筆者が思っていたよりうまくいっているようにも感じます… 入試前ですので 3rd Opinion にでもなれば…
思ったよりも世間の評判は上々
大阪市立大学と大阪府立大学の二つの公立大学がが法人統合し、その名称を大阪公立大学としてから2年となりました。筆者としては、もともと別々に普通にやっていた二つの大学を地方政治的理由で一つにしてしまった経緯もあるので、将来はどうなるのか気にはなってはいましたが、それなりに世間の評価は良いようです。そのあたりなんでやねん的に中間評価を入れてみます。
以外と大学にやさしい? ー府知事・市長のめざめー
一番大きな理由がコレ。橋下府知事時代からの唱えられてきた大阪都構想の一環で、二重行政を無くすため、(無駄に)二つある大学を一つにまとめましょう という思い・方向性でで出来上がった大学。ですので、今の大学は、本来、将来へ向けた発展型ではなく整理縮小型の経営で進めていくことになるのですが、(基本路線は変更なさげですが)幾分風向きが変わってきたように感じます。
その理由として(ここからは筆者の推測が強くなりますが)吉村府知事の『大学』というものへの価値に気づきがあるように感じます。府知事は、前職、前前職の府知事から一大学化に移行させる案件を引き継いできました。(多分)彼らの当初の問題意識は、一大学一法人化することによるコストカットがどれくらいできるのか?等々実務的な方向に目が向いていましたはず。でも、やっているうちに異なる目線をもつように変わってきたように感じます。
なんだかんだいっても日本最大規模の公立大。府知事と市長は、党派を問わず所管する首長側の立場として、国立大ではなく、私立でもなく、自前(公立大)で優れた大学を持つことは、府市のステイタスをあげることに(今頃?)気づいたことが大きいと思われます。
国際化は、未知というか…道険し…
懸念以前に、これまで誰も期待していない状態だった大学の国際化について、突然府知事が、学内の英語化や秋入学をやる云々の大花火をあげたからさあ大変。これまでは、昭和的なシステムで細々と国際交流していた状態(ご近所の阪大さんと比べればよくわかります)だったので、まずは国際化への基礎固めが大切。
①むやみに国際交流だからといって中途半端な海外大学と仲良くならず、質の高いカウンターパートナーと中身のある交流をすること。学術交流協定締結にしてもTHEの上位大学と行うことが必要。旧帝大のような一流どころはやっています。
②中長期的にな視点で、学生だけでなく研究者間の交流も増やすこと。金目の話になりますが真面目に国際化をやるならお金は絶対必要。MEXT&JSPSのやっている国際事業には必ず応募すること。外部資金獲得の意味合いは当然として採択されれば世間から国際に良い大学としての評価も得られます。地道な道のりですが、JSPSの外国人特別研究員の採択件数を少しづつ増やすだけでもキャンパス内の雰囲気は違ってきます。
③筆者から提案するとすれば、もうすでに周回遅れ規模の出遅れをしているので、戦略的には、将来が期待できる日本国内の大学がが絡んでいない国・大学と仲良くする等、特色ある国際化を進めるのが良さげ。スタン国(スタンと名の付く国をこう省略するらしい)やアフリカ諸国等の中からTHEで高順位の海外大学との交流促進を進めるのが面白いと思います。
いろいろがんばって(これでも)前向き?に書いては見ましたが、実際のところ国際化のコの字も見えてきません。この大学の国際化は、(多分)数年ではなく、良くなるにしても5年~10年のスパンで温かく見守る方が良いように感じます。(そのうち府知事も忘れるでしょうし…)
そんなで、今のところ、国際化の何をやるかは見えてきませんが、折角はるばる日本にやってきた留学生たちに、ご近所の『神大や阪大の方が良かった…』とかいわれないようにがんばる必要があります。
新研究科が見えてきた
これは2年前の新大学設立時のお約束。自然科学系と社会学系で新設大学院を設置するお話を進めています。
①創薬科学研究科2026年4月~(予定)
イメージ的には、農工理獣あたりのフィールドの先生たちで、新しいお薬を作ろうというもの。過去より温めてきたプランで、内容的にも新開拓の分野なので面白みはあるかもしれません。なお、『薬』の名前はありますが、薬剤師養成のようなの薬学教育が絡んだ教育・研究でもありません。
多少心配なのが、DDS(Drug Delivery System)のようなハイカラ?にも感じそうな言葉が躍っていますが、筆者が薬学部で働いていた前世紀からそのような言葉は普通に用いられていました。ですので、この薬学系新研究科は、言葉で新規性を見せるのでは無く中味で勝負していただきたいものです。それはさておき、MD合わせて1学年50名程度で募集の予定。関心のある方は、まずは説明会に行ってみましょう。
薬学と6年制薬剤師(学)との分離はよいこと
この大学院で学ぶ学生は、薬剤師資格の必要はなし。筆者は、戦前のように薬剤師になるには薬専、薬学を学び、研究したい人は帝大薬学部のような図式を思い浮かべます。
新大学院として特色を持たせているのが、学部レベルではピュアな薬学を学んでいない人たちに入学してもらい、新しいそして異なる目線でそれぞれの薬学研究を進めることが出来れば面白い取り組みかもしれません。あとは、数年先、この研究科の修了生がどのような道で働くことになるかがこの大学院の評価のポイントとなりそう。
②新社会科学系研究科2027年4月~?(予定)
こちらはさらに不鮮明。MEXT&JSPS事業で採択された『CSV経営研究プログラム』(経営学研究科母体)をさらに発展的に拡大する計画のよう。今あるハム大の中の社会人向け大学院等をガラガラ合体させてレンジの広い人社系大学院の募集をするようです。詳細は2024年度中には見えてくるようです。
非常に基本的に社会人向けに大学院をつくる際は、気難しい学問体系ではなく、ふわっとしたマネージメント系のことが学べる大学院が好まれます。ハム大には梅田や難波に夜や週末に使える施設がありますので授業はそちらで。気になる人は情報収集しても良いと思います。過去には、一橋大、神戸大と並び三商大と言われた系譜の商学部ですので今後発展の余地はありそうです。
単純に名前は大事 ー以前の大学名より耳ざわりが良いみたいー
全国的な認知度も拡大中?。どうも全国的に、特に首都圏のハイソな方たちには大阪公立大学の方が受け入れやすいものがありそうです。『大阪市立~・大阪府立~』とかの言葉の響きは、どうも、たこ焼き・お好み焼き的で、大阪ローカルのコテコテ感があり、漠然と格下感を(多分)イメージされがちでしたが、大阪公立大学の方がスッキリカッコ良くて、これまで知らなかった全国の人たちも受け入れられてもらえた様子。
例えば、夜11時40分らいから始まる全国ネットのニュース番組でも、週に一回くらい大阪公立大学特任准教授の肩書の人が定期的にコメントしています。これまでコテコテ感を感じさせる大学イメージが打って変わってスマートで好印象に。他にも何人かテレビでハム大の肩書の先生を見受けるようになりました。
まとめ
ということで全然まとまりませんが、筆者の知人が、仕事でこの大学の杉本キャンパスの某課を訪問したら、対応した人が『この大学ずっと集合離散が多くて大変なんですわ』とお話をしていたそうな。そりゃそうだと思います。一度ここで終わらせて、②で新しくできるキャンパス・施設についてみていくようにします。