FOU’s blog

日本の大学 今 未来

中国の大学2  つき合い方を考えてみる まずはお食事で編

写真が多いので編2では異文化体験・グルメ情報を中心に。編3で大学関連を書きます。

やはり東アジア文化

この編2での学びは、中国的な接遇。G7やEUの国々でお食事の機会があるとすれば平日の(ビジネス)ランチ的なものがほとんど。仮に夜何かあるとすれば、たくさんで行うパーティーやセレモニーの形で供され、それが終われば即解散。そのあと、もう一杯飲みに行きましょう!はありません。最近の日本でも、時間外の会食は、どちらかと言うと経費支出上・予算請求上の問題というショボい理由で(少なくとも国公立大学では)こんな宴会にお金がでることは無くなりました。

中国においても当然そのお金の多くは公費支出ですから、(特にこのような場合)賓客対応とその成果を求めていることには注意が必要と思います。この時の出張でも、現地でのロジ、食事について、北京・天津の2機関が連絡をとりあってケアをしてくれました。何が、どちらが、良いか?悪いか?ということではなく中国はこんなやり方で対応してくれます。

特に旧帝大や有名私立大学の学長クラスの幹部あたりが相手先機関への公式行事(国際学術会議の施行・学術交流協定のような締結etcで)のために行くと以下のこのような接待に巻き込まれることになるかもしれません。反対に言うと、訪問してお仕事終わったらハイ・サヨナラ的なおもてなしレベルならあんまり相手にされていないと理解すればと良いと思います。若い大学職員にはこのあたりも学びの場になると思います。おいしいものをホイホイ食べて喜んでいると足元を見られますので、常日頃より『心は許しても気は許さない』の気持ちは持っておくほうが良いと思います。

もれなく『党の人』がついてくる

これが中国の一番の特色。大学内や宴会で先方の自己紹介・他人紹介をする際、『このヒトは研究者じゃないけど偉いヒト(笑)です』とか言われ『そんなことありませんよ(笑)。ワタシは〇△です』とか言ってニコニコして握手してくる人がいます。どのような結びつきかは知りませんが、大学内にある党組織(中国共産党さん)の人も挨拶や宴席に加わります。このような対応は、現地でも日常化していているようで、公安機関的に特別何かに目を光らせているわけではありませんが、自分たちの研究の評価や将来について影響力を持つ人のようで、研究者さんたちも敬意をみせています。また、特に日本とのやりとりについては多少ナーバスになるのかもしれません。

外交プロトコルのお話

東京でとある研修を受けた際、元外務省の儀典をやっていた人が、大学における国際交流の講演をして(筆者個人的には)結構面白かった記憶があります。基本的には協定文書の作成方法、会議上での国旗の置き方、写真撮影の立ち位置等について、なぜそうするのかについてわかりやすく説明していただきました。その中でも記憶に残ったのがワインのお話。

ワインは大事

これは主としてG7・EU関係諸国でのお話。ある日本側主催のランチミーティングでワイン選びを一段良いものに格上げして提供すると(例えば、ブルゴーニュAOCの普通の格付けの白を1級(プルミエクリュ)にするetc)、ミーティング後、ワイン選びについてお礼があったりするとのこと。つまりワインは、本人にとって、ウマいマズい飲んでもわからない、という話は別として、出されるワインの等級によって相手側に敬意・誠意が伝わることもあるということ。人によってはバカな話にしか映らないかもしれませんが、そんな世界があることを知っておいても良いと思います。

余談のつづき、ワインについては、ブルゴーニュのワインは、格付けが分かりやすいのでセレモニーの時に使いやすいと思いますが、もう少し慣れてきたら、日本国内でのおもてなしなら、例えば日本産のワインで評価の高いものを出して説明するとか、アメリカから来た人たちにはナパ(カリフォルニア)の良い銘柄の選んで出して『アメリカ産を選びましたよ』的な話題提供で話を盛り上げるとかいろいろアドリブをいれるやり方はありだと思います。(まあ、大学ではしないでしょうけど。。)

韓国では羊羹?

関係してもっとトリヴィア的な(かなり信頼性の薄い)聞いたお話をすると、ある韓国の大学・研究機関の人たちは、日本からのお土産品でいただく羊羹を重視しているとのこと。最上位は虎屋さんのもので喜ばれるらしい。序列的には虎屋さんの羊羹の二本入りであれば最上位の誠意と評価し、他社や本数が違ってくると先方側で勝手に憤慨しているようです。

※韓国については、海外の大学事情シリーズでスペースを取りませんのでネタ的にはこれだけです。

日本のお土産文化は良く知られている

筆者の経験上、日本との国際交流を良くやっている外国機関では、日本からの訪問者がくると『お土産』を持ってくるのは、ある程度常識。それも単なるgreetingで値段の高いものではなく東京ばなな的なものでもご笑納してくれます。以下は写真で。

 

fou.hatenadiary.jp

 

【写真1】狗不理(包子)さん(天津) 天津ではこのブランド名の肉まんが有名。そのオリジナルを販売しているのがこのお店で豪華なレストランもあります。

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【写真2】狗不理さん(天津) お持ち帰りメニューも充実

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【写真3】狗不理さん(天津) レストランでの夜ご飯の様子 

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【写真4】 Chinese Cafe1(天津)  狗不理の食事が終わってから訪れた 天津市内の Cafe。中国スタイルの茶器でいろいろ作法をしながらお茶とお菓子(フルーツ)を楽しみます。お茶の銘柄等は忘れましたが台湾のお店とはまた違った作法と雰囲気。この時の中国出張の中のお店ではここが一番興味深かったです。

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【写真5】 Chinese Cafe2(天津)お店の人が茶器にお茶の葉を入れてお湯入れてのセレモニーをします。

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【写真6】 Chinese Cafe3(天津) おいしいお茶の出来あがり

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【写真7】天津大学内にあるレストランでランチ。普通にお昼ちょっと食べに行く学食の雰囲気ではなく、VIP向けの施設のようでした。

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【写真8】こちらは食料品デパート1(天津) 天津での天津甘栗とかお約束の定番商品が並びます。

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【写真9】食料品デパート2(天津) 中の雰囲気

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【写真10】西湖中餐庁(多分)1 記憶がおぼろげですが多分この名前のお店。天津市内にある所謂シーフード系のお店。

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【写真11】西湖中餐庁(多分)2 シーフード系といいつつ、出てきた東坡肉(トンポーロウ・少したべさしで失礼)のお話。北宋時代の蘇東坡(蘇軾)さん(唐宋八大家のお一人)のお名前を冠したお肉(豚)料理。蘇さんは、もっと日本の世界史教科書に出てくる北宋時代神宗年間で活躍した王安石さん(こちらも唐宋八大家のお一人)の新法党による改革を行った際、ライバル的な存在であった旧法党(旧法党)の人。時代的には日本では平安中期で藤原一族が権勢を誇っていた頃になります。東坡肉(トンポーロウ)は、左遷されて地方に飛ばれた蘇さんが作ったか何だかのもので、もちろん中国でも知られた存在(のはず)。ただ(筆者は知っていましたが)同席した中国人研究者さんたちは良くわかっていない様子でお料理の英語で説明してくれました。筆者私事ですが、小説は中島敦山月記とかが有名)を愛読し、中国の歴史には結構うるさい(とはいっても他人よりは少し知っている程度)こともあり、特に北宋南宋期の士大夫政治に興味のある者にはちょっとがっかりのレベル。反対に日本にいる日本人の方が、史記三国志のような中国の古典の読み物には精通している、と良く言われる実態を知ることができました。(中国人研究者さんの名誉のため弁護するなら、自然科学系分野の研究者だったからもしれません。)

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【写真12】全聚徳さん1(北京) 燻製にしているダックの様子  日本にも支店がある北京ダックの老舗のお店。たぶん中国国内でも北京ダックに関して最高峰のお店だと思います。こちらの経費負担は中国科学院さん系の研究所さんです

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【写真13】全聚徳さん2(北京)職人さんがうやうやしくダックを切り分けます。

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【写真14】北京 故宮天安門の周辺は、お昼でもモヤモヤしています。

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