神戸~姫路~播州赤穂(お隣はもう岡山県)を走っていますので、その沿線にある大学の広告を見ることができます。大学のイメージアップとオープンキャンパスの情報を中心とした関学さん(駅構内)、神戸薬科大さん、京都先端科学大さん、京産大さん、神戸学院大さんなどなど。また、駅構内には時節柄大阪公立大のものも。

歳をとり大学を知りすぎた筆者の目線と大学受験をこれから考える人たちの目線は異なるかもしれませんが、今回紹介した徳島大学さんのように多くの人たちに大学への興味をもってもらうことは必要なのかもしれません。少なくとも筆者は徳島大学さんの取組みをしる機会になりました。特に若い人は電車の中にどんな意図で大学の広報をやっているのか考えてみることは良いことなのかもしれません。

2022年の大学を関西目線で考えてみる

2022年が始まりましたのでこの4月(令和4年度)から関西圏での大学の動きについて筆者なりに考えてみたいと思います。結論は大きな変わりはなしです。大学入試の制度は変わりますが、大学自体はあんまり新しい動きはなさげ。なお、本ブログは大学入試を中心としていませんので受験動向等を知りたい人にはあまり参考にはなりません。他のブログをお探しください。万一今年の受験生が見ていたら、こんなことには流し読みで十分、いろなんことに惑わされず我が道を進みましょう。

大阪公立大学の動き

関西での2022年最大の目玉。英語名称などですったもんだがありましたが、大阪市立大学大阪府立大学が一つになって大阪公立大学が誕生します。多くの人は(なんとなくイメージ的に)統合したらいいことがいっぱい起こって今よりもっと良くなりそうに思うかもしれませんが(筆者はネガティブで)現状維持と考えています。例えば医学部と獣医学部が連携して何かやるとか、副専攻で創薬で頑張るとかHPで言ってますが、(よくよくというか普通に考えてみれば)医学と獣医学の連携なんて実際に出来ることなんて大してないだろうし(何か良いことがあるならどこかが前からやってる)創薬についても、それなら創薬に強い薬学部を作ってしまう方が手っ取り早い気がします。そんな感じで新大学HPに描かれているものの多くは『こんなふうになったらいいなあ』レベル。また、2025年開学予定の森ノ宮新キャンパスもまだまだ設計段階で青写真として形に表すこともできていません(この新キャンパスは確かに都心まっただ中にありますが、駅からかなり歩く必要があります)。今後も新型コロナ感染症対策で大阪府大阪市とも大きな財政支出が予想される中、さらに2025大阪万博の準備もあるので、予算上のお財布は別組みとはいえ、いろいろ支障がでてくるかもしれません。また、現在の府大(理工系中心)と市大(人社系中心)の(ホントはどちらも嫌々統合する中での)将来構想のすり合わせも解決されていません。もともとたまたま同一政党の府知事・市長が、大学が二つもあるんはムダや!という考え方で統合を(周囲の反対をよそに)決定し、それを(大学経営を知らない)もっちゃりした地方公務員が統合作業をしているのですから明るい将来を見据えるのはちょっとしんどいかも。

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京大・阪大・神大の動き

どの大学もがんばっています。少し前の国立大と比べると学生の喜ぶキャンパス整備が進み学びやすい環境が私学並みになりつつあります。特に(まだ工事中ですが)北大阪急行線箕面船場阪大前駅直結の外国語学部の新キャンパスと近所に出来た大規模な留学生を中心とした宿舎(というか大規模マンション)は必見。特に阪大は、吹田・豊中両キャンパスが長年の整備がほぼ完了しとてもきれいになりました。その理由の一つとして、京大と阪大は指定国立に指定され(もともとなりたい!と大学側が申請したのですが、、)、今まで以上にやっていかないといけないお仕事(国際、研究等々で数値化しないといけないもの)が増えることにはなりました。でも、それは大学で学ぶ人たちには朗報だと思います。関西圏では、今は学力が足りない人も1年浪人してがんばれそうなら、この3大学をターゲットにするのが一番だと思います。

関関同立の動き

2021年と代わり映えなし、大きな動きは無さそうです。強いて気になることと言えば関学さんのHPやJRの車内広告でよく見る三田キャンパスの理工系学部と大学院に力を入れている様子。ただ、普通に電車通学して大阪から1時間(駅まで)かかるのは遠すぎ。他にも直通バスを各所から出していますが有料(それもお高め)なのでかなりがっかり。国立大の理工系学部のイメージでは、研究の進展が進む3~4年次になると実験やデータ取りのためかなり遅くまで研究室にいる日が出てきます。学生さんにとっては過酷な毎日になるかもしれません。また、大学院については、どの研究科もしっかりした学生が入学し定員を充足するようにがんばる必要があります。これらの大学たちに興味のある受験生は事前の大学情報のデータ収集を怠らず、受験予備校の偏差値を信じて試験を受けてみることになります。

産近甲龍の動き

こちらも無風。近大さんもそろそろマグロパワーに衰えが見えてきたので本当の大学力で勝負していく時期になってきたと思いますし、その他の大学もあんまり変わった感じはありません。筆者的には、ちゃんとした大学での学びができるボーダーがこの産近甲龍だと思っています。※今ここで話をしている大学以外は筆者個人的には大学としての学びの質が低くなるので、とりあえず学士という学位を取得することだけを目的に4年間を過ごすしかありません。ですので、(大学で何か真剣に学びたい人は)可能であれば、翌年に改めてチャレンジして上位の大学へ行く方が良いと思います。そんな状況の中、このクラスの中では、筆者が地道に少人数で教育研究を行なう甲南大学の姿勢を推す理由があります。

※普通に考えて、(文系で)4年で500万円の授業料もらって、数百人入る大教室に学生集めて一方通行の授業ばかりやってるような私立大学は、偏差値の高低を問わず選択肢から下げる方が良いと思います。

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関西で学ぶか?それ以外で学ぶか?

①文系学部 

首都圏の私立総合大学早慶上智あたりを除けば関西でことは足ります。

②医学部 

筆者個人的には京大・阪大・神大の医学部は国内最上位レベルなので十分だと思いますが、敢えてそれ以外なら、東大医は研究色が強いですが、もちろん悪くはありません。それより東京医科歯科大は関西にはないタイプの医学部で優れた研究もでき優れた臨床医にもなれる良い大学だと思います。

③薬学部 

関西圏が一番恵まれたエリアだと思います。アタマの良い人は、京大・阪大の薬にいけば十分研究職に就けます。反対に言えばこのレベルの薬学部では薬剤師資格は将来のお守りに過ぎない存在。純粋に薬剤師になりたい人は京薬・大薬・神薬を目指して入学し、在学中はいつも真ん中程度の成績をキープしていれば(多分)6年で卒業してすぐに薬剤師になれます。この三薬大はそれぞれに歴史があり薬剤師会などの組織にもOB・OGがたくさんいますので何かと心強いと思います。他のところで散々書いているとおり、ここで書いた以外の大学に行くと(そもそもが学力不足なので)薬剤師国試に向けて授業はハードになって留年する可能性が増します。現役でここに書いた以外の大学へ行くなら一浪して上位を目指す方が結局お得になるかもしれません。

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看護学部 関西圏以外を選ぶ理由・必要は(まず)ありません。それより他の医療系学部以上に入学したら看護師以外の道は(まず)ないことを自覚することが重要。そのようなやることが決まっている学部ですので、基本的には授業料の安さで選べば良いと思います。一生懸命学びたい人は、あまり目立った存在ではありませんが、国公立大の医学部に保健学科的な名称で附置されている看護学科は学べることも多いので目標にするのが良いと思います。授業料も安くて(多少ハードですが)良い学びが出来ると思います。

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その他オススメ 

東京工業大学

東工大って関西ではもう一つなじみがありませんが、首都圏では高評価。京大・阪大など関西にも良い理工系学部はありますが、東京医科歯科大同様、関西にないタイプの大学ですので狙ってみるのも良いと思います。また、大学所在地の大岡山も良い雰囲気のところです。

兵庫県立大学国際商経学部グローバルビジネスコース:

最近、私立大学で、学部の名前に国際とかグローバルとかをつけて一定期間海外の大学で学べる(もしくは海外の大学に教育を丸投げする)プログラムをつけた学部が増えてきました。なお、現地の旅費・授業料・滞在費もろもろ学生持ちにしているのでかなりの金額になっています。筆者は海外の大学で学ぶ・触れる機会があるのは良いことだと思うのですが金額的にはお高め。

ここでご紹介する国際商経学部のグローバルビジネスコースは、国費留学生の優先配置プログラムで留学生を招く一方、同じコースに日本人学生も入学してもらい一緒に寮生活したり、海外研修へ行くといううもの。国費留学生の優先配置は学生を個別に国費留学生として招へいするのではなく、指定されたプログラムに沿って国費留学生を一定数募集・採用するというもの。ですので、このプログラムを実施すること自体、文科省から高く評価・期待されていると言えます。日本人の入学者数は多くはありませんが、留学生経由で海外人脈もできることが期待でき(筆者個人的には)面白い4年間を過ごせると思います。さらに年間授業料は55万円足らず。兵庫県民ならさらにお安くなります。私大の同様のプログラムと比べれば1/3程度のお財布に優しいところも魅力です。難点を言えば場所。三宮から地下鉄に乗り22分、学園都市駅を下車してキャンパスまで寂しい道を10分の歩き。20年くらい前まではおしゃれなところだったのですが、少子高齢化の影響か昼間は人影まばらなところになってしまいました。まあ、前向きに考えれば、学内に出来たばかりのキレイな国際学生寮で生活することになりますのでガマンはできるかもしれません。

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コンドームを大学の売店で買えないことで大学の国際化の立ち後れを嘆いてみる

このお話は読む人によって不快な思いをする可能性?がありますのでR18指定にしたいと思います。というか誰も取り上げてくれないので寝た子を起こすしかなく不承不承とりあげました。

提言 ー大学の売店で気軽にコンドームを買えることから始めてみるー

最近の出来事1 Easy Toys さんが #equality for all になりました

2021年12月にオランダで行なわれたカーリングの国際選手権大会。北京冬季五輪の代表選考会を兼ねていましたのでNHKさんも放映、しようとしたら、放映不能の珍事。その理由が正規のスポンサー広告(会社)である Easy Toys さん。NHKさんの倫理規程に違反するということで(試合はやってるのに)放送を見合わせてしまいます。そしていろいろネゴして広告表示を #equality for all というものに改めてもらい放映再開となりました。で、Easy Toys さんとは何の会社かというとオランダの性玩具の会社。なお、この会社の広告は日本だけでなくアメリカでも問題視され放映しなかったようです。ちなみにNHKが問題視した部分はこの会社の名前自体、特に具体的なそれらしい形状の商品が映し出されているわけでもありません。でも、さすがは皆様のNHKさん、日本国民の気持ちを代弁し、そんな不潔・不浄のなものは(ちゃんと公式スポンサーなのに)映像として映し出さなかったようです。で、こんな感じのこと、日本開催で起こるかな、と考えてみました。開催ロゴとかが気に入らないとか毎回のように言ってくる国のクレームは無視するとしても、国際的・文化的な対立としてなら、例えばクジラ料理のお店がスポンサーになっていたりするとどこかが何か言ってくるかもしれません。ただ、この事例、NHKさんの場合は、オランダでは是認されている性玩具会社がオフィシャルスポンサーをやっていることくらい事前に知っておくべきで開催国の文化的な理解と危機管理が足りなさすぎ、一生懸命頑張ってお金を払ってスポンサーになった Easy Toys  さんへこの仕打ちは可哀想すぎです。このことは日本と海外の社会的・文化的価値観が違うという意味で書いてみています。

最近の出来事2 海外から留学生を日本へ呼ぶときの悩み

最近と言っても数年前、関西の大学コンソーシアム的な集まりでのお話。関西の有力私大の留学生部門で働いているいる人が昨今の留学生の受入れ状況についてプレゼン。彼女曰く、アメリカから(サマープログラムのような短期で)留学生に来てもらうとき、LGBTq的な配慮がますます増加。例えば、留学生の宿泊施設は男女別はダメ。棟毎の男女別がダメならフロア毎で許してもらえないか等々の交渉をカウンターパートナーとやる苦労話を聞かせていただきました。彼女ご自身もアメリカ東部(ボストン辺り)で学んだ経験をお持ちの方なので現地の文化をそれなりに良くご承知でのプレゼンだったと思います。確かにそれはそのとおりで、アメリカ東岸の小さい州がいろいろある辺りと、カリフォルニア州、特にサンフランシスコ周辺って人権、新しい価値観、社会正義に敏感な地域。反対に保守的な傾向の強い共和党の地盤の辺りって(大学はともかく)LGBTq的なものに同意しない人たちもたくさんいる温度差があるのがアメリカと言う国。さらに言えば北米やEU加盟国から外れるともっと異なる価値観を持つ国もたくさんあるわけで、筆者個人的には、いちいち(特にアメリカ人と交渉するときは)相手の言うことを全部鵜呑みにすると、ハラル認証やビーガンのお料理等々の(要らぬ)心配をし、お祈りのお部屋はどうしたものか等々無限ループに陥ってしまいます。(Gender Free(Gender Neutral)のポリシーの重要性はわかるが)アメリカの人には日本では出来ないことは出来ないと恥ずかしがらずにきちんと言わないといけません。コロナ渦も災いして最近海外へ出かける大学職員はホントに見なくなりました。海外の大学の動向もしらないまま国際交流やってる部門にだけ英語が多少話せるスタッフを配置する(押しつける)やり方は反対に大学の国際化の進展を阻んでいるものだと感じます。

日本の大学で未だに未開な部分があることを自覚する

で、最初の提言 ー大学の売店で気軽にコンドームを買えることから始めてみるー に行き着きます。それが初めの一歩。この項でいろいろ述べているように、特に性に関する事については、大学はもとより日本全体が内向きで、さらに海外の状況に疎い上、多くの人は、自分たちの価値観が誤っていない、もしくは干渉されたくないと言う思いが強いのではと感じます。その中で、初めの第一歩としてコンドームのような避妊具ぐらい大学で買えるようにすることからまず始め、普通の人たちの免疫力を徐々に高めていくしかありません。では、実際他の国はどうか?

例えばカナダの場合、多文化多言語主義 Multiculturalism & Multilingualism が国是でもあり、どの大学でも日本では考えられない数の留学生が学んでいます。そんな国ですから、それぞれの肌の色、文化的経済的価値観、政治信条、宗教等々が異なる学生が恋に落ちることもあるわけで(筆者の想像では)性交渉する際の認識の違いとそこから生じるリスクは非常に大きく、それを事前に摘み取る必要があるのだと思います。この考え方は、近年のSDGSLGBTqSOGIのポリシーも加わった社会環境が、少なくとも日本を除くG7諸国とEU諸国では浸透してきています。

昨今の日本の大学では、誰でも使えるユニバーサルトイレを設置みたいなお金のかかるハコモノには熱心ですが、コンドームは売店の中に小さな販売スペースを作れば終わる話。そんなコンドームを大学で売る売らないのレベルで議論が進まない日本は異常すぎ。軽い話のようで深刻な問題だと受け止めるべきです。

結び 海外では『大学生はSEXするもんだ』が前提

海外ではこんな価値観で社会が動いているので、どこでも大学の保健衛生のポータルもしっかりしていて、その中には、必ず性交渉に関する豊富な情報が提供されています。筆者が感じるのはその書きぶりが、安全(Safer SEX)・楽しむ(SEX Positive)そして危機管理 (Sexual Violence) key Word となっていて、個別具体的にどうすれば良いかを細やか解説する形になっています。要は、SEXを行なう時は、両者(性別を問わない)の合意があり、安全に行なうことが出来るよう大学はサポートすると理解して良いと思います。

ですので、特に日本からこのような国へ留学や語学研修に行くときは、渡航先の国では保健衛生のスタンダードが日本とは異なることを十分に注意することが必要です。

最後に、エヴィデンスとして(これでもかっ!ってくらいテンコモリに)リンクを貼り付けています。カナダはもとより UCBerkeley California-Tech のような世界最上位の大学でも当然に、ヨーロッパではカーリング大会での Easy Toys さんが普通にスポンサーになれるくらい普通の世界、アジア圏でも国立台湾大学でも普通に性交渉のカウンセリングを行ってますし、タイの場合、アプローチは少し異なりますが、HIVのような性感染症の防止のためにも性行為時のコンドームの使用は強く推奨され、そのための教育もされています。このような世界の状況を見るにつけ(筆者にしては珍しく自信を持って)文化の違いだけでは済まされない日本の立ち後れだと断言できます。この十年で世界のPhaseは大きく変わっています。ノーベル賞をバンバン出している世界のトップクラスの大学で基本的な Student Service として行なわれていることがすっぽり抜け落ちているんだから非常に深刻な欠落です。

McGill Univ. さんの学生向けの保健衛生ポータル ここは筆者が一年いた大学。通常の医者の診療以外にもSexologists、Psychiatrists、Local Wellness Advisor のような専門職をおいています。これだけでも学ぶところ大です

www.mcgill.ca

McGill Univ. の Shag Shopさん 大学のweb上の案内では ”The Shag Shop is a sex-positive, safer sex and health boutique located in the Healthy Living Annex” となっています。日本の大学がここまでたどり着くのは前途多難。

www.mcgill.ca

McGill Univ. Shag Shop さん で売っているグッズ 性玩具の中にはペニスバンド、低温ローソク(ロウが溶けてもが熱くないローソク)、鞭(痛くないゲーム用)などの(なんだかなぁ~的な)嗜好性の高いものから避妊具、自慰用品(もちろん男女)、妊娠判定薬までをワンストップで大学施設内で購入できます。カナダですからAmazonで十分買えそうですが、学内で販売していることに意味を持たせているんだと感じます。

www.mcgill.ca

Sexual Health Resource Centre, Queen's Univ. さんの取組み

実はこのセンター、筆者がカナダ滞在時の1999年に訪問してインタヴューしたことがあります。※以下にその時の記事を入れています。その意味では筆者がこの問題への関心が高まった『始まりの地』と言えます。場所はToronto(ON)の近くのKingston(全然話は違いますがここはThousand Island dressing 発祥の地)。また、高円宮憲仁親王が学ばれた大学としても知られています。筆者はMontreal(QC)にいましたが、現地で知り合った友人(当時クイーンズ大M在学中)から『クイーンズのセクシャルヘルスはよくやっている』と教えてもらったのが発端。そして今やこのセンターは、単体でwikiにのるまでの存在になっています。筆者がここにのせた各大学のHPはみんな分かりやすいですが、個人的には、日本の大学で同様の取組みを行なうなら、特にQueen's Univ. さんを参考にするのが良いと感じます。

※『カナダの大学で非常に印象的だったのは人権問題の対応と学生サービスの充実です。これらのことは、多くの文化・人権的背景・価値観が交錯するこの国においては、全ての国民が関わる人権問題について注意が払われている印象を持ちます。同様にその中では男女の性に関する差別についても多くの取組みが行なわれています。大学での人権問題の対策ではセクシャルハラスメントや人種差別等への対策のため、幾つものオフィスが積極的、有機的に連携して活動しています。また、ケベック州に隣接するオンタリオ州にあるクイーンズ大学の学生に対する性に関する問題を扱うオフィス(Sexual Health Resource Centre)では、多くのボランティア(学生、教職員、地域住民等)が登録され運営を行なっています。日本の場合、日陰者になりがちな性の問題を非常に積極的に取り上げ、男女お互いのためになるような性であるように問題提起をしています。同時にオフィスではコンドーム等の避妊具を市価よりも安く販売していますが、男性以上に女性の利用者が多いことが印象的でした。』2000年学報2月号(抜粋・一部記載変更・権利関係は問題ないと思いますが、念のため大学名はいれません)読み返してみて日本はこの時から時計が止まったままです。

shrckingston.org

こちらも Queen's Univ. さん。性暴力への対応に特化したサイト。

www.queensu.ca

University of Toronto さん Torontoさんはどちらかと言うと性暴力中心。

www.utm.utoronto.ca

University of British Columbia さん Consent is key という言葉を用い性交渉までの道程の重要性についてしっかり書かれています。ただし、筆者目線では多少?な部分も、詳しくは、Sexual consent is about clearly and freely agreeing to sexual activity. Consent must be the following. ~で確認を。

students.ubc.ca

University Health Services (UHS), University of California, Berkeley さん 毎年ノーベル賞受賞者がでるような大学ですが、こちらでも取組みはしっかりやっています。What is “safer sex?" に記載されている個別具体的な説明なども参考になります。

uhs.berkeley.edu

Student Wellness Services, California Institute of Technology (Calーtech) さん

wellness.caltech.edu

国立台湾大学健康教育中心さん 

アジア圏の大学でも同様に大学として学生向けの啓蒙が行われています。訳さなくても漢字だけで意味がわかると思います。これをみても『欧米だから~価値観が違う』的な言い訳はできません。

這是為青少年講的的影片.這部影片有兩個主題:
1.認識性騷擾.
2.安全性行為的重要性(預防性病傳染, 避孕, 以及預防愛滋病)

https://ntuhealth.mc.ntu.edu.tw/

 

Queen's Univ.のところにオフィスの写真がありますのでご覧ください

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中国の大学3 国際交流としてのつき合い方を考えてみる  天津大学etc

編3では中国の大学関連情報。以下のとおり、行きたくもないのに行った中国出張ですが、愚痴っていても詮無いので少しでも大学関係者の参考になれば。

その前に大学事務職員の海外出張事情

日本にはたくさん大学がありますが、(多分)事務職員の出張が一番多いのは(今でも)国立大学だと思います。国立大学だったころ、年度末は課長と会計と総務あたりで残った旅費をみながら、このグループは○△大の人事課、こっちは◇×大の国際交流課etcとか割り振りして他の国立大学を訪問します。訪問といっても数時間(世間)話をして名刺交換(エビデンス作り)をして終わりというかたち。(良く言えば)お互い負担のかからないように配慮した結果と言えます。(若いころは旅費の無駄遣いと思っていましたが)こんなんでもずっとやっていると事務同志のつながりが出来ることになってたまに役立ったりするもんです。公立大学の場合は、どこの大学ともつながりが希薄なこと、そして事務職員の旅費の予算自体多くとっていないところが多いので(非常にシリアスに)文科省から呼出し食らったような時をのぞけば学外に出ることは少ないと思います。そして私大は(あっさり)大学によって判断は異なると思います。

それが海外になるとさらにハードルが上がります。しかし、それでも国立大学が多そう。例えば、科研費(間接経費)であったり、旅費を一生懸命やりくりしたら部局でも何人か行ける枠がでてきたので、若い子たちに(上の人たちの親心で)『行きませんか?』と声をかけても『今忙しいですぅ~』とか言われ、結局のいつもの(古参)メンバーになりがち。若い世代に海外へ出張にいくことへ関心やステイタス的なものが消えてしまったことからも大学で国際交流の職員が育たない理由を感じ取れます。公立大学では(どこでも)こんなことに予算枠とらないし、外部資金(科研費)を事務職員への旅費に振り分ける発想自体が無いのでかなり絶望的。私大は大手で国際交流に熱心なところはそれなりに予算があるでしょうが、一般の職員までの海外に行ける予算措置はなされていないと思います。

なお、この出張中、一番印象的だった出来事は、中国側の通訳さん。セレモニーをする際、通訳の人が花瓶の後ろに隠れた形で流ちょうに双方の国の言葉に訳してくれるタイプの意見交換を初めて見みました(なので英語は不要)。このあと事務同士で意見交換をする場がありましたが、この(若い)通訳の人に筆者が普通に『何回くらい日本にお越しになりましたか?』と聞くと『行ったことありません』と。日本語と中国語双方の専門的な言葉を交えての会話をサポートできるレベルで日本でいうN1レベルをはるかに超えているのに、どこでここまでのお話ができるようになったのか?。中国の外国語学院のレベルは聞いていましたが、それを実感。その割にこれだけ喋れて日本に行ったことが無いというのがまた中国らしさ。そんな人たちなので、ミーティングの席上では、中国の事務職員は、会話の中にいろいろ防御線を貼っていてお話が堅苦しくなりがち。個人的な信頼感を醸成することは困難そうに感じました。中国とは表向きの人的交流は盛んですが事務的には構えて対応せざるを得ないところが多く、課題というか、そんなお付き合いが必要なお国柄です。

【写真1】天津大学の所謂本部棟。この中でセレモニーや打ちわせをしました。

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【写真2】天津大学の所謂本部棟の中 普通に綺麗です。

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【写真3】ミュージアム1 この建物の中にいわゆる大学の歴史を中心とした文物を展示をする博物館的な施設があります。最近では日本の大学でも良くやっています。天津大学の歴史は古く、中華民国時代は、北洋大学と呼ばれていました。その当時の卒業証書のようです。

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【写真4】ミュージアム2 党関係者のご訪問1

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【写真5】ミュージアム3 党関係者のご訪問2

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【写真6】Q さてクイズ  どこの大学を熱烈歓迎しているのでしょうか?

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A 答えはエディンバラ大学(愛丁堡大學 The University of Edinburgh)でした。最初は中国の西か北あたりにある大学か思っていましたが、イギリスからご一行様がお出でのご様子。中国の特色は歓迎にそれなりの敬意とそれに伴う予算を取っていることがうかがえます。

www.ed.ac.uk

【写真7】ご承知のとおり天津大学は国家重点大学の一つ。大学院の研究も充実しているようです。

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【写真8】留学生宿舎1 筆者の結論としては、まあまあで一年くらいならやっていけそうな施設でした。

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【写真9】留学生宿舎2

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【写真10】留学生宿舎3

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【写真11】留学生宿舎4

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【写真12】ここから北京にある中国科学院所管の研究機関  掲載しやすい写真が少なかったので2枚だけ。日本的にいえば理研やつくばにある研究機関のイメージ。建物自体は新しくて綺麗な感じでした。

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【写真13】施設内には、いろいろがんばりましょう!的なスローガンが

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以上で中国シリーズは終わりにします。

 

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日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる2

田中前理事長さんは、脱税をやってましたまで罪をお認めになったよう。学長さんはしおらしく文科省へお詫びにいきました。これから日大はどうなるのでしょうか?

日本大学のこれから1ー強制捜査後初の記者会見ー

とりあえず田中前理事長さんは、脱税については認めたので東京地検も最低限の目的は達成できたのでこれから日大さんがどこまで大学の立て直しができるかだと感じます。

文科省にアタマを下げにいった加藤学長さんについては、いろいろのメディアを眺めていると総じて評価は低いですが、筆者的にはそれでも前理事長と決別します、と言えたところは偉かったとおもいます(最初から期待値が低かったもので)。また、学内で行なわれた記者会見のスタイルは、オトコのおじさん4名がいろいろ神妙な顔して謝るスタイルでしたが、記者からちゃんこ屋に何回行ったか?とかの真面目なのか?お笑いネタなのかの良くわからない質問もありました。彼らは総じて(多分目に見えないところで)文科省からの圧力があったから最低限のことを言ったまで。今後は田中体制と決別した日大が本当に前理事長的なものを払拭しなければいけません。そんな外圧がありましたので『今後も田中前理事長のご支援をいただきながら大学の名誉回復に努めて~』なんてことは(思っていても)口が裂けそうになってもなんとか縫合して言わなかった、それだけでも大きな成長だと感じます。ご本人は『個人的に脱税しました』の方向性で罪を認め『大学に損害を与えました』というのは避けたいお気持ちがあるようです。それで、それを含めて筆者が日本大学さんについて気になるところは。

日本大学のこれから2ー男尊女卑と純血主義の払拭が必要ー

ここまでくると言い訳困難な数字。日大幹部の方々男女比、学長(理事長)✖1・常務理事✖4・副学長✖4・理事✖33(くらい)・監事✖4→ここまでで約50人ですがこの中に女性なし。次いで評議員が約100人いますが、ここにようやく女性が数名。この状況をいろいろ考えてみると、よっぽど優れた女性人材が枯渇しているのか、それとも相撲文化が生きていて女性が土俵(幹部)に立つことが許されないのかもしれません。最近というかかなり前から、この大学でも男女共同参画だのダイバーシティだのSDGSだのの名前で女性が活躍が活躍できる職場作りを目指しています。なので、日大さんも女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定を一応してはいるんですが、その中での(日大HP)目標が 管理職に占める女性比率を10%以上にする ではトホホ状態で恥ずかしすぎるので書かない方が良いレベルです。  

また、そのオトコの先生たちも常務理事・副学長あたりまで全員日本大学卒で固めているところも印象的。関西で言えば阪大の西尾総長や鷲田元総長は京大修。私立の甲南大でも中井学長は京大修、その前の長坂さんは阪大修、そんな中(学力・研究力のそれほど高くはない)意地でも自分の大学卒のオトコにこだわる閉鎖的な文化の払拭は大学の健全化に必要です。

日本大学のこれから3 ーコロナ渦で大変な時にこの大学に授業料を払っている・払った人が考えるべきことー

もう50年前、歴史の話になりましたが、1968年から翌年まで続いた日大内でのモメ事も結局は日大の放漫経営でテキトーな教育とテキトーなお金の使い方をしたのが原因。これのおかげで他の大学まで拡大してみんな大迷惑したものです。結局この大学のやり方は、マスプロ教育の推進、大学の考えに近い応援団系や体育会系組織を育成して(スポーツ日大)学生を二分化するやり方をする、などの伝統も令和の現在まで脈々と生き続けています。アメフトも相撲も水泳も強いのは良いことなのですが、どれほど学生からの授業料・施設充実費等の収入から割いて使われているのかを考えて見る方が良いと思います。文科省は今後この日大の助成金各種の減額を表明していますが、学長さんは『授業料上がるかも』的なお話をしていますが、まずは自分たちの身を切りムダなお金の使い方の見直し、その中にはコストの高い体育会系団体のあり方についても考えた方が良いと思います。でないと普通に学んでいる学生が不平等で可哀想です。ということで、半世紀前から同じことを繰り返しているのになんでそのまま大学が存続出来ているのかが大いに謎。やはり、選ぶ側も大学HPを見れば日大は何も隠すことなく自分たちの今行なっている価値を表明しています。受験する人たちとその家族も、高校の先生も、予備校のような受験産業の人たちもそれぞれの立場で大学の本質を知ったうえで入るかどうか考える必要があります。

日本大学これから4ー関西目線ー

関西に縁なし。関西の大学受験者って結構な数いると思いますが、その中で『わたしは日大をめざす!』という人の話を聞いたことがありません。多分泳ぐのがうまい、走ると早い、アメフトがうまい、格闘技がつよい等々の人は別枠で入学できる入試制度がありますからお呼びがかかるのかもしれませんが、通常の学びを求めるのであれば関西圏の大学で十分事足ります。また、関西には直接の系列ではありませんが似たような立ち位置の近大さんがありますので特に東京まで行く必要性を感じないのところもあります。もし日本に大学が日大さんと近大さんしかないのであれば、筆者なら(かなり究極ですが)近大を勧めます。その理由として、近大の場合、世耕さんの一族が大学を仕切っていますが、自民党の要職を務めていることもあり(多分)大学で起こる不祥事を嫌います。そういう意味で近大の健全性・質的保証はなされている(はず)と思います。あとは好き嫌いになりますので行きたい人は行けば良いと思います。

まとめ ーまだある日本大学的なものー

日本の私立学校は、設置の趣旨を大切にして、宗教的価値観や創設者の考えを教育に取り入れることに特色があります。そこまでは悪い話ではないのですが、一部の私大では教育の母体(大学)と経営の母体(理事会)の接続がうまくいかず、教育研究を行なう資質に欠ける人たちが大学経営することがままあります。今回の日大さんの事例は、社会的影響が大きいのでメディアにとりあげられましたが、もっと地域性や社会的な影響力の乏しい大学ならそのままやりたい放題のところもあったりします。国立大学なら日本のどこにいっても同じ感じですが、私大は大きく異なることもあるので偏差値だけでなく大学の実態を知っておく必要があると思います。

www.mext.go.jp

 

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