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日本の大学 今 未来

タイの大学 バンコク編3

バンコク編の最後はタイで感じる多様性の社会・いろいろ違うものを考えます。多少気難しいお話になりますが関心のある方はご一読を。あとはグルメ情報。

タイでSDGSとLGBTQを考えてみる

1 街中で普通にみかける

例えば観光客の立場でショッピングセンター行ってみると牛丼屋さんの呼び込みやレセプションに女性のユニフォームを着た(性自認の異なる)男性が普通に対応していたり、宗教面で言うと(タイは仏教国のイメージが強いですが)レジでヒジャブ姿の女性も普通に働いています。筆者の印象では、(それが日本人のイメージする多様性と言えるかは多少疑問ですが)マイノリティーという定義より遙かに多くの人たちが共存しているのように見えます。

筆者にはタイ人の知人がいますが、この人の家族の中でも親類で二人兄弟がどちらも性別適合手術(今はこの言葉で表現するよう)を受けて女性化してしまったり(それ以外にもう一人いてこの家族で手術したのは計三人みたい)と(数字を持っていませんが)日本以上に高い比率で家族や会社、大学の中、身の回りに日常化しありふれた存在になっています。男→女については外形上分かりやすいですが、同様に男性を目指す女性も相当数いるよう。このようなタイの現状は、LGBTQのような言葉が生まれる前から、例えばエマニエル夫人(映画)の舞台がタイであったように、性に関する寛容度が他の国と異なる側面もあるのかもしれません。この映画が話題になったのが1974年でベトナム戦争の最終期の頃。欧米では反戦平和の風潮は盛り上がっていたでしょうが、ウーマンリブの主張はでていても、性自認云々のお話はそれほどされていない時代だったように感じます。筆者の感じる欧米との違いは、例えばモントリールはゲイを中心としたマイノリティーの存在は過去より認知され、滞在していた時もゲイパレード的なものとは良く出くわしていました。筆者のイメージでは、欧米の場合、マイノリティーのためのしっかりしたコミュニティーがあり、そこからの情報発信や主張が展開されるように感じます。方やタイの人たちはそれぞれ個人の内心の気持ちが優先されているように感じます。そのあたりはみなさんがタイを訪問した際に感じとってください。

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2Medical Tourismとの関係

日本の場合、今のところ、性別適合手術はいくつかの大学病院を中心に実施されているようですが法的縛りが強く(多分)倫理委員会だの第三者委員会だのと健康保険適用の可否にかかる手間暇がとてつもなくかかるので手術を求める人たちのモチベーションを下げてしまいうまく機能していないのではと感じます。

一方、タイの状況。中所得分類国(国連&世銀)の仲間入りをするにつれ、バンコクではのっぽのビルがたくさんでき、それにつれ大学進学率も50%近くにまで上昇しています。このような経済の発展段階による大学の存在意義の変容についてはマーチン・トロウさんの本を読むと掴みやすいと思います。そのような状況とともに、もともと医療関係の教育とシステムは、質量ともに東南アジア地域で最も優れた環境にありました。そのもう一つの要因はプミポン前国王時代から行われていた王室プロジェクトの一環で医学教育の発展に重点を置いた施策が行われたこともあると言われています。

MEXTの古めの資料ですがタイの関係する国の状況がわかります

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2013/04/17/1333454_11.pdf

マーチン・トロウさん、薬学部のお話の際も出てきました。彼の没後からだいぶたち、時代の彼方になりつつありますが、特に大学職員なら一読することをお勧めする一冊です。

以上のような環境下で、タイでは、優れた医療資源があり、欧米諸国と比べると医療コスト押さえて同等のサービスを提供できるメリットを活かし、国家施策としてMedical Tourismを進めています。日本も進めようとしていますが、日本の場合は高度先進医療の提供が中心、(良い事例ではありませんが)韓国なんかでは美容整形で知られています。タイの場合は価格差。欧米の公的医療制度の中では、不要不急で緊急度の低く手術が後回しなるような治療を、タイでは安心安全に行なってもらえるという部分に支持を得ているのではないかと思います。

長いマクラになりました、このMedical Tourismの中には性別適合手術も含まれます。Web上で日本語で検索しても簡単に発見可能。ちゃんとコーディネイターさん?が病院探しから滞在サポートまでやってくれるプランまであるようです。タイ人の知人によると男性→女性の場合、男性器の切除をしたりそれに伴い尿路の変更等々して術後の安定のため約1週間の入院。費用については、80万円程度だったとの話をしていましたが、これは自由診療で術式や処置・治療内容によって大きな誤差が生じそう、ですが、ざっくりとしたイメージをもてるかもしれません。で、苦笑したのが病院選び、日本人がはるばる手術にくる病院はお値段高めでも信用できるので選んだとのこと。ちなみにこの手術をした人物は普通にオフィスでSEをやっています。筆者個人的に感じるのは80万円というお金はタイの人たちにとっては日本人以上に高額ですが、経済成長のおかげで中間層が増え、庶民でもなんとか都合のつく金額になってきています。そのような微妙な環境がタイ国内でも性別適合手術を受ける人が増加している理由ではないかと感じます。

まとめ

筆者がタイで感じることはLGBTQと医療は密接に関連しているということ。医学の進歩によりそれを求める人たちに様々な選択肢を与えることになりました。一定のお金を払えば、日本ほどの制限なく、自分の意志により自由に手術が可能なタイは、ある意味日本の先を行っているのかもしれまません。ただ、筆者個人的には、長年の悲願で、もしくは一時的な感情で手術をすることは、後戻り出来ない未来が待っているということ、その覚悟も必要だと感じます。また、日本国内においては、予算上限界を迎えている医療保険制度の中で、このような手術を3割負担で行なうのは非常に厳しい制約があって仕方ないものと感じます。多分、限られた予算の中で手厚くケアすべき医療が他にも盛りだくさんある中、(見かけ上)健全な体に手術を行なうことについて、国民的理解を得るには時間を要すると感じました。

【日本の性の問題の立ち遅れについてはこちらも参考になると思います】

fou.hatenadiary.jp

【写真1】タイで日本食 タイでも日本食レストランチェーンの出店が目立ちます。まずは吉野家さん、日本のお店よりくつろげる雰囲気。味も基本的に同じです。

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【写真2】COCO壱番屋さん、セントラルなどのモールで良くみかけます。若者に人気がある印象でいつも混み合っています。メニュー・味は基本的には日本と同じで、日本人も気楽に楽しめます。

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【写真3】モスバーガーさん、こちらも基本的には日本と同じ。マクドナルドよりも価格設定は強気。

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【写真4】タイでフランスパン PAULさんはフランスだけでなくヨーロッパのあちこちでお店を見ますが、まさかタイでまで!という印象。タイ在住欧米人の需要とともに中間層の増えた地元の人たちも関心を示しているんだと思います。

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【写真5】バンコクでフレンチ1 Philippe Restaurant フィリップレストランは、BTSプロンポン駅から歩いて5分ほど。(タイ初心者にはわかりにくいですが)お店の周辺はお金持ち系の外国人が居住するエリア。そのためかお昼時には商談と思われるビジネスランチに良く出くわし、レストランの周辺にドライバー付の高級車がいっぱいになっていたりします。また、現地在住(と思われる)の日本人の奥様方の情報交換の場にもなっている感じ。フランス人のフィリップさんがお料理を作っていてそれ以外のスタッフはタイ人。お味の方は普通においしくてOK。お値段は行く度に少しずつ値上がりしていますが、それでもランチなら1000Bでなんとか収まります。

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【写真6】 Philippe Restaurant 2 starter の soupf:id:FOU:20210927000119j:plain

www.philipperestaurant.com

【写真7】バンコクでフレンチ2  Le Normandie タイだけでなく東南アジアを代表するフレンチレストラン。タイの王室、タイ社会のアッパークラスの人たちの社交の場ともなっています。そんなレストランなのでドレスコードが(ホントに)厳しくランチタイムで最低スマートカジュアル、夜はジャケット必須。実際ランチを食べている時、赤いTシャツに短パン、サンダル姿のアジア系のおにいさんとおねえさんがアポなしでやってきたら(丁寧に)追い返されていました。ランチで4000B、ディナーなら5000B以上は必要ですが、タイでの良い思い出作りと異文化体験に良いお店だと思います。(筆者は予算の都合と暑いところでジャケットを着るのが邪魔くさくてランチタイムしか行ったことがありません。)

www.mandarinoriental.co.jp

【写真8】starter1 典型的なAn amuse-bouche

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【写真9】starter2 soup

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【写真10】dessert

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【写真11】レストランからの眺め。チャオプラヤ川と高層ビル群を眺めながらお食事ができます。夜景も素敵だと思います。

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バンコクはこれで終わりにして次はチェンマイへ行ってみます。

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