FOU’s blog

日本の大学 今 未来

2022年の大学を関西目線で考えてみる

2022年が始まりましたのでこの4月(令和4年度)から関西圏での大学の動きについて筆者なりに考えてみたいと思います。結論は大きな変わりはなしです。大学入試の制度は変わりますが、大学自体はあんまり新しい動きはなさげ。なお、本ブログは大学入試を中心としていませんので受験動向等を知りたい人にはあまり参考にはなりません。他のブログをお探しください。万一今年の受験生が見ていたら、こんなことには流し読みで十分、いろなんことに惑わされず我が道を進みましょう。

大阪公立大学の動き

関西での2022年最大の目玉。英語名称などですったもんだがありましたが、大阪市立大学大阪府立大学が一つになって大阪公立大学が誕生します。多くの人は(なんとなくイメージ的に)統合したらいいことがいっぱい起こって今よりもっと良くなりそうに思うかもしれませんが(筆者はネガティブで)現状維持と考えています。例えば医学部と獣医学部が連携して何かやるとか、副専攻で創薬で頑張るとかHPで言ってますが、(よくよくというか普通に考えてみれば)医学と獣医学の連携なんて実際に出来ることなんて大してないだろうし(何か良いことがあるならどこかが前からやってる)創薬についても、それなら創薬に強い薬学部を作ってしまう方が手っ取り早い気がします。そんな感じで新大学HPに描かれているものの多くは『こんなふうになったらいいなあ』レベル。また、2025年開学予定の森ノ宮新キャンパスもまだまだ設計段階で青写真として形に表すこともできていません(この新キャンパスは確かに都心まっただ中にありますが、駅からかなり歩く必要があります)。今後も新型コロナ感染症対策で大阪府大阪市とも大きな財政支出が予想される中、さらに2025大阪万博の準備もあるので、予算上のお財布は別組みとはいえ、いろいろ支障がでてくるかもしれません。また、現在の府大(理工系中心)と市大(人社系中心)の(ホントはどちらも嫌々統合する中での)将来構想のすり合わせも解決されていません。もともとたまたま同一政党の府知事・市長が、大学が二つもあるんはムダや!という考え方で統合を(周囲の反対をよそに)決定し、それを(大学経営を知らない)もっちゃりした地方公務員が統合作業をしているのですから明るい将来を見据えるのはちょっとしんどいかも。

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京大・阪大・神大の動き

どの大学もがんばっています。少し前の国立大と比べると学生の喜ぶキャンパス整備が進み学びやすい環境が私学並みになりつつあります。特に(まだ工事中ですが)北大阪急行線箕面船場阪大前駅直結の外国語学部の新キャンパスと近所に出来た大規模な留学生を中心とした宿舎(というか大規模マンション)は必見。特に阪大は、吹田・豊中両キャンパスが長年の整備がほぼ完了しとてもきれいになりました。その理由の一つとして、京大と阪大は指定国立に指定され(もともとなりたい!と大学側が申請したのですが、、)、今まで以上にやっていかないといけないお仕事(国際、研究等々で数値化しないといけないもの)が増えることにはなりました。でも、それは大学で学ぶ人たちには朗報だと思います。関西圏では、今は学力が足りない人も1年浪人してがんばれそうなら、この3大学をターゲットにするのが一番だと思います。

関関同立の動き

2021年と代わり映えなし、大きな動きは無さそうです。強いて気になることと言えば関学さんのHPやJRの車内広告でよく見る三田キャンパスの理工系学部と大学院に力を入れている様子。ただ、普通に電車通学して大阪から1時間(駅まで)かかるのは遠すぎ。他にも直通バスを各所から出していますが有料(それもお高め)なのでかなりがっかり。国立大の理工系学部のイメージでは、研究の進展が進む3~4年次になると実験やデータ取りのためかなり遅くまで研究室にいる日が出てきます。学生さんにとっては過酷な毎日になるかもしれません。また、大学院については、どの研究科もしっかりした学生が入学し定員を充足するようにがんばる必要があります。これらの大学たちに興味のある受験生は事前の大学情報のデータ収集を怠らず、受験予備校の偏差値を信じて試験を受けてみることになります。

産近甲龍の動き

こちらも無風。近大さんもそろそろマグロパワーに衰えが見えてきたので本当の大学力で勝負していく時期になってきたと思いますし、その他の大学もあんまり変わった感じはありません。筆者的には、ちゃんとした大学での学びができるボーダーがこの産近甲龍だと思っています。※今ここで話をしている大学以外は筆者個人的には大学としての学びの質が低くなるので、とりあえず学士という学位を取得することだけを目的に4年間を過ごすしかありません。ですので、(大学で何か真剣に学びたい人は)可能であれば、翌年に改めてチャレンジして上位の大学へ行く方が良いと思います。そんな状況の中、このクラスの中では、筆者が地道に少人数で教育研究を行なう甲南大学の姿勢を推す理由があります。

※普通に考えて、(文系で)4年で500万円の授業料もらって、数百人入る大教室に学生集めて一方通行の授業ばかりやってるような私立大学は、偏差値の高低を問わず選択肢から下げる方が良いと思います。

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関西で学ぶか?それ以外で学ぶか?

①文系学部 

首都圏の私立総合大学早慶上智あたりを除けば関西でことは足ります。

②医学部 

筆者個人的には京大・阪大・神大の医学部は国内最上位レベルなので十分だと思いますが、敢えてそれ以外なら、東大医は研究色が強いですが、もちろん悪くはありません。それより東京医科歯科大は関西にはないタイプの医学部で優れた研究もでき優れた臨床医にもなれる良い大学だと思います。

③薬学部 

関西圏が一番恵まれたエリアだと思います。アタマの良い人は、京大・阪大の薬にいけば十分研究職に就けます。反対に言えばこのレベルの薬学部では薬剤師資格は将来のお守りに過ぎない存在。純粋に薬剤師になりたい人は京薬・大薬・神薬を目指して入学し、在学中はいつも真ん中程度の成績をキープしていれば(多分)6年で卒業してすぐに薬剤師になれます。この三薬大はそれぞれに歴史があり薬剤師会などの組織にもOB・OGがたくさんいますので何かと心強いと思います。他のところで散々書いているとおり、ここで書いた以外の大学に行くと(そもそもが学力不足なので)薬剤師国試に向けて授業はハードになって留年する可能性が増します。現役でここに書いた以外の大学へ行くなら一浪して上位を目指す方が結局お得になるかもしれません。

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看護学部 関西圏以外を選ぶ理由・必要は(まず)ありません。それより他の医療系学部以上に入学したら看護師以外の道は(まず)ないことを自覚することが重要。そのようなやることが決まっている学部ですので、基本的には授業料の安さで選べば良いと思います。一生懸命学びたい人は、あまり目立った存在ではありませんが、国公立大の医学部に保健学科的な名称で附置されている看護学科は学べることも多いので目標にするのが良いと思います。授業料も安くて(多少ハードですが)良い学びが出来ると思います。

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その他オススメ 

東京工業大学

東工大って関西ではもう一つなじみがありませんが、首都圏では高評価。京大・阪大など関西にも良い理工系学部はありますが、東京医科歯科大同様、関西にないタイプの大学ですので狙ってみるのも良いと思います。また、大学所在地の大岡山も良い雰囲気のところです。

兵庫県立大学国際商経学部グローバルビジネスコース:

最近、私立大学で、学部の名前に国際とかグローバルとかをつけて一定期間海外の大学で学べる(もしくは海外の大学に教育を丸投げする)プログラムをつけた学部が増えてきました。なお、現地の旅費・授業料・滞在費もろもろ学生持ちにしているのでかなりの金額になっています。筆者は海外の大学で学ぶ・触れる機会があるのは良いことだと思うのですが金額的にはお高め。

ここでご紹介する国際商経学部のグローバルビジネスコースは、国費留学生の優先配置プログラムで留学生を招く一方、同じコースに日本人学生も入学してもらい一緒に寮生活したり、海外研修へ行くといううもの。国費留学生の優先配置は学生を個別に国費留学生として招へいするのではなく、指定されたプログラムに沿って国費留学生を一定数募集・採用するというもの。ですので、このプログラムを実施すること自体、文科省から高く評価・期待されていると言えます。日本人の入学者数は多くはありませんが、留学生経由で海外人脈もできることが期待でき(筆者個人的には)面白い4年間を過ごせると思います。さらに年間授業料は55万円足らず。兵庫県民ならさらにお安くなります。私大の同様のプログラムと比べれば1/3程度のお財布に優しいところも魅力です。難点を言えば場所。三宮から地下鉄に乗り22分、学園都市駅を下車してキャンパスまで寂しい道を10分の歩き。20年くらい前まではおしゃれなところだったのですが、少子高齢化の影響か昼間は人影まばらなところになってしまいました。まあ、前向きに考えれば、学内に出来たばかりのキレイな国際学生寮で生活することになりますのでガマンはできるかもしれません。

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