FOU’s blog

日本の大学 今 未来

共通テストのカンニング(不正行為)について多方面に考えてみる

大学入試では思ってるよりカンニングしている人を捕まえるのは難しいんです。

共通テストを実施する際の難しさ

当たり前の話ですが、共通テストは直接自分の大学とは関係のない、大学入試センターから割り当てられた受験生に二日間試験を受けてもらわないといけません。特に英語の試験の時は、音声キットを渡したり、大きな音が外部から聞こえないようにしたりと大変です。それに試験は、北海道から沖縄まで同時刻実施が原則ですから、雪が降ったり電車の遅延があったりすると試験場本部の人たちはみんなドキドキしてしまいます。自分の大学で行なう試験なら、自分の大学の責任で開始時間を遅らせたり出来るのですが、共通テストの場合はいちいち大学入試センターに報告して指示をもらわないといけないのでとても気を遣います。

試験室内

あまり入試に関わったことのない人たち(その人たちの方が圧倒的に多いでしょうが)にすれば、試験監督をやっている人はなんで見つけることが出来なかったの?と思うかもしれません。でも、それはいろいろあって難しい、その理由として、渡された試験監督者向けのマニュアルに沿ってお仕事を進めなければなりませんから。

①100%の確証が無いと不正行為を認定して対応することができません。何か怪しげな紙を持っていたりヘンな行為をしていたりしているとまず監督者が行なうことは、受験生の席周りの巡回の数を増やすくらいしか手立てはありません。

②仮に本気で不正行為で取り締まるとすれば、そのあとの混乱を無いようにするためには監督者2名以上の目視があり確定的なエヴィデンスがないとやったやってないの不毛な議論に陥る可能性があります。また、大学は、警察ではありませんから、今回のようなスマホのような証拠品があったにしても、あくまで任意提出ですので、それ以降の手続きを行なうにしても手間暇がかかります。

で、この判断を行なうのが一年に数回しか試験監督をしない大学教員で、(場合によっては)試験監督のアルバイト学生になります。そんな状況なので一般の人が思うほど大学には試験監督のプロはいないといえます。

また、不正行為を取り締まった際の周辺の受験生に与える影響を考慮する必要があります。特に共通テストの場合、全国同時刻実施ですので、受験を停止した受験生への対応とともに、その試験室の試験時間の延長等について即座に大学入試センターへ対応の伺いをたてる必要があるのでこれまた時間を要します。

で、結局筆者が言えることは、試験は受験生の性善説に依存して行なっているので悪意をもった受験生のカンニングを強く抑止することはできません。それが現実だと思います。

まとまらないまとめ

筆者が当初心配したのは、なんで試験問題が漏れたのか?私大も参加するようになり多くの会場で試験をするようになってから、それに応じて事前に非常に多くの試験会場に向けて試験問題が運ばれます。運ばれた試験会場では、試験問題を試験当日まで厳重に管理するのですが、その段階で何らかの事情で漏れてしまうと大変です。でも、さすがに悪巧みを考える人がいても(すぐバレるリスクがどうみても高いので)今のところ抑止が効いているんだと思います。

今回のカンニングのやり方は、不正行為者がスマホの動画撮影機能で試験問題データを知人の協力者へ送り、協力者は動画をうまく調整してきれいな静止画像に整え、それを東大の学生さんへ送って正解を考えてもらい、それをもう一度協力者が受信して、不正行為者へ伝えるというもの。ピンポイントで1問だけ解きたいという場合は効果があるかもしれませんが、たくさんのページがあって設問の多い共通テストにはあまり効率的ともいえません。もちろん効率云々以前にやってはいけないことです。こんなことで時間を費やすのなら英単語の一つでも覚えるようにしましょう。

 

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