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【答えあわせと今後】令和5年度「人文・社会科学系ネットワーク型大学院構築事業」の募集情報をもとにいろいろ考えてみる3

遂に9月19日付けで、選定結果が公表されました。当初より公表が遅れた理由は、選定に関する委員会が、諸般の事情でずれ込み9月11日になったからのようです。で、筆者のがんばった予想は散々。このことで反対に選考する側の意図が見えてきたように感じます。

採択された大学の傾向

筆者の予想の基本は、申請大学も連携大学もそれぞれで大学院教育がある程度充実していることを重視し、事業が円滑に進むことを考えました。その考え方がそもそもの間違い。どちらかというと、この事業を行うことにより課題解決を行う取り組みに期待をかけているのだと感じます。ですので、ここでは、大学院が充実している東大と京大あたりが連携して何か行うことより、うまくいっていない大学院を連携させ活性化する取り組みの方に期待しているのだということ。そのため、申請大学の中に旧帝大の名前はありません。

一番典型的な例として、龍谷大学さんの申請。琉球大学さんはともかくとして、龍谷大学さん京都文教大学の大学院教育って(正直言って)かなり未知数。これまでの常識?ではとてもとてもと思っていました。そんな三大学が連携して、新たな知を提供することにより大学院の機能を活性化させることに主眼をおいたものだと筆者は勝手に得心しています。また、申請本体の企画も良い書きぶりだったのかもしれません。

他に筆者が低評価して採択された、茨城大学さん、大阪公立大学さんにも一定の傾向があります。龍谷大学さんの時と同様、連携大学の中に大学院としては未知数の大学が必ず参加していること。このことからみてもこの事業を実施する上での意図が見えます。

反対に不採用になった金沢大学さん、大阪教育大学さんの取り組み。特に金沢大学さんの申請は、タイトルを読む限り、魅力的で良い成果が出るように感じていたので残念。申請書の中身の問題でしょうか…。

今後どうなる

どこかで習いましたが、この手の選考では、応募者する側の意識として、倍率三倍を超えると応募意欲が低下する傾向があります。反対に倍率が低いと成果を見込めない申請まで採択する可能性が高まります。今回の選考委員会のコメントの中にも記されているとおり、募集期間が短かく、そのため応募件数も少なく、応募8件の中から5件を採用するというかなり甘めの選考となりました。採用された5大学は、新規事業で先例がない中、成果を出せれるよう頑張らないといけません。

事業が動き出すと、当然、大学院の事業ですので、Mは標準修業年限2年なので学生はすぐに入れ替わる、Dは博士論文の作成を複数大学院でどのようにケアするかがポイントになると思います。どちらもスピード感が大切。そのため開始年度よりしっかり出さないと、次年度交付金の減額もありますのでかなり大変。(余計なお世話ですが)特に龍谷大学さんあたりは、外部資金の執行とかの経験が乏しいと思いますので、注意が必要だと感じます。

最後にいくつか

この事業の取り組みは、①学部学生に大学院というところに興味をもってもらい、②自らの大学院では足りない部分があれば他の大学院と補完・連携をし、③大学院での情報発信を活発化させて学生の就職機会の提供を増やしていく考え方だったと思いますが、筆者的にはどうなるかよく見えてきません。ですので、『やってみなはれ』で頑張っていただき、どんな成果が出るのか楽しみに待ってみるしかありません。また、このテーマの最初にも記しましたが、このような学部持ち上がりの学生への事業とともに、学びなおし・リスキリングのための社会人向け大学院の充実、特に博士学位の3年取得の促進等々も同時に行う必要を感じます。

(月並みな表現ですが)大学院改革は待ったなし、何でもかんでもできることは挑戦していかないと世界からどんどん取り残されていきます。

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