FOU’s blog

日本の大学 今 未来

【ちょこっと追記・補足】大学職員として働くなら結局どこが一番よいのか考えてみる2

最近Web Portalで大学職員ネタが掲載されたようで、古めのこの記事をのぞいていただいている方が結構いらっしゃいます。とても有難いことです。書いている内容に変更等はありませんが、このことへのふり返りと視点を変えた新たな補足を追記します。筆者のスタンスは『金目当てで働く場所じゃありませんよ』です。

はじめに

ここでは、大学で働く、働いている人を中心に書いてみます。あまりまとまっていませんのでつまみ食い程度でお読みください。基本、国立大学中心です。

大学ってどんな人が事務で働いてるの?

今の、国立大学の場合、40代以降は国家公務員Ⅱ種試験の合格者、それより若い人は、国立大学の法人等統一試験などでの合格者が中心。最近では各大学独自での採用者も増えているようです。これでも多分ピンとこないと思いますので、もう少し詳細に。

あくまで筆者の印象によるものですが、関西では、関大卒ぐらいの学歴の人が中心、年配の人の中にはⅢ種(高卒)採用者の人もいますが、減少傾向。これは多分京都や大阪とかの地域でも若干変動があるかもしれません。基本的に関西圏では、公務員試験に強いといわれる関大・立命館大あたりの卒業した人が中心で組織が出来上がっています。ただ、定期的に異動がある組織なので、あまり大学ブランドを気にする必要はなく、『関大だから』というような学閥形成は(筆者の感じる限り)気にしなくていいと思います。どちらかというと、ここ最近は(これまで国Ⅱはレベルが低くて受験してこなかったような)国立大出身者の職員が増加傾向。※詳しくは③受験者のレベルアップ

筆者が働いていたころの首都圏の場合、明治大、法政大、立教大、中には上智大、早稲田大、津田塾大出身の人も。また、千葉大、茨城大、埼玉大あたりの国立大出身の方もいました。この数値は文科省関係機関ですが、他省庁も(同じ試験合格者ですから)同レベルの人が国家公務員として国を支えていることがわかります。

国家公務員時代のお話、国立大学は、他省庁と比べてかなりお給料がお安めでした。筆者は採用された時、どこの官庁も同じ試験で採用されているんだからそこまで大きく変わらないものだと思っていましたが結構大きく違います。その理由の一つは大学という事務組織のあり方。学科事務室にず~っと貼りついて全然異動のない事務主任さんの処遇や、(その当時の時代背景もあって)国鉄(現JR)職員の再雇用先として(国の命で)受入れていたり、臨時の印刷工で働いた人が(気がついたら)庶務掛(かかり)長になっていたりと、今働いている人には信じ難い光景があったものです。

もともと国家公務員の俸給表は、異動や出向に基づき昇進・昇給が進むシステムなので、ずっと同じ場所で同じことをやっている人は制度上給料は最低限しか上がらなくなっています。その状況が他の省庁と比べあまりにひどいので、人事院から是正指導がありました。(筆者の不正確な古い記憶、何かの公開文書で読んだような…)

こちらも面白情報。(20世紀末期の頃)筆者がまだピヨピヨな頃、人事院近畿事務局主催の近畿地区内全省庁参加中堅者研修(3~4日くらいで終日するもの)に参加させてもらったことがありますが、その際、国立大学に関するお話を聞く機会がありました。結構辛辣です。

職責の重さ・許認可権限の相違:(例えば)近畿経産局や近畿財務局の課長級が異動したら日経新聞とかに載るでしょ。でも(例えば)京大の留学生課長が国際交流課長に異動したって世間の関心事になりませんよ。

人事院へのクレーム:新採のご家族からの電話。大学で働きだした息子の帰りがいつも遅い。なんでそんなに遅いのか聞いてみたら理由が判明、毎晩上司たちのやっている飲み会(経費節減のため職場内)のおつまみ製造を給湯室でやっていた。人事院の対応まで聞いていませんでしたが、確かに当時の事務室の冷蔵庫には常にビールが満ちていました。※さらに補足すると、いい気分になった方たちには、どこからかタクシーチケットがあらわれてそのまま帰宅できる特典もありました。当時は、こんな調子でしたが、それを知る人も少なくなってきました。

※この研修面白くて、公安調査庁や麻取から来た人たちは、自己紹介する時『現在の職務内容は守秘義務があって~』で何も話せなかったりと、他はほかでいろいろあるもんだといろいろ感じ、いまでも記憶に残っています。

お給料のお話。MEXTの本省課長級・審議官級の人でも(名目上はあれだけ働いても)年収1300万円あたりですから、私大で普通に働いていて楽に1000万円越えの年収をもらえる職員続出であれば、(給与が高いというのは悪い話でもなくそれぞれの大学のご事情なので足の引っ張りはしませんが)その理由を知りたくなります。

※MEXT・国立大学の日々を知るには(オタッキーで普通の人には入手困難ですが)文教速報・ニュース(文科省系文教団体の情報誌的なもの)を眺めてみるとこんな人がこんなことやっている!あの人が異動した!を知ることができます。大したことは書いていませんが結構おすすめの資料です。関心のある人はなんとかがんばって入手してみてください。

最後に私大の状況も少し。やはりOB・OG採用は比率は高くなります。他大学出身者の採用はあっても採用後の処遇は事前に調べておく方が良いかもしれません。

この項の結びとしては、国立大学で働いていて、野心ギラギラでオレは1000万円以上の年収目指す!みたいな人、そもそもみたことありません。そのような考えの人は最初から国公立大というか大学職員は働く選択肢から外す方が無難です。

最近の傾向

①退職する人は結構いる

どこの組織でもそうかもしれませんが、新採の人がすぐに辞めちゃうケースは結構あります。入った瞬間(4月1日採用され4月2日に辞めると連絡してくる人)や上司の係長や職場の雰囲気をみてがっかりして出勤してこなく人などが典型。特に新採の場合、慰留するにも手立てもないのでそれでお別れ。折角健康保険証や職員証とかの準備をしていた人たちはちょっと可哀そうです。

そんな若手の退職者が多いことを気にして、周りの職員もナーバスに。新採の上司などが仕事のやり方について説明する際も、ハラスメントと言われたりしないよう言葉遣いも超慎重。それでも何人かは辞めてしまいます。筆者個人的にはそんな甘々だとしっかりした職員の養成にも影をおとすのではと危惧してしまいます。

働く働かないは、それこそマッチングの問題でもあるし、筆者も途中で何度か退職しているので、早めに判断して辞めること自体は悪いことだとは思いません、が、特に若いうちの退職は、今の自分の判断が人生の中・長期的なプランに合致しているものかどうかは考える方が良いかもしれません。

ついでに蛇足で多少違う話、今の大学としての参考情報。国公私立を問わず大学病院の医療職の退職者数は半端ありません。もちろん病院規模・病床数が多いこともありますが、1年で200人レベルの看護師が退職し新たに採用されています。同様に薬剤師や臨床検査技師等もたくさん。そのあたりの医療職の人にとって大学病院のスキルとキャリアはステイタスとなり転職にも有利になるのが理由と言えます。

当然、診療を行う医師も同様。医学部・附属病院って、『この病気の最後の砦』的なスター医師がいて他院では断られた患者さんでも引き受けてゴッドハンドで治す云々のようなお話に引きずられがちですが、現場は若手研修医が中心で人の出入りの激しい環境。実際見てくれるのはそんな若手の医者。何か普通の治療を受ける場合は、病院の大きさや雰囲気だけに惑わされず普通の病院を選ぶ方が良いと感じます。

②大学院修了者の採用増加

大学院が充実し研究が盛んな研究型大学院大学を中心に、大学院修了者の求人需要は伸びています。これは良いことだと思います。大学によっては、業務が大学院や専門的な研究分野への対応するためには、今後、URAだけでなく、事務部門に所属する大学院修了者の職種や目線は(筆者は学部卒ですが)増加する必要があります。筆者の考える期待できそうな機関をいくつか挙げておきます。

大学では旧七帝や、東工大・医科歯科大あたりと、地方の旧官立大あたりでは大学院レベルのスタッフを順次増やしていきそう。また、目線を変えて、大学と接点もつ仕事を行っている理研JST、JSPS、産総研(経産系)のような機関も今後は大学院修了者の職員を増やすことになると思います。※JSTやJSPSの職員採用欄をみていると大学院修了者ががんばっている姿が載っています。とても良い書きぶり。大学で働きたいと考えている人は筆者個人的には、理研等々も面白いやりがいのある機関だと思うので、(学部卒の方も含め)検討する選択肢の中に入れておくことをお勧めします。

③受験者のレベルアップ

国家Ⅱ種等の合格者層(出身大学)は、ほぼほぼ一定だったのですが、価値観の多様化?で、最近、これまで受験してこなかったような大学(いわゆるアタマの良い大学)の人たちが受験・合格そして実際働きます。筆者もそのタイプの人物を知っていて『なんで来たん?』と聞いたら『確かに偏差値高い大学やけどそれだけで一生しんどい仕事したないねん』とこの人はお話してくれました。また、他省庁も同じ傾向、某省(地方)で働く筆者と同じ私学文系アンポンタン大卒の知人が、某有名国立大学法卒でⅡ種採用された人物の初任者研修の指導担当をやらされ『やりにくいわ…こんな大学やったら司法試験か国家Ⅰ種で来たらええのに…』とぼやいていました。

大学では、自大学の卒業生を職員をとして採用し働いてもらうことは総じて歓迎する傾向にあります(特に教員たち)。大都市圏ではそれほど目立たないかもしれませんが地方国立大ではその傾向が高まる可能性を感じます。

地方国立大学はある意味おすすめ

なかなか話題になりにくい地方国立大学。都市圏の大学の比べると待遇面では劣る面は確かにあります。ただ、その地で生まれ育った人、その地に関心のある人など、安定した生活が送れそうな地方の国立大学は魅力のある働き口になるかもしれません。筆者の勝手なおススメですが、西日本なら、鳥取大学や四国の国立大学、そして琉球大学あたりはそれぞれ魅力があって楽しそうです。

公立大の独自採用の一考察

公立大学でもそれなりに独自採用がおこなれるようになりました。HPをパラパラと眺めてみても、例えば、

大阪公立大、神戸市外大、和歌山県立医科大学(事務・技術職員)、奈良県立医科大学附属病院職員(※病院職員募集)、福知山公立大、沖縄県立芸術大学etc

では、募集がおこなれています。関心のある方はトライしても良いかもしれません。

ただ、筆者の考え変わらず。働くには公立大学は、あまりお勧めはできません。その理由は公立大学の立ち位置。公立大学は、設置母体である市や県があっての大学、そのため県立病院や県警、福祉事務所、市民センター、県立高校等々と同じ出先機関の取り扱い。国立大学なら文科省設置という強みでどこでも独立した存在感を示すことが(まあ)できますが、(特に小規模)公立大学は、単なる地方公共団体の一部局で影の薄い存在、同時にその一部局での採用者という立場も将来的に明るく感じられません。

まとめ

すいません。本当にまとまりませんが、今の日本の多くの大学職員ってこんな感じで仕事をしています。大学職員を目指す人が憧れている(カネになる)大学って、多分、首都圏で20くらい関西圏なら10くらいの私立大学のイメージで考えているんだと思います。このような大学は今後も中長期的には生き残るでしょうから自己責任で働いてみるのも悪くはないと思います。それ以外の私大はどうなるかわかりません。現に私大の半分が定員割れの時代になり、授業料も受験料の収入も多く望めない現実がある中、高給取りを目指すのはチャレンジャーです。

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