FOU’s blog

日本の大学 今 未来

【無理】大阪公立大学は国際化するのかしないのか一応念のため考えてみる ー多分しませんー

あれは府知事や市長が大学がこんな感じになったらいいなあ♡の妄想を言語化したにすぎません。こんなんで大学が変わるのなら日本中の大学がもっと良くなっています。キャンパスでみんなで英語でお話できたらいいですね。

ことの発端 -2024.2.9第13回副首都推進本部(大阪府市)会議ー

この会見の場で、大阪公立大学の第1期中期目標期間(2019~2024年度)に続く第2期中期目標期間(2025~2030年度)の概要説明があり、そのポンチ絵資料ととも、府知事・市長から大学の国際化や秋入学について行われた会見内容を、一部のメディアが脚色をつけて盛り上げている状況。メディアによっては『秋入学一部実施』ということを全面的に実施するかのような誇張していたりで(レベルの低い)混乱が増幅しています。筆者もこの府知事の発言はテレビ等でみましたが、政治・政略的な観測気球や花火の類(たぐい)というより自分の思い描く大学像を(良くも悪くも)自然とお話したように感じます。それは、実際のポンチ絵をみればわかりますが、それほど過激なことは書かれておらず、府知事さんの発言とは確かに齟齬が、そのあたりも踏まえて筆者の国際関係の評価は以下。(ポンチ絵のマル数字に沿って書いています。)

①外国人研究者・学生の増加

総花的でどこででも用いられる表現。重要なのはどのように国際化の進展を図るのかです。

②受け入れ・支援体制の整備

この大学は、今のところやっていない気がします。ほぼゼロからの出発。だからこれからどうずるか?。この4月から新設部署をつくるようですが、留学生や外国人研究者を支援するっていっても手間暇がかかり対応できる人材育成も必要。まずはボトムアップが必要。

③海外の大学・機関等との国際ネットワーク・海外への情報発信の強化

このお話もすでにどこの大学でもやっています。この大学のウィークポイントとして学部と見比べ大学院が充実していないので、研究レベルでの交流基盤が見劣ります。このことでも大きな努力が必要。※関連して英語大学名称についても最後部分で触れます。

④日本人研究者・学生の海外留学・派遣の促進

金目のお話は、自己資金が潤沢にある大学でもないので、MEXT、JSPS、JASSO あたりの科研費のような外部資金に依存することになるんだと思います。ただ、このことについても、大学院が充実していないので、海外との人的交流の方法もボトムアップから始める必要がありそうです。

⑤THE世界大学ランキングの向上

なにをどうやって向上したいのかよくわかりませんが、英語論文の作成・引用数や外国人教員・研究者・留学生数のような国際交流実績を地道に伸ばしていくこと。なんとなくニワトリ&タマゴ論に行きつきそうですが、相当な時間と努力が必要です。急には無理。

で、分かりやすい単純計算をすると

関学(王子キャンパス)の時も書きましたが、留学生がたくさんの新設学部を作るとして仮に1学年100人の留学生を招くとします。その100人をどこでリクルートするのか?。来日したとして留学生のための宿泊施設はあるのか?。専従で英語で専門科目の授業ができる教員が何人いるのか?等々突っ込みどころがたくさん。2027年度あたりからの始める意向のようですが時間的もかなり厳しく感じます。

国力が落ちつつある日本において、留学生の獲得は簡単なものではなくなりました。口を開けて待っていたら優秀な留学生がやってくるわけでもありませんので、その獲得にも相当な努力が必要。先行している大学では、海外でのエリート層の受験生を獲得するため、海外での広報活動の充実と現地での受験機会を提供を行うなどしていますが、そのノウハウを今から獲得する必要があります。

そんな状況ですので、学部レベルでたくさんの留学生が毎年来てくれることを期待するのは絶望的。まずは近隣の大学でがんばっている神大さんの国際人間科学部兵庫県立大さんの国際商経学部などを参考にして身の丈にあった国際交流施策を行うことが良いように感じます。特に兵庫県立大学さん国際商経学部はよく練られたコースを作っていて留学生のための寮も新設、それで募集人員が30名。多分この程度の人数確保が精一杯だと思います。ですので、関学さんのお話もそうですが、キャンパスに留学生がたくさんいる活気あふれたイメージは日本人独特の希望と妄想の類です。

秋入学の考え方

まず大学院から始めて、学部にも拡大するようです。で、筆者の評価はコメントはこんなんしてもいみありませんです。また、大学院(旧府大工学研究科?)において英語授業のみで修了(卒業)できるコースも作りたいようですが、こちらもノウハウなしの突然開始ですから担当する先生たちが疲れるだけで可哀そうです。

もちろん入学・受験機会の多様化・複数化を目的として秋(入試)入学を行うこと自体は悪いことではないし、他の大学でもすでに行われていますが、この大学ではその需要も必要性も見出せません。こんなんして結局入学者ゼロの大学院がたくさん出たらとても恥ずかしいです。

英語公用語

筆者としては論評する気力も失せてしまう話。キャンパス内や社内での多言語化は必要があれば(McGill Univ.(英・仏)とか)行えばよいのでしょうが、ホンネではみんな?としか…。偉い人が思いつき発言したらみんな困ります。『府知事あなたは疲れていいるのよ…』by X Files

👇以下は参考情報をいくつか

他の場所でも取り上げていますが、このプログラムは日本人にとっても留学生にとっても魅力的です。筆者のおススメ。

www.u-hyogo.ac.jp

神大の人社系学部・研究科で行うプログラム。こちらも良いと思います。

www.fgh.kobe-u.ac.jp

関学さんの新キャンパスのお話。こちらは行く末が心配

fou.hatenadiary.jp

今回の公大国際化話の発端

www.pref.osaka.lg.jp

むすび

ほんとに国際化したいのかの本気度が不明 ーせやから4年前に言いましたやん!ー

今回の『新たな取り組み』内には、戦略的な情報発信・「サイエンス」「ネイチャー」等への研究論文の掲載と、その積極的な情報発信 の必要性についても書かれています。要は国際化の推進をいろいろ行いTHEのようなところでのランクアップを目標にしています。

筆者の違和感は ちょっと前まで University of Osaka で英語大学名称を推進したこの大学に Science誌 Nature誌 への投稿件数を増やすことを目標値として掲げられてしまうとただただ驚き戸惑ってしまいます。まずは、海外で知られていないこの大学と英語名称(Osaka Metropolitan University) の認知度・普及に努めることを優先しましょう。4年前のことはみんな忘れても忘れないからなぁ!

fou.hatenadiary.jp