FOU’s blog

日本の大学 今 未来

がんばれ!北陸の大学たち

よりによって1月1日に発生してしまった能登半島地震。現地でこの災害に遭われた方にお気の毒とか言いようがありません。衷心よりお見舞い申し上げます。そのような場所で生活し、大学受験を目指す高校生・受験生の方も大変な中ですが、なんとか希望する大学へ入れることを祈念します。ここではこんな災害発生時の大学入試を中心に考えてみます。

はじめに ー今回は共通テストを中心にー

これまでの筆者の経験上、地震被害の続く中での大学共通入学試験の実施は経験ありません。例えば、阪神淡路大震災の場合はセンター試験直後、東日本大震災の場合は3月11日ですから入試に関しては大半が終了している状況。

今回は、発災後2週間ほどで共通テスト(1月13日(土)、14日(日))を迎えます。余震が続くことも予想されますのでまずは安全確保のうえ無事に共通テストの実施を。各大学個別の入試に関しては2月に入ってからになりますので、準備の時間はなんとかあります、が、引き続き被災地の受験生への十分なケアが必要となります。

石川県にある大学

まず、北陸地方ですが、福井県、石川県、富山県新潟県。今回の地震の影響を受けた県と重なります。その中でも被害の大きい能登・奥能登エリアの大部分を抱えるのが石川県ですので、ここでは、石川県の大学のとりくみを考えます。

その石川県では、共通テストに8大学12会場で実施を行います。その中でも受入数が多いのが金沢大学で2779名。大学入試センター令和6年度大学入学共通テスト試験場一覧による)

基本的に、大学入試共通テストというものは、それぞれの大学にとっては、大学入試センターさんからの頼まれ仕事ですから、勝手なアドリブなしで言われたとおりちゃんと間違いなく行うことが鉄則。ですので、指定された時刻に試験を開始し、指定された言葉で試験問題についての説明をし、それから試験を開始し、指定された時間に終了し、場合によっては問題訂正の Fax が流れてきて、指定された時間内に各教室の受験生に板書等の指定された方法で周知する等々を粛々と行います。

多分、金沢大学さんあたりならMEXTとのパイプもあり手慣れていると思いますが、それ以外の大学さんは少し心配。余震が続く中でイレギュラーな事象が発生するかもしませんので、大学入試センターさん、MEXTさん等の関係機関としっかりしたすり合わせをして試験日当日をむかえてもらいたいものです。

筆者が気になるのは、試験当日の地震の発生の対応。(多分)試験実施会場に震度4を超えるような地震が、試験時間中に発生した場合、まず受験生への安全確保が優先されますから試験を(一時)中止する方向に進むんだと思います、が、若干揺れを感じるような震度3以下の揺れが生じた場合はどうするのか?。緊急地震速報での数値情報を得るのも数分かかるでしょうから、試験の中止もしくは試験時間の延長等を行って試験を継続する等難しい判断を短い時間内に行う必要があります。(特に試験時間中に揺れが生じた場合の受験生の動揺は非常に大きなものなりますので万全の準備が必要だと思います。)

そのため、一番不安になっている受験生にも予め試験時間中に地震が発生した場合どのように試験が実施され安全確保が行なわれるのかを事前に周知し知ってもらうことがとても大切。それぞれの大学は受験生が安心して受験してもらえるようにしていただきたいものです。

おわりに

残念ながら、日本に住んでいると何かしらの災害に見舞われてしまいます。北陸地方はこれからが冬本番。何とか早く雪と寒さが本格化する前に復興支援の目鼻立ちがつけばと感じます。大学に関して言えば、大学自体の仕事に加え、文科省から被害状況の把握のため様々な調査・報告依頼が来ていると思います。それでなくても忙しい時期だと思いますが、がんばって乗り切っていきましょう。

www.dnc.ac.jp

神戸市さんが王子公園駅界隈に大学誘致したのが今後どうなるのか考えてみる6

令和5年12月22日、ついに神戸市さん法人関学さんとで、正式に王子公園で大学を作る基本協定の締結を行いました。なお、キャンパス名は『王子キャンパス』とするようです。

ふわっとしたことしかいえない事情

協定書締結のセレモニーには、森康俊関学学長、村上一平関学法人理事長、神戸市側からは、久元喜造神戸市長とで実施され、みんな満面の笑顔。そして記者会見も行われたようです。

改めてですが、新キャンパスの方向性は、これまでに公開されたものと大きな変更はありません。その理由は、大学と市がいくらここに大学作ります、と言っても文科省に書類を提出し承認を得る必要があるから。そのため、ある程度、文科省とすり合わせのうえ計画を固めていかないとそのうち文科省から(酷く)怒られます。というか申請が認められなくなることも…。ですのでこれから数年は派手に花火を打ち上げて騒ぐのは良くありません。

https://www.city.kobe.lg.jp/documents/58605/kyotei.pdf

【 大学の設置認可・届出制度】これに基づいて書類を文科省に提出して、長い審査を行うことになります。

www.mext.go.jp

それでもその中で見えてきたもの

4000人規模のキャンパスを作る方向性は変わらない

発表の際は、コメントも基本的にはこれまでの事業計画に基づくもので、新学部文理融合、社会人のリカレント・リスキリングを行い目新しいものを作る、キャンパスを国際交流の場とする、というもの。文科省がらみで、多分学部名称のような詳細を個別具体的に入れるのはまだ時期尚早と考えているのだと思います。ただ、その中でも多少具体化・数値化したものも以下に見受けられました。

一つだけ数値化がみえてきたのが留学生(外国人学生)数。キャンパスの学生のうち20%程度を留学生としたいようです。ですので、基本計画どおり4000人の学生が学ぶとして、そのうち800人程度が留学生とする勘定。そこで、一般的な日本国内の大学での留学生施策として考えないといけないことは、①英語で授業、②留学生へ授業の実施方法、③800人の海外からやってくる学生の寮はどうするの?あたりが(大学職員としては)気になります。

①英語での授業については、専門科目についても英語で授業が完結できる専任の先生がいるのか?これから獲得?は大きな問題。大学教授ってスーパーマンでもありませんので授業には耐えられない英語能力の人は結構います。

②留学生のためだけの学部・学科を作るのか?その仕組みが気になります。関西圏では兵庫県立大学さんが国際性の高い学部を設けましたが、組織的には学部として1440人規模(1学年330人で総収容定員1440人規模、定員外で1学年30人規模の留学生を受入れ)。関学さんの計画ではこの数値の5倍以上の留学生に毎年来てもらう必要があります。また、実際に新しい学部が動き出したら毎年200人の質の高い留学生のリクルートを行う必要があります。そもそも毎年新たに200人の留学生が来てくれるかって結構至難の業と思えます。最初のうちは大丈夫でしょうが、留学生の質が低下しだした場合、定員確保のため、特定の国に偏った留学生ばかりにならないか心配です。さらに、留学生がどうしてもこないので、気がついたら、1か月ほどのサマープログラムでやってくる海外の学生をカウントにいれ、お茶を濁したりしなうようがんばってもらいたいところです。※数値は兵庫県立大HP:学生学生定員現員表(令和5年5月1日現在)による

www.u-hyogo.ac.jp

③突然の800人規模の留学生のお部屋探しもチャレンジャーな話。近隣で留学生の多い阪大でも2000人程度ですから、一挙に800人増えるとなると関学さんにとっても大きな負担となります。筆者個人的な良案は神戸市さんと相談してポートアイランドや西区あたりにある市営の住宅の空室を改修して留学生寮として利用するのがエコで良い気がします。それでも施設の維持管理は大変。

図書館や食堂等キャンパスの市民への開放は行う

どうも神戸市側の期待が大きすぎます。例えば授業実施期間でもない8月に(学生も少ない中)市民のためだけに食堂開けたりするんでしょうか?。珍し好きの近隣住民の食堂利用過多や過剰要求も容易に想像できますし、入室禁止エリアへの無断侵入や、事件・事故等も起こるかもしれません。図書館の活用も大学図書館と公立図書館とでは異なる部分も多いので、市民の期待どおりに使えない部分も多く生じてきます。

学生数調整が一番の課題

これも前から書いていますが、多分、関学さんとして一番の頭の痛いところ。今の関学さんの学生数は25000人くらい。新キャンパスで4000人の学生を見込むとして、その数が自動的に増えて29000人となることは絶対ありません。こんなことやりだしたら首都圏にある大学も、どこそこに新キャンパスを作り4000人定員増やしてくださいとか言い出して大学の定員管理の意味をなさなくなります。

この課題については、文科省への申請時にいろいろな理由をつけておねだりすることになるのでしょうが、定員厳格化の中、筆者の見立てでは増えても1000人程度、場合によっては現状維持でやりくりするように言われても不思議ではありません。

記者会見時に学長さんも、このキャンパスのみではなく、他の学部・キャンパスにも影響がでることをお話されていました。どうするかと言うと、多分、今現在の関学さんの総収容定員を基準値とし、今回増える4000人を調整していく、例えば、他の学部の収容定員を、ちょっとずつ減らしていくもの、大学全体で学部組織を改編して大規模な数字上の調整も必要かもしれません。

ですので、他のキャンパス、他の学部の教員、学生の人たちも、突然、大学から、自身に不利益が被る可能性のある再編案が出てくると不審と混乱を招きかねません。多くの関学さんの関係者の方たちは王子キャンパスのある状態を思い描けていない段階と思います。これから現実味がでてくると様々な歪がみえてくるかもしれません。

まとめ

筆者も神戸市民であり、大学での職員生活も長かったのでこの新キャンパスのお話には関心はそれなりにあります。ただ、基本的には、与えられた土地にキャンパスを作るだけの単純なお話。旧市営公園の土地を割り当ててもらっているので、関学さんは神戸市さんと様々な調整は必要でしょうがそれ以上の話でもありません。逆に神戸市側が、売り払った土地の上に建つ建物のデザイン・構造や周辺環境の整備、大学が市民へ提供するサービスの内容についてまで重箱の隅的な視点で口を出してくるのは、関学さんにとっては迷惑な話に感じます。そんなに話を盛り上げる必要もありません。

筆者が最初に書いたように、大学病院関連の医療施設であったり、動物病院併設の獣医学部の設置の方が粛々と進んだような気もします。時計を戻すことはできませんので、今後の関学さんのがんばりに期待です。

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【恒例】令和5年度 第20回日本学術振興会賞の受賞者の状況について考えてみる

2023年12月20日付けで、令和5年度の日本学術振興会賞の発表がありました。昨年度の2022年に引き続き今年度の動向について考えてみます。それと同日付けでもう一つ発表のあった招へい長期の採択者の中にも気になる人がいましたのでコメントをしてみます。※気にる方は詳細をJSPSのHPでご確認ください。

令和5年度の特色まるっとみてみる

去年とあまり変わりません、と書いたらブログが進みませんのでいくつか気づいた点。そもそもですが、この推薦事業では、機関推薦と前回からの継続推薦の候補者を入れ約500人の中から(多分)学術システム研究センターでプールしている分科細目別の専門家の先生たちにピアレビュー(査読)をしてもらって得点化して絞り込み、最終的に審査会で25名を決めていく流れ。

まず、審査会委員の顔ぶれ。13人の方で会議をやって最終決定をするのですが、OKな部分は女性の委員数6名を割り当てていること。このことは、JSPS(MEXT)の気配りが感じられました。ただ、委員の中に東大と名の付く身分の人が5人いるのはなんだかなあと感じます。もうちょっと工夫して他の大学・機関の入っている方がそれらしい良い印象。筆者は物分かりが良い方なので東大だからといって気にしませんが、一部の方は『だから学振や文科省は東大とズブズブなんだ!』とか主張するので注意した方が良いと感じます。なお、当委員会の目的は最終決定であり、若干の微調整はあるかもしれませんがそれに大勢に影響は生じませんし、このレベル事業になると東大関係の委員がいたとしても東大候補者を強引にねじ込むこともありません。

選ばれた25人

印象的だったのは女性の決定者が4/25であったこと。今の日本で40歳前後で活躍できている女性人材が如何に少ないことへの対応は待ったなし。そんな中、小野田風子さん(阪大人文学研究科(特任助教)・日文研でもポジションあり)は、他の受賞者より10歳若く(31歳!)て選ばれていて、研究内容も『スワヒリ語の作家研究及びスワヒリ語詩の発展史と社会的機能についての研究』という(良い意味で良く分からない)研究テーマも今後に期待ができそうです。多分よっぽどアフリカへ行った際のフィールドワークの内容や課題へのアプローチとかが独創的で目を引いたんだと思います。筆者としては小野田さんを今回の受賞の中で一番期待してみたいです。

他に印象的だったのは、個人というより沖縄科学技術大学院大学 OISTのお二人。お一方はアメリカ国籍、もうお一方は中国籍の方。OISTみたいに、しっかりした予算措置をして国際性を高めた教育・研究基盤を持てば、日本国内においても国際レベルの研究と成果がちゃんと行われる施設を作れるという証左だと感じます。

また、個人別ならユニバーシティカレッジロンドンで Full Professor のポジションを持っている斉藤一弥さん(42)と同じくブリティッシュコロンビア大学で Full Professor の谷内江望さん(42)についても今後の期待大。日本生まれ日本育ちの人もがんばれば若くして海外でもちゃんとやっていけることがわかります。

折角なのでもう一人ご紹介 ー招へい長期での採択者ー

まず始めに、この方は振興会賞の話とは全く違います。JSPSの振興会賞の発表の同日に発表された令和5年度招へい長期の募集で採択(工学系科学分野)でされた方。この人も気になりました。お名前は MIRUMACHI Naho さん。招へい長期の事業趣旨は、海外の大学等からの著名な研究者をお招きするものですので、ほぼ全員外国籍の方なのですが、この方のみが日本国籍。考え方はいろいろですが、海外の優れた(外国人)研究者を呼ぶべきだという考え方もあるでしょうし、MIRUMACHIさんのように優れた日本人研究者を呼ぶのも悪いことでは全然ありません。斜め目線でいうと、諸外国との研究者交流の面からみても、海外で活躍している優れた日本人研究者の数が少ないことを示しているのかもしれません。

受入れは東大生産研沖大幹教授(ざっくり国際水資源に関する大家)、MIRUMACHIさんのお名前でググると2015年くらいから論文や研究活動についての情報が(英語で)たくさんみることができます。ちなみに筆者が調べた限りでは漢字氏名は、美留町奈穂さん。国内でのキャリアは、慶應義塾大学法学部薬師寺泰蔵(名誉)教授ゼミ(ざっくり国際政治学の大家)を経て(多分)大学院は東大大学院新領域創成科学研究科に移ったようです。採択された研究課題は『持続可能な水マネジメントに向けた仮想水貿易分析による人間活動と水の相互作用解明』。2006年当時のppt資料でも、文理融合の手法によって国際河川管理へのアプローチについてを検討しそれを専門とされています。そして現職が 、(Full) Professor in Environmental Politics at the Department of Geography, King’s College London 。

※先に学振事業の採択結果が東大ばっかりになるとのことを書きましたが、(例えば) MIRUMACHI さんのような学歴・研究歴と指導教員の顔ぶれで事業への応募があったとしたら、ピアレビューする側の先生たちもケチのつけようがありません。実際のところ東大だけでなく京大や旧帝大のようなところにはMIRUMACHIさんのようなキャリアを持った人のような応募が集まるので自ずとその積み重ねで採択は東大であったり京大であったりばかりになるということ、どこの大学で働いている教職員も勉強がてら知っておくほうが良いと思います。

www.kcl.ac.uk

と、偉そうなことを書いている筆者も、MIRUMACHIさんのお名前を存じあげたのは今回のJSPSの採択者からですので決して全く大きなことは言えません。そのような自身の未熟と不明を恥じる一方で海外で活躍されている若手の研究者がいらっしゃることを知ることができると心強くほっとします。日本育ちの日本人研究者でもやればできるのですからもっと海外での活躍を目指してがんばっていただきたいものです。

※記載の出典の解説:学振の事業については、特に公費(国民の税金)で採択しているため、審査経過とそのプロセスを含めてHP等において積極的にその内容を公開をしています。各人や研究内容の評価については筆者の判断で記載しています。なお、研究者のキャリア調べをするのは結構得意な分野です。

まとめ

学振であれば、この顕彰以外にも、国際生物学賞や育志賞等々実施しているのですが認知度が思わしくありません。だいたいブログでこんなコメントを書いているのは(良くも悪くも)筆者くらいですし、どこの大学へ行ってもこのような受賞結果で盛り上がることはまずありません。

なお、それにしても筆者のがっかりは日本の私立大学。特に首都圏には、偏差値がそれなりに高いといわれる私立大学がそれなりに揃っているはずですが、その結果をみれば歴然、全く若手の教員の育成がなされていないことを知ることができます。

そんな中で、今回の受賞者の中で評価された私立大学は、芝浦工大さんと慶応義塾大さん所属の2名のみ。でも、よく頑張りました。

その反面、箱根駅伝ラグビー・アメフト・野球でなんかでわいわい盛り上がっている(特に)首都圏にあるたくさんの私立大学たちは、研究や教育に力をいれないことが顕著、このような受賞の際には影も形ありません、いったい何をやっているんでろう…。もちろんこの顕彰事業は若手(40歳前後)で頑張っている教員・研究者を対象にしているものなので、直接学生スポーツとは関わりはありません、が、そもそもの大学がなんのために存在しているのか?大学の視点というか求める先というかベクトルがあまりにも異なりすぎています。入学料・授業料を免除して返済不要の奨学金を与え、寮まで用意するような手法で全国から競技のためだけに学生をリクルートすることに奔走することより、それだけの金があるのなら、大学には他にもっとやるべきことがあることを考えてもらいところです。

↓ 去年はこんな感じ

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【追記の2つめ・同窓会のあとの melancholy 】大学職員として働くなら結局どこが一番よいのか考えてみる3

毎回この集まりのあと、自分の人生への自問自答とその憂鬱が訪れます。その理由はあとの方で。大学の仕事って難しそうに感じるかもしれませんが大半はこんなんなんです。

ケーニヒスクローネくまポチ邸のご紹介

同窓会の場所は、神戸旧居留地のホテルケーニヒスクローネさんのくまポチ邸。近くには神戸大丸さんや生田神社さんがあったりするところ。このくまポチ邸は、ケーニヒスクローネのホテルの1階と2階に設けられたゆったりとした喫茶・お食事コーナー。ここのランチタイムの魅力はたくさんあって、ざっくり2000円ちょっとで、メイン+サラダ+いろいろなパン食べ放題、コーヒー・紅茶も飲み放題。また、当日早く行けば、早い者勝ちで席取りができるので、仲間内で遅れてくる人も安心、これで時間制限もなし。そのため、いわゆる女子会的な利用者が多くなっています。ですので、オトコばかりで食っている連中の姿はあまりみません。お食事のクオリティーケーニヒスクローネのお名前でやっていますので普通にOK。どちらかというとボリュームが多すぎて食べきれません。このあたりにおいでになる方にはおススメのお店です。

【写真】ホテルケーニヒスクローネ 奥の方の白いのが神戸大丸

konigs-krone.co.jp

kobe-journal.com

この同窓会というか大学の時に仲の良かった雑多な連中の集まりも、コロナがあったため3年ぶりくらいの開催、今回は全部で9名の参加でした。

だいたいこの手の集まりの冒頭は『みんな元気にしてたん?今なにしてんの?』から始まり、各自の身の上話とかが酒の肴に。そのため筆者も『私は今、何をしてるんか』を説明する必要性が生じてきます。他の人物は『Aな、○○銀行から出向してメーカーの△△へ行かされてるみたいやわ』とか『Bから連絡ないねん、病気やと聞いてるけど大丈夫なんかなあ』とか『新NISAどうするん?あれ絶対いけると思うわ』のような話で盛り上がる中、筆者の持ちネタ(仕事ぶり)は以下くらいしかありません。

大学の日常 ーいろんな出来事をオムニバス形式でー

大学にかかってくる電話:このようなお問合せに真摯に丁寧に対応します。

①大学の近所の住民たちから、大学へ苦情電話『家の前にオタクの学生さんが違法駐輪されて困っとんや、タバコの吸い殻も落ちとるし』への対応。

②近所の住民たちから、市民講座担当へ電話『市民講座聞きたいんやけど予約はホームページからと書いてあるんやけどやり方全然わかりしまへんねん、この電話で予約やってもらえまへんか?』への対応。

③学生のおかあちゃんから、学生担当への相談電話『これから息子が免許とりに自動車学校にへ行くんやけどその間の授業は公休?にできるんですか?』への対応。

④学生のおとうちゃんから、学生担当へ怒りの電話『息子に聞いたらゼミの先生が、これから実験でRI(放射性同位元素)使ういうとんや!びっくりしたわ!なんでそんな危険なもんつかうんや!』への対応。

オフィスでも同じようなもん

教員(学生)から『教室のシステムで授業しようとしたら自分のマックPCでつなごうとしたらプロジェクタ投影できへんのですわ、ちょっと見にきてください』『教壇のPCにUSBさしたままになってへんか確認してもらえますぅ?あのUSB大切なんですぅ!』『○○教室行ったら鍵閉まってるんで開けてください(単なる部屋間違い)』『教室の一番後ろの座席にカバン忘れてませんでしたか?』『教授会終わった後、司会席のマイク切って部屋のカギ閉めたかなぁ?確認してきて!』

⇧ 等々をやっているともう帰る時間になっているもの。実際の大学って難しい仕事は控えめで、こんな感じで毎日やっています。

大学外の人たちの大学への関心が低いことを学ぶ

このような集まりがあるたびに感じることは、大学についての認識度。前向きにいえばそれを反対に学ぶ良い機会になります。ずっと働いている者には、『大学』って日常ですが、普通の街中の人たちにとっては、どこか遠いどうでも良い存在。例えば、北大阪急行御堂筋線)が延伸して箕面船場阪大前駅ができる話や大阪市立大学・府立大学が統合して大阪公立大学になった話なんかも『へぇそうなん』で済んでしまいます(事例としては多少オタッキーかもしれません…)。

良くも悪くもこれくらいの知識を持った人が日本人の標準っぽくて、同様に大学受験をする家族の大学の認知度もさして変わらぬレベルでしょうから、国公私立大の相違や、学部の選び方のようなそもそもについても、この程度の認識で選んでいることがよくわかります。だから、大学職員として危惧するのは、大学を選ぶ物差しも、予備校の提供する(信頼性に欠ける)偏差値であったり、FランでBFのような誇張されたイメージ、大学評論家とやらの解説を鵜呑みにしてしまうんだろうなぁ、と感じます。そんな心配ごとも自分たちのお子様が大学に入ってしまえばそれで終わり。

ふり返ってみて、筆者の良かったポイントは、個人的にも関心の高かった国際関係の業務に10年くらいつくことができたこと。筆者の場合は、学部の教務であったり会計・経理関係ばかりが長く続いているようならとっくに辞めていたかもしれません。反対に言えば、大学の中でも、総務が好き人事が好き広報が好きと自分の好きな分野をもっている方が長く働こうとする気持ちの支えになるかもしれません。

他人に自分のキャリアの説明をする時なんか、適当に盛って話せばそれまでなのかもしれませんが、それでも大学の仕事を説明するのは難儀します。これから大学で働こうと思っている方そんな大学でもがんばって支えていただければと思います。

 

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さっこんの大学等でのもめごとについてどうしたものかと考えてみる2 ー日本の文化とSDGs編ー

なんだか最近教育機関関係でのもめごとがたくさんメディアを賑わせています。その中でも筆者が感じるのは寮のあり方。大学以外の施設の問題を含めなんでこうなっちゃっているのか総合的に考えてみたいと思います。話が長くなりそうなのでこちらで①ー若者も寮生活編ー、もう一つで②ー日本文化とSDGs編ーとしてまとめます。最近次から次へと立て続けのトラブル多発で書くのが大変です。書き残したことは③で書く予定です。

日本の寮生活問題のいろいろ ー学生よりも管理者側に問題ー

若者が直面する教育機関内での寮問題は、一つの大学のアメフト部の寮に鎖かけて施錠すれば済む話とは到底思えません。また、そこにいる学生のみならずそのような温床を作る教育機関側に大きな問題を感じます。そのため、最近の状況を踏まえ、高校やその他学校・施設も含めて考えてみます。

なんでもありの高校部活動 ー完全に設置者側に責任ー

高校レベルの話になりますが、男女共学全生徒1000人規模の高校で、野球部員やサッカー部員が100人、場合によっては200人、両方足して300人をはるかに超える部員を抱えるところって結構あります(東北地方とか)。九州でも公立高校でも男子学生の半分が同一クラブに入っていることも。こんなやり方で(バカな)無敗のチームを作り誇りとするのは、私立高校だけかと思っていると公立高校でも200人超のサッカー部員がいるところも(九州地方)。この人数になると(単純計算して学校に1000人生徒がいたとしてその半分が女性として)各教室にいる男子生徒の半数は野球かサッカーいづれかのクラブに所属している高校が日本には存在していることに。設置者(特に私立高校)側に言わせると、ちゃんと教育やってコンプラは守っていますと言うのですが、はたしてこんなんで良いものか?。

これだけ多くの部員が集まる理由の一つは、高校によるスカウトとここでプレーしたいという生徒本人の希望、その家族の支援があるのが理由と言えます。その多くの部員は同じ寮での合宿生活。寮に同じ部員が集まる理由の一つにそ通常の通学圏外から生徒が集まってくることもありそうです。で、その寮の中では、部活の監督が寮監になり、その奥様が寮母となって栄養を考え、心のこもったお食事まで出してくれたりすると、生徒によっては happy に感じるかもしれませんが、別の言葉で表現すれば一種の抜け出すことのできない収容所であり監獄。私生活も含めて何もかも『上の人』からコントロールされた日々を送ることについて日本では問題視されません。世界標準ではないことを気づいてもらいたいところ。

このような状況の寮生活では、特に伝統的な日本文化の中では、そこで生活する生徒のマインドがこれは自分で選んだ道、家族やみんなが期待しているので頑張らなきゃ!となってストレスをため込むことに。宝塚など他の事例でもそうですが、家族等の期待と、自ら選んだ道であるとの逃げ場のなさとの重圧によって身動きできず行き詰まってしまうケースが多いと感じます。そのような中にいる生徒自身も洗脳されているとまでは言いません、が、スマホ取り上げられても外出を制限されても特に問題意識すら感じないメンタリティーに。そんな風通しの悪い中では、メンタルにも負担がかかるでしょうし、様々なハラスメントは生じやすく、表にもでにくくなることが容易に想像できます。

宝塚にある音楽学校&歌劇団もねえ… ー今のスタイルを未来永劫続けるのか?ー

もめごとが大きくなってきましたので、こちらでも実名で宝塚音楽学校宝塚歌劇団でのいろいろに変えます。命を絶たれた方の件は重く考える必要がありますが、それ以前にこの学校はどのような位置づけでこれまで存在してきたのか?。別項でお話したようにラマール先生がビデオでこの学校の特色ある授業を取り扱ったのが1999年のこと。今ある学校も、その当時のスタイルのままにして現在に至っています。昭和の時代まで、校内での何かと厳しいスタイルが見え隠れしていても芸の肥やし的な理解での納得感を得られたのもかもしれません。そんなことを、在版のテレビ・新聞社は良く知っていたくせに、急に突然、えっ!こんなことがあったんだ!と(ほんのついさっきまで良き伝統文化とたたえていたくせに)とぼけられ大騒ぎされてもこちらの方が気恥ずかしくなります。

さすがに今現在の日本では、ダイバーシティーであったりSDGsであったりの言葉や基本理念が日常化している中、本科生と予科生との意味不明で絶対的な上下服従関係、それが卒業してからも歌劇団の中で美徳として生き続けることは全くふさわしくありません。結局今のシステムは、一人の女性を加害者も被害者もしかねない状況を生んでいます。名残惜しく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが弊害が多すぎです。もう終わりにしましょう。

↓ ラマール先生のお話

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学校運営の検証が必要

筆者がこの学校が今後行わないといけないと感じるのは、組織全体、学校で携わる人たちの管理運営がどうだったか?について。音楽学校では入学時から始まる学校教育における全ての場面で、そして、劇団入団後を含め、他者への敬意、尊重について、学校、教える教員、事務組織全体で行われていたか?。この組織における奇妙な上下関係が生じるのはそれぞれの学生の個性というより、それまでの悪しき伝統と慣習に縛られ(多少の疑念はもちつつも)下級生へ自分たちの考える厳しい指導?を行っている部分が大きいものと思われます。

筆者の目線で気になったのは、設置母体であるクリーンでお上品なイメージの阪急電車さんの記者会見の内容……ではなくて、出席者の顔ぶれ。女性のみが生徒・劇団員である組織の管理責任を説明するため出てきて謝罪・説明をした3名はみんなオトコしかいません。このあたりも企業ブランド意識したメディア戦略をしないと、そんなんだから女性軽視でこんなことがおこるんだと言われてしまいます。こんなお話、こんな状況、他のG7諸国の皆さんへ恥かしくてお見せできません。(筆者が記者会見場にいたら絶対突っ込み入れます。)

ジャニーズの件も寮での被害 ーセクハラは同性間でもおこるー

この件も、その多くは寮相当の場所での出来事。ジャニーズのお話も日本の縮図といえます。異常な性癖のある故ジャニー氏による被害は、わかっているだけで1960年台から2010年台まで続く異常さ。そしてジャニー氏が亡くならないと表に話がでてこないもの情けないお話。

普通に考えて、未成年者が寝ているところにまで、ジャニーズ氏一人で出入りできるはずもなく(その人物が共犯となるかは別として)、事務所スタッフの誰かのサポート(どこに誰が寝ているかを伝え、部屋の鍵を開錠し物色する際のサポートをする等)が強く疑われます。だって、高齢のジャニー氏が、自由気ままに一人で寝ている少年の部屋に入れるはずは絶対ありません。なのに、そのことについては、今の報道の中でも封印。この事件においても、未成年者が寝泊まりする寮への(第三者的、中立的な)ケアが行われていれば被害者の数は未然に防ぐことができ、ジャニー氏への刑事的な処分も可能であったかもしれません。やはり寮管理者側の対応が甘いから少年たちを守ってあげられなかったと言えます。

この件も絶対的権力を持つ人の悪行をみんな知ってて黙っているのは負の日本文化の側面を感じます。男性間の性的なハラスメントも昔からよくある男色の類だといって看過できる話ではまったくありません。セクハラを中心とする性的な被害について、アタマの中で思い浮かぶ被害の認識が加害者が男で被害者が女性であるという認識は捨て去る時代がきています。

まとめ ーどうすればちゃんとできるのか?ー

これだけ書いてる筆者ですが、それでも具体の良い案が思い浮かびません。今すぐの対策なら、それぞれの機関において、必ず中立で個人情報が必ず保護されるハラスメントなどの生活相談窓口を何重にも設けることで一定の防止効果は得られるのではないかと考えます。監視社会的なにおいもしますが被害防止のためには仕方ありません。後は日本にいる人の気持ちの変化。世界を見渡して今の日本はおかしいと言うことに気づかなきゃいいけません。

プロ野球でもレベルの低いハラスメント事案が起こりました。閉鎖されたロッカールームでパンツ脱がせて逆立ちさせるようなことがずっと行われていたという話、メージャーリーグ関係者が聞いたらひっくり返ります。このことを万事の反省材料とするのなら、プロでもこの調子なんだから、当然中高大学でも、男女を問わず必ずハラスメントは発生しうることを想定すること。でないと、安心安全な寮生活・部活動ができる環境を作らなきゃいけません。

 

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日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる ーやはり国際感覚ゼロー 3

日大アメフト部さんの薬物使用のお話はどこへやら。日本大学さんの統治機構は破綻へ。

日大さんはどこへ行くのやら

いつも言っていますが、筆者は理事長派でもアンチでもありません。ただ、超巨大な大学を統治し立て直すには(いろいろあっても)誰かが、理事長さんや学長さんになってがんばるしかありません。

今がんばっている理事長さんたちは、やることなすこと否定され責任追及の嵐。おまけに意味不明に報酬は半減され辞職勧告までされてしまう始末。さらに理事会構成員(副学長)からパワハラで提訴まで。

他の大学でも、ヒドイ事件がたくさん起こっている中、メディアは日大さんにだけ別格の取り上げ方をしています。また、そもそものアメフト部の違法薬物のお話はまだ進行中であるにも関わらず、その関心事は理事長の責任追及ばかり。他の大学にも不祥事はたくさんありますが、理事長の自宅や大学の本部前までカメラを持ち込みコメントを求めるのもこの大学だけ。

可哀そうにこれでは、理事会による通常の大学統治はしばらく出来そうにありません。今後もメディアのスタンスは変わりそうにありませんので混乱は長引きそうです。これでは今年の大学入試へも影響大。

筆者は、面白可笑しく大学を取り上げるタイプでもありませんので、これくらいにしておきますが、なんとか普通に戻ることを祈るばかりです。

 

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【短編】千葉科学大学ってこれからどうなるのか考えてみる

大阪(伊丹)から飛行機に乗って東京(羽田)に行くとき、低空で房総半島銚子付近からきれいな海と丘陵地帯、ゴルフ場を眺めつつ東京湾へと入っていきます。とてものどかそうなところ。そんなところにある大学の将来がどうなるか懸念されています。今後もふえていくであろう地方の私立大学の公立大学化の良い判断基準になると思います。このブログでのスタンスは、この公立大学化はお断りした方が良いのでは…です。また、この話を書いていて感じることは、今に至るまでの『そもそも~』の話が多すぎです。

千葉科学大学さんが、学生が来てくれないので公立大学に設置変更してくださいと銚子市さんへ言っているみたいです。最近の日本のアマアマの世の中の縮図に感じます。ことここに至って言っても詮無き事ですが、なんでこの地にこのような大学を作ったのか…。どのような結論になるかはわかりませんが、オトナの火遊びで学生さんや地域住民に迷惑がかからない方策を考えないといけません。

決めるのは銚子市さん ー問題は薬学部ー

千葉科学大学側の立場は、一生懸命頑張ったけど定員に満たない(70%未満)ので(今はやりの)公立大学化を求めています。ただ、この大学、設置・設立した2004年の時からミステリアスで、銚子市から不動産やハコモノの支援をうけるような密接な関係(下品な言葉を使えばズブズブ)を築き、さらにどうみても経営状態が良くない中、看護学部の新設(一応市側の要望)まで行っています。大学ができて20年ほど、設置母体の運営に疑問が残る中、今回はさらなる支援要請(というか経営放棄)。ですので、銚子市さんはいろいろ考えてどうするか考えないといけません。

銚子市にとっては存続させる方がリスク大

一番の心配は、薬学部。そもそも薬学部というものは、教育と研究、さらに病院等での実習も必要。その分、市の負担が大きくなります。そんな中で、公立大学法人化すれば、私大なら年額一人当たり200万円の授業料求めていたところを、50万円程度の授業料収入のみ。場合によっては更なる減免措置を行いますので、大学経営上は必ず赤字になります。地方交付税の増額はあるのでしょうが、それだけでは追いつきません。

そもそも、人口6万人足らずの小さな銚子市に、市としてなぜ薬学部の設置が必要か?もちろん、過疎の進む地方都市ですので、薬剤師の不足はあるのでしょうが『学校』まで作る必要は感じられません。そのような場所ですので教育環境にも課題がたくさん。コアカリができるレベルの実習・研修先も銚子市内には見当たりません。おとなりの旭市に大きな病院(国保旭中央病院)があるみたいですが、そこばかりに実習を依存することもできません。今現在もそうなのでしょうが、5年次、6年次の学生は大学から遠く離れた病院で実習を受けることに。公立大で成功している和歌山県医大薬学部の場合、大学内にはもちろん大学病院があり、医学部との交流が可能、実習先も県立病院、市立病院もたくさんあります。やはり、銚子に単独で設置された薬学部では、多くの面でロケーションの悪さが気になってしまいます。

銚子市だけじゃ無理

以上、いろいろ考えてみて、人口6万人足らずの過疎化の進む一つの市だけで薬学部のある大学を賄うこと自体が無理。その必要性も見出せません。仮にどうしても公立大学化での存続をやりたいのであれば、銚子市は千葉県や近隣市町村を巻き込んだ形での公立大学法人を設置する方がまだ良く思えます。相手方が承諾すればですが…。

蛇に睨まれた? ーどうも力関係が…ー

この大学の学長さんは、元文科省キャリアさんであったり元議員さんがやっています。(単にメンタリティーの問題にすぎませんが)さらにその上の理事長さんと学長さんが人口6万人足らずの銚子市役所へ談判しに乗り込んできて、市長や事務方に何とかしてくれと言われたら、受ける立場の人にとっては大きなプレッシャーなるのかしれません。(筆者が担当の係長だったら病気事由で1年間お休みを頂戴してしまいそうです。)ですので、そんなプレッシャーの中、銚子市さんは、今までの関係は、一応、winwin に見える形で進んできたのかもしれません、が、だからと言って銚子市さんは、今回法人の逃げ得を許して良いものかはよく考える必要があります。特にこの大学が設置母体の法人から銚子市に移管されたとしたら、今の経営責任者は、これまでのことを責任回避でき、今後の経営責任は市がすべてを負ってしまうことになります。

今回、(多分)大学と銚子市さんとの交渉がうまくいかなかった場合、(大学経営がうまくいっていないことが表面化して)今後の学生募集にも影響がでるかもしれません。だからと言って銚子市さんが、公立大学化して救済するのもヘンなお話。やはりどこかでケジメをつる必要があります。それが今だと筆者は感じます。

その他いろいろ

この法人のパワーは、獣医学部新設の際には、これまで岩盤であった旧勢力への突破力となったと思えますが、今回の場合は、あだとなっている印象。いつも筆者は書いていますが、私大で学びたい人は、その大学の偏差値のような受験情報だけでなく、どんな人が設置母体にいるのか知っておくほうが良いと思います。こういうタイプの教育系法人は結構あります。初等中等教育(高校とか)でもあるし、専門学校でも、そして大学でも。

・薬学部6年制はとても長い

薬学部は、標準修了年限を6年に設定していますから、大学に何かあっても、少なくとも入学してから6年は学生の面倒をみないといけません。仮に途中で閉校するとしてもこの学生が卒業するまでの間、大学はカリキュラムを維持させる必要があります。そのスパンが4年制学部よりさらに2年要するのは時間軸として負担が増えます。公立法人化をしようがしまいが今後の経営は大変です。なので、定員充足の悪い、私大薬学部を受験する際は、経営基盤の安定したところを選ぶ必要があります。

・今後はどこでも起こりうること ー設置した法人の清算能力に期待ー

最近、関西圏でも神戸海星女学院大学さんが閉校を決定してその準備に入っています。ですので、大学の閉校はそれほど珍しい話でもなくなってきました。ただ、薬学部を設置する大学の存続が厳しいということが露呈したのは(多分)今回が初めて。

そもそも、出来て20年ほどの大学が学生が来てくれないとブツブツいうのは、大学側の自助努力の不足や目測誤りがあったと言わざるをえません。今後は(必要が生じた場合)学んでいる学生に迷惑をかけないようにしつつ、粛々と自分で募集停止、廃校までしっかりとやらせるべき。教職員の雇用継続も(岡山に薬学部はありませんが)求められれば理系学部が多いのでなんとか吸収できると感じます。これ以上、地方公共団体に依存しても良いものは生まれません。もちろん政治力を使うのもだめです。

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