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2021年度第12回育志賞受賞者がきまりました

育志賞はJSPSがやっているがんばっている博士(後期)課程学生への顕彰事業。ブログ、メディアで取り上げられることも少ないと思いますので、筆者の知識の中で積極的に取り上げるようにします。

日本で数少ない博士学生の顕彰事業

育志賞は、JSPSのやっている博士学生の顕彰事業。今年で12回目になります。令和4年1月20日、2021年度の受賞者の発表があり18名が選ばれています。つい最近まで、それぞれに所属する学術団体での表彰制度を除けば、日本で全てのフィールドを対象にした博士号取得のためにがんばっている学生へ顕彰する事業というものがありませんでした。JSPSは他にも、若手研究者へ向けた日本学術振興会賞、国際選考の国際生物学賞、アフリカの感染症対策をテーマとした野口英世アフリカ賞などの顕彰事業も実施しています。基本的にMEXTは、競争的資金の大半と学術研究にかかる事項は、JSPS経由で行っていることは、知っておかないといけません。なお、受賞者は賞金ももらえますが、それより引き続き特別研究員DC・PDの受給資格を得られることも魅力だと思います。

育志賞の傾向を考えてみる

今回選ばれた18人の出身大学院、東大7名を筆頭に北大、東北大、名大、京大の旧帝大勢、私大は芝浦工大東京理科大のお二人ががんばりました。今年の傾向は、東日本の大学の受賞者が多い印象。また、受賞者の中に女性が7人、また、この賞の選考委員は、9名でそのうち3名が女性。JSPSの偉い、もしくはそつのないところは、細かいところまでダイバーシティーに気を遣っているところ。このような取組みで、出産・育児で研究中断した若手研究者のための特別研究員RPDについても事業として定着してきました。このあたりは、これからの日大さんも参考にすべきポイントです。

この賞の、それぞれの大学長から推薦できる枠は、人社系、理工系、生物系からそれぞれ1名、その他に分野を問わず1名の計4名までなっています。でも、東大の受賞者は7名。その理由は、学術団体長推薦からのもの。結局18人中7名が東大所属となりました。ホンネで言えばJSPS(MEXT)も、いつも東大ばっかりと言われたくないのでいろいろ工夫をして門戸を拡げているのですが、結局この有様。

その18人の中で筆者が気になった人は京都大学の中西さん。中西さんは、京都大学大学院医学研究科・マギル大学ゲノム医学国際連携専攻の在籍している方。筆者はこのプログラムを(筆者のマギルつながりで)時々HPで眺めていましたが、多分、大学間からだけでなく様々なところからの肝いりで進められたプログラムではないかと感じています。でないと、なかなかここまでうまく進みません。中西さんはもちろん優秀な方だと思いますので引き続き良い成果を出していただきたいと感じます。日本でのマギルの知名度は少し低めですが、カナダでは東海岸ではU. of Toronto の医学部と双璧。THEでの評価でも日本の大学よりかなり上に位置しています。事務的に感じることは、HP内に載っている設置計画履行状況報告書。多くの部分は教員主導で作成していると思いますが、このプログラムをMEXTに提出し事業継続するための作業が出来る事務職員がそろっているのは、関西圏では、京大・阪大、もう一つあげるとすれば神戸大あたりまで(筆者の推測)。他の大学では、プログラム型の大型科研同様、大学内にMEXTとの協議して書類作り等が出来るレベルの人材が(残念ながら)存在しません。特に国際関連のプログラムはハードルがさらに上がるので、事務では無理で言い出しっぺの先生にお任せするするしかありません。このあたり、筆者が大学での国際系の事務職員が育ってもらいたいところ。育つと大学の国際化がどんどん進みます。

その他

育志賞は、申請時博士課程在籍学生のための賞ですが、日本学術振興会賞は若手研究者向けの賞。以前お話したように、大阪市大より斎藤幸平さん以前に受賞しています。年末年始のNHKBS1を眺めているとよく登場されていました。

www.mcgill.ca

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