FOU’s blog

日本の大学 今 未来

兵庫県立大学・芸術文化観光専門職大学の授業料等が無償化されることを考えてみる

公立大学の授業料等無償化が進みます

兵庫県兵庫県立大学のHPで、2024年度から県内在住者を対象に、県立大(本部・神戸市西区)と県立芸術文化観光専門職大学豊岡市)の入学金と授業料を無償化する施策(案)が発表されました(ほぼきまり)。同様に、大阪公立大学でも同様の授業料無償化を2024年度より、段階的に導入を検討、東京都立大でも同様に実施予定。

お金の出どころは、各地方公共団体の財政調整基金から(非常時用の貯金の有効活用みたい)。兵庫県知事の説明的にはZ世代向けの支援となります。※県の作ったポンチ絵はとても分かりやすく説明しているので是非ご覧ください。

無償化される影響

分かりやすい事例が、大阪府で取り組んでいる府立高校の授業料無償化。反対勢力は私立高校の人たちでした。構図は、大学でも基本的に同じですが、そもそも公立大学の日本の大学全体に占める割合が小さいので直接的な影響は大きくないのかもしれません。

まず、メリットととして、兵庫県立大学・県立芸術文化観光専門職大学両方とも、良い宣伝効果となり、優れた学生が受験してくることへの期待が高まります。特に豊岡にある専門職大学さんの方は、開設されて間もないので、良いPR効果に。ですので、県立の2つの大学にとっては強い追い風になります。で、あとは筆者がいつも書いているとおり、設置する団体は、授業料をタダにするだけでなく、公立大へのハード・ソフト両面からのサポートも充実させ『安かろう悪かろうの大学』にならないようしていただきたいものです。

少し気になる関学さん

関学さんは、今、がんばって王子公園に新しいキャンパスを作ろうとしています。多分関学さんにとって、学部レベルでは、兵庫県立大学さんの無償化政策の影響はそれほどでもないと感じます。その理由は、関学を受験しようとする学生・家族の志向は金目の話ではなく、関学ブランドに惹かれてのもの。そもそも授業料等を気にして大学を選ぶ層ではないと思えます。

どちらかというと気になるのは大学院。人文社会科学系の大学院は両者がかぶる部分が多く、社会的評価としても同じような感じ。また大学院は、学部受験と比較すると、ブランドイメージで狙うものでもありません。それが、(兵庫県民なら)入学料・授業料ともタダになると、受験する側は、兵庫県立大学大学院を選んでみたくなります。これは関学さんにとっては大きな痛手。

まとめ

そうなんです。数十年前って国立大学の授業料は、めちゃめちゃ安かったのですが、私学の授業料との格差が気まずい状況になってきたので、徐々に値上げして、20年くらい前から今ぐらいの金額で維持されています。そして公立大学も右へならえの状況。昨今の日本の状況で、少子化対策と経済支援、さらに諸外国で行っている高等教育に対する就学支援の状況が後押しになり、全ての学びたい若者に高等教育が手に届く方向に進められています。それが、ユニバーサルアクセス時代の大学のあり方なのかもしれません。取り残されているのは未だにキリギリスさん経営を行っている私立大学をどうするか、が、中期的な課題になりそうです。

www.u-hyogo.ac.jp

 

fou.hatenadiary.jp