FOU’s blog

日本の大学 今 未来

日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる ー国際感覚ゼロー

日大アメフト部さんの寮内(中野区)で薬物使用の情報提供があったようで調べてみたらそれらしいものが出てきたようです。8/13(日)現在、使用者が逮捕され捜査継続中。アメフト部自体は練習再開をしたようですが今後の大会参加が認められるかで議論が続いているようです。

メディアの取材方法・能力は(悲しいけど)日本社会の縮図ーテレビはカオス状態ー

例えば、欧米の大学のドミトリーの中で、大麻(みたいな)の吸いさしが見つかった。(家族や知っている人たちが)かなり前から大学に言っても相手にされない(らしい)。最終的に警察がやってきて調べてみたらやはり大麻だったので逮捕された。

と、いうことがあったとして、こんな進行中の未成熟なネタに食いつき、さらに記者会見での対応がヒドイと、重大ニュースとして連日全国ネットでとりあげ、(限られた不確実情報しかないのに)様々な事情通(らしい)のしたり顔のコメンテーターさんたちをわんさか登場させ、大学の対応や理事長の資質・進退をまで問題視してどうして非難しちゃうの?です。まず、この一点でお話は詰んでいます。

筆者は、関西系ですので、日大さんとは縁もゆかりもなく、過去の拙記ブログでは日大さんに関していろいろ批判的なことを書いてきました、が、この件については、日大さんがかわいそうに感じます。明らかに日大だから記事になる、という考え方でメディアは動いています。他にも同じタイミングで朝日大学さんや東京農大さんで日大さん以上の薬物問題があるのに完全スルー、八月お盆のネタ無しシーズンだからか日大さんへの風あたりは尋常じゃありません。

日本の大学の薬物問題

日本の大学では、2000年代の中ごろから違法薬物による逮捕者数が増えてきたため、それぞれの大学において、個別・合同で学生への意識調査や啓蒙活動を行っていますが、毎年50人~100人程度の逮捕者がでているようです。実際の違法薬物利用者は(表現は良くありませんが)台所のゴキブリのカウントと同じで、この数値を基本として、その何倍かはいると考えるのが妥当と思われます。ただ、数値上、近年逮捕者の大きな増加の動きは見られません。また、薬物関連で言えば、運動選手の身体能力を一時的に向上させるため、禁止もしくは使用に注意を払わないといけないような薬物の使用も気を配る必要があります。

今回の話題より筆者の気になるところは(今のところ何かある訳ではありませんが)首都圏の数十の私大が、大学駅伝競走での好成績を目的に全国の高校から候補者をかき集め、ストレスの高いトレーニングを実施しています。長距離走での団体競技になりますので、それぞれの走者の時計をあげるため科学的なアプローチ(体脂肪率低下のための過度な食事制限や鉄剤投与とか)を行いますが、このようなことも自宅でやるより寮内の方が行いやすいということはあると言えます。このようなお話にはメディアは何も触れません。

ついでに言えば、どこかの駅伝中継なんかを見ていると、運営管理車からの声かけなんかも平気で『オメェオトコだろ!死ぬ気でやれっ!』的な厳しい言葉で鼓舞をする監督さんがいて、小心者の筆者なんかは、普通に現在のテレビでは放送禁止用語に感じます。こんな人が、女子駅伝の監督だったら、何て言葉で鼓舞するんだろうなあと心配になり考え込んでしまいます。で、こんな監督のいる大学に限ってグローバルやダイバーシティという言葉が大好きで、SDGS宣言したりしているのでさらに筆者の困惑の度合いが増していきます。ですので、このような背景の中、このタイプの監督さんが寮や競技の管理をしていると、一部の学生はプレッシャーから逃れるため薬物の誘惑に惹かれてしまうのかもしれません。

もはや、日本の大学における薬物問題は大騒ぎするだけの時代は終わりました。欧米の大学なら非常に容易に様々な日本における禁止薬物は手に入ります。問題はそんな薬物汚染の中からいかに学生を守るか。いちいち個別案件で大騒ぎしても仕方ありません。筆者は、海外とあまりにかけ離れすぎた報道のアプローチを見るにつけ悲しくがっかりの気分になってしまいす。是非日本流?のアプローチしかできないメディアの人はそこいらの海外メディアの方(CNNやBBCさんあたり)を逆取材して『自分たちのやっている報道ってどう思います?』と聞いてもらいたいものです。多分の欧米の人なら『そんなのやっていそうな人がいるんだったらすぐ警察に言えばいいじゃん』で済んでしまいそうです。今回の日大の件も、刑事案件なんだから、寮内だろうが学内だろうが警察や麻取さんに言って対処してもらえばそれで済む話です。大学を絡める必要すらありません。

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悪しき伝統あふれる大学での日本型寮生活の縮図

この伝統文化、日本帝国陸軍・海軍の時代から培ってきたもの?が、いまだ令和の時代にも生き続けています。事実上、寮とは名ばかりの長期合宿管理施設内で、(仮に)1年次学生は下級年次だからという理由一点で(例えば)すべての寮生の洗濯をさせるような文化がある中、先輩から『コレ飲ってみろ!』と誘われて『コレ犯罪ですよ』と言えるかどうか…。今回は違法薬物に関する件でもめていますが、この合宿形式の(逃げ出すことができない)寮生活自体がこのままで良いのか…。まず、国公立大学にこのような特定の目的のために存在する寮はありません。こんなところで時間を拘束される学生たちの基本的人権、ちゃんと理由がなくても自分の判断で外出できたり、(学生の本文の)授業を受ているかのレベルで心配。スポーツ入学だからという説明は理由になりません。

まとめ

特にこのことは、ホントまとまりませんが、、メディアは何を聞きたくてどうなったら良いのかが全然見えてきません。メディアのみなさんは、薬物問題より、マンモス大学の理事長つかまえて『そんな情報も知らなったのかっ!大学統治が出来ていない!』的なことで責めてギャフンと言わせることがお楽しみのようなご様子で困ったものです。林様にはお気の毒ですが、この場は耐えていただくしか道はなさげです。残暑の候、お悔み申し上げます。

 

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