天王寺・阿倍野編のつづき。なお、筆者は医療関係者ではありませんので、詳しくは各病院にお問合せください。このお散歩、基本的には谷町線天満橋駅から一駅南の谷町四丁目駅まで歩きます。話はそれますが、歯学部のweb情報をググっていたらなぜかチュラ大に行きついてしまいました、どうもYoutube投稿にご熱心で出来栄えのよいものがたくさん。歯学部を知りたい人にはとても参考になると思います。
どんなところ?
場所的には、大阪城の西側、基本的には、府と国関係の庁舎がたくさん集まっている官庁街。戦前は、大坂城内に第四師団の本部があって、さらにその東側には大阪砲兵工廠の工場がたくさんありました。その関係で終戦間際に米軍の爆撃を受けて甚大な被害をうけます。戦後しばらく廃墟でしたが、今では、旧工場西側部分は、JRの大規模な操車場となっています。念のためですが『谷四』は,、『谷町四丁目』の略。
で、大学との関わり合いですが、旧大阪府立成人病センターは、長年砲兵工廠よりさらに東側にありましたが、現在の場所(大手前・谷四界隈)へ移転、玉突きで、その空いた場所へ大阪公立大学の森ノ宮キャンパスを建設中。その建物は工事中の覆いも無くなって環状線の大阪城公園駅あたりからでも見えてきました。ただ、天王寺の看護学部の建設と同様、用途より場所優先で建てているので、できた後、不都合(講義室の数とか)が生じないか多少心配。
天満橋周辺の大学
ということで、あんまり大学とは縁のない場所です。そんな中、唯一ビジネス街のど真ん中にあるのが大阪歯科大学附属病院さん。歯学部の附属病院ですから歯科口腔内治療専門の病院。よくある事例は、かかりつけの歯医者さんでは抜歯困難な歯(親知らずとか)を抜いてもらうとかでお世話になります。なお、インプラントやホワイトニングを自由診療でやっているですが、詳細は病院へお問合せください。また、『口腔外科』って街中の歯医者でも標榜しているところがたくさんありますが、(多分)通常の診察時間中に観血的なことをして、そのあとイレギュラーなことが起こった時の対応が大変。そんな開業医のリスクとして、ちゃんと処置をしても、『血が出てとても痛かった』『顔が腫れた』『対応が悪かった』『☆さえつけたくない、二度と行かない』等々をどこかに書き込まれる可能がありますので、最初から大きなところに丸投げでお任せするのが得策かもしれません。なお、専門性の高い口腔外科って、歯学部のある大学病院に限ってのことでもありません。例えば、神戸なら、神戸市民中央病院のような総合病院ならしっかり診察してくれます。で、筆者個人が、歯のホントに難しい専門的な治療の必要性が生じ、どこかで診てもらわないといけないのなら、関西なら、阪大歯学部附属病院(吹田市)を、東京に住んでいれば、東京科学大病院歯科(歯系診療部門)を選びます。
その他みどころ
そんなところです。で、見どころは大坂城くらい。観光客の多くは、JR環状線の大坂城公園駅から行くかもしれませんが、天満橋~谷四からでも西側から城内に入ることが可能。最近行ったことはありませんが、良いお天気の日にいかば楽しめそうです。そして街歩きをして感じるのが霞が関の雰囲気までいきませんが官庁街。大阪府と国の行政機関の庁舎がある場所になります。なお、大阪市の本庁舎はもう少し西の淀屋橋界隈にあります。
病院がたくさん
そんな場所が少し変わってきました。大阪府庁舎の南側にできたのが、大阪国際がんセンター さん OICI:Osaka International Cancer Institute と大阪重粒子線センター さんOsaka Heavy Ion Therapy Center。大阪国際がんセンターさんは、森ノ宮の東にあった旧大阪府立成人病センターをこの地に移転させて、がん治療を専門とした拠点病院としたもの。あわせてお隣に重粒子線治療を目的としたセンターもできました。『国際』という言葉をいれた理由は、外国人医療従事者への研修・技術指導を仕事の一つに組み入れ、大阪発の医療の国際貢献を意図しているようです。もともと成人病センターの時代から阪大医学部の影響が強い研究型の病院で、東京で言うとがん研や国立がん研究センターのような存在。
ついでに言えば、天王寺~東梅田駅の間の谷町線沿線には、ハム大医学部附属病院、大阪けいさつ病院、大阪赤十字病院、国立大阪医療センター、大阪国際がんセンター、大手前病院、大阪市立総合医療センター、済生会中津病院、北野病院等々、高機能で急性期医療を専門とし4疾病をしっかり診れる総合病院がわんさかあります。筆者の注目は、病院統合等で2025年1月に新病院開業予定大阪けいさつ病院 Osaka International Medical and Science Center。新病院になるのに合わせ意向投票では勝てていたのに本選で敗れ総長になれなかった院長に元阪大澤芳樹さんを招き最新設備でさらなる高機能化を進め、三次救急で年間10000件の救急搬送を目標とする一方、院内職員への働き方改革を行うことをテーマとしており職員にも優しい病院を目指しているとのこと。
そんなで、見かけ上は、大阪中心部の高度医療の受け皿は質量ともに首都圏以上に整備されているようにも見えます。筆者のかかりつけ医の言う都市と大学と医学部は必要かの問いですが筆者には答えは見つけられません。ただ、都市とともに大学があるのは悪い話ではないと思うのですが、かといって東京科学大病院の隣に順天堂医院があってそのご近所に東大病院、日大病院などが密集しているのもヘンな話。本当に地域住民のためになっているのか?。やはり計画性は必要です。また、首都圏特有の地域医療を大学病院(群)に依存する方法も、医療の質が高まるように見えてホントは良くないように感じます。この辺りのお話は、別の機会を作って考えたいと思います。
↓古いですが"都市と大学#について
【写真1】大阪メトロ谷町線天満橋駅 駅を降りると完全にビジネスエリア 駅の上にある OMM ビルは1970年当時西日本一の高層ビルでした。いまもいろいろ良いテナントの入った商業施設。隣の道は国道168号線。
【写真2】OMMビルの対面にあるのが大阪歯科大学附属病院 大阪市内には医学部附属病院は一軒しかないと言ってましたが、歯学部の大学病院ならこちらにもう一軒。病院前を通りがかるといつも人影はまばら。地域にひらかれた大学にするためか初診時は紹介状不要としているようですがが、筆者個人的には専門性の高い歯科医療を提供するのなら紹介状を持った来院者を優先する方が合理的に感じます。虫歯レベルの治療を(興味本位で)大学病院で行う必要はありません。なお、この病院の通い方、歯科口腔外科領域での特別な治療という意味では専門性は高く価値は高そうですが、近隣の総合病院の中にも、しっかりした口腔外科があれば、埋伏歯の抜歯程度なら十分対応してくれます。
【写真3】大阪歯科大学附属病院 入口
⇩歯学部の学生って何を学ぶの?的な youtube 動画。チュラの歯学部は有名ですが、なぜか動画配信をたくさん出しています。タイ語と英語での説明ですが、非常にわかりやすい内容。治療時のディスポの術衣は、日本以上に重武装なのも印象的。高校生で歯学部を知りたい人にも(タイですが)参考になると思います。※1二つ目に筆者が行った死体博物館のお話も少しでています。※2どちらも無くなったらご容赦を
【写真4】お世話になっている国家公務員等共済組合系の大手前病院さん 大阪陸軍病院を転用して今の姿に。東京で言えば虎の門病院や九段坂病院のような立ち位置。大分前になりますが、こちらの人間ドックで指摘をうけて消化器内科で大腸ESDをしてもらいました。今回はそのフォロー。かかりつけのクリニックさんから紹介状を書いてもらって大腸CTで検査予定。ちなみにこの病院いつも外来は混みあっているのですが、筆者が行くとサクサク早く対応してもらえます。ちなみにの二つ目、大腸CT(CT Colonography) と大腸内視鏡の違いですが、メリット・デメリットいろいろで、多くの病院で比較的簡単に検査可能なのは内視鏡、CTは腸内を輪切りに撮影したのを立体化したりで多少複雑。ただ検査までの肉体的負担はCTの方が断然楽。北米では、大腸の病変診断にはCTの利用が増えてきているようです。※くわしくはご自身で医療機関にお問い合わせください。
【写真5】病院を出発して谷町筋沿いに南へ歩きます。すぐにあらわれるのが国の合同庁舎。この周辺にも官庁別にいろいろ建物があります。違う官庁で採用されていたらこんなところで働いていたかもしれません。
【写真6】そんな超一等地エリアを歩いて出くわすのがこちら。大手前大学大手前キャンパスには健康栄養学部さんが入っています。名前上『大手前』にないとダメな大学。でも他の学部のキャンパスは兵庫県西宮市の夙川あたり。前にもどこかで一度書きましたが、筆者としてはちょっと気にしている国際看護学部さんがあります。
【写真7】このあたりから東側に大坂城のお堀を見ながら進みます。向こうに見える高層ビル群が大阪ビジネスパーク、よくゴジラやガメラ、ギャオスとの戦いで破壊された場所です。なんとなく東京っぽい雰囲気
【写真8】大阪府庁の本庁舎 もっと古ぼけて汚い建物かと思っていましたが見かけ上はとてもきれい。電柱もないので映画ロケで戦前のどこかの官庁街の風景として使えそうな感じ。
【写真9】大阪国際がんセンター OICI:Osaka International Cancer Institute 大阪府立成人病センターを発展的にがん治療のため特化した病院(500床規模)。場所は大阪府本庁舎の南すぐ、さらにその南には国立病院機構大阪医療センターもあります。で、こちらは、首都圏で言えばがん研的な存在。完成したばかりなので設備充実の特定機能病院。
【写真10】大阪重粒子線センター Osaka Heavy Ion Therapy Center
半官半民的な公益財団法人大阪国際がん治療財団が運営する重粒子線による治療施設。今のところ全国に7施設あるようで、関西では神戸のポーアイにもう一つ。交通の便ではここが一番だと思います。で、実際ですが、特定の部位の特定の治療(基本週4回照射して3~4週間続ける)を行うと、とても効果があるようです。患者さん的には、保険診療が可の部位の治療でも数十万円の負担(三割負担でも)が、それ以外の部位なら先進医療もしくは自由診療扱いとなり患者負担額が数百万円単位になります。ですので、民間のがん保険に入る際「先進医療特約」とかに加入していると、お金の心配が大きく軽減されます。また、英語のホームページも充実していますので、Medical Tourism として外国人の治療も想定している模様。値段も明示されていて(480万円+税)、これくらいの金額でがんが良くなるのであれば海をわたってくる人も結構いるものと思われます。海外での相場観ならこれでも安いかもしれません。
【写真11】病院から大阪メトロの駅方面へ。時間は少しかかりますが、地下鉄駅から病院までぬれずにいけます。ちなみにここから歩いてすぐの場所(法円坂)に国立病院機構 大阪医療センターもあります。
【写真12】地下鉄駅方面へ①
【写真13】地下鉄駅方面へ② このパネルたち"WITH CANCER"にお年寄りのお写真はありません。
【写真14】全然関係ありませんが、帰る際、OMMビル地下のがんこでお昼ごはんをいただきました