FOU’s blog

日本の大学 今 未来

甲南大学 荒勝文策先生の系譜を感じてみる 上

荒勝先生のお話をしましたのでそのつながりで日本の大学を久しぶりにご紹介。荒勝先生は京大退官後甲南大学の学長を長く務められました。写真のいくつかは最近撮影したもの。

甲南大学阪神間モダニズム https://www.konan-u.ac.jp/

【写真】甲南大学の北校舎 神戸は坂が多くここまで歩くと息が切れます

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【写真】1枚目、2枚目 甲南大学の最寄り駅は、阪急神戸線岡本駅。神戸三宮駅から大阪梅田駅まで続くこの路線は関西でも有数のお金持ちエリア。甲南大学のある岡本駅エリアも有数の高級住宅街として知られています。東京の人になにげに説明するなら成城学園前駅とその周辺に急坂を足した雰囲気だと思っていただければ良いと思います。また、岡本駅は、甲南女子大学(今は甲南大学とは別法人)と神戸薬科大学の最寄り駅でもあります。なお、阪急岡本駅の数百メートル南側にJR摂津本山駅もあり、京都方面や新幹線でJR新大阪駅から来る人にはJRの方が便利かもしれません。

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【写真】フロイン堂 岡本駅から甲南大学へ向かう途中にあるパン屋さん。ブーランジェリーブームで、なおかつ、その中でも激戦区といわれる神戸において、誰もが敬意を示す老舗中の老舗のお店。1932年創業、今でも全てのパン作りの行程を手作業で行い窯焼きする食パンは吉田茂宰相も愛したとのこと。(詳細は『フロイン堂・岡本』あたりでググればいくらでもでてきます。)

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甲南大学という大学の有り様を示すものとして、岡本駅から甲南大学へ道のりもあります。だいたい普通の大学なら、最寄り駅から大学正門に行き着くまで、ごちゃごちゃした学生向けの飲食店やカラオケ店があるもの(阪大なら石橋駅界隈、関大なら関大前駅界隈、近大なら長瀬駅界隈etc)ですが、岡本駅界隈はその手のお店は皆無。ブティックやヘアサロン、カフェなどのお店がしばらく並び、すぐに高級住宅街があらわれその中をしばらく歩くと阪急マルーン(センスの良い小豆色)っぽい色彩で統一されたキャンパスが現れます。

【写真】阪急神戸線の車両 阪急電車は全てこの色(阪急マルーン)の車体に統一されています。

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『甲南』という言葉、六甲山の南側という意で、場所的なイメージとしては東は兵庫県芦屋市あたりから西は神戸市中央区あたりまで。お漬物の甲南漬のようなブランド名称でも用いられていて全国ネットではありませんが関西エリアではそこそこなじみのある言葉です。このあたりは、江戸末期の安政の五カ国条約により外国向けに神戸港が開港。明治期には外国人居留地が発展するにつけ貿易に関わる日本人も集まり独特の文化を持つ国際都市が生まれることになります。大正期には、日本人のあいだでも西欧的な生活文化の取り入れることが盛んとなり、フロイン堂さんのようなパン屋さんでパンを買い、テニスやゴルフのようなスポーツをして、週末にはフランス料理を楽しめるような富裕者層が集まるエリアとして甲南地域は発展してきました。特に関東大震災以降、日本経済の中心地として神戸と大阪はその重要度は増していきます。そのようないろいろ恵まれた地に甲南大学は生まれました。当初は甲南地域の財界人を資金により旧制私立甲南高等学校として誕生、戦後、現在の新制甲南大学となります。

その新制甲南大学の初代学長になったのが京大を退官した荒勝文策先生。一見ミスマッチにも感じますがそうでもありません。生まれは元々現在の兵庫県姫路、甲南大学の数駅お隣の御影師範学校神戸大学の前身)で学びその際、できたばかりの甲南高等学校で所謂非常勤講師を数年していたようです。 fou.hatenadiary.jp