FOU’s blog

日本の大学 今 未来

大阪公立大学が開学したばかりなのに附属病院長が不在でもめていることについて考えてみる

春先からずっともめていましたが、そのため、4月以降病院長は不在。そして今回病院を中心とした先生たち60人以上が理事長やめてくださいの署名を提出したので一気に盛り上がってきました。

その前に

最近、テレビを見ていると、ロシアによるウクライナ侵略の影響で、ヨーロッパで行われるNATOや各国首脳の会議の場面を見ることが多くなりました。その姿を見ていてすぐ気づくのは、首脳たちの若さ、軍事に関する諸問題であってもそこで議論する女性首脳の多さ、そしてその出席者は(喋ろうと思えば)みんな英語を通じて普通に話せる、などなど。これが今回のマクラ、さて日本の大学では……

もめている理由

まだ、昨年度1月、令和4年4月からの附属病院長を誰にしようか、という選考を病院内の会議で行って、大阪市大学長(当時)の荒川さん(市大医卒・1950年生まれ)を病院長にしてください、と決定、法人本部へ上申しました。そこにいらっしゃる法人理事長の西澤さん(市大医卒・1945年生まれ)が、一度学長になった人が病院長になるのは天下り的な人事なのでダメですよ、別の人にしてください、と再選考を病院側に求めました、が、再選考しても結果はやっぱり荒川さんに、それでも、もう一度、西澤さんは、荒川さんは何度言っても認めませんよ、とご回答。病院側は激オコになって、西澤さんの理事長としての資質・対応が加わり、一方に偏っていないか等々で不信任を提出、混とんとしてきました。

もう一度論点整理すると、荒川さんを推す人たちは、病院のちゃんとした選考委員会で適正手続きをして推薦をしているのに、なぜダメなのか?西澤さんの立場は、荒川さんは(もうトップに昇りつめた人だから)それより下位(病院長)のポジションを与えるのは、(西澤さんの考える)天下り人事の定義に入るので何回推薦されようが認めるわけにはいかない、ということだと思います。なお、(多分)当然・もちろん、これに加えオモテには見えない様々なドロドロが加味されているものと想像できます。また、病院の教員たちが、理事長不信任署名を出したことについて、旧府大や旧市大の医学部以外の人たちがどのような目でみているかもポイントになるかもしれません。なんとなく、今回の動きは、医学部・附属病院の既得権が、大学が統合されることにより、これからは様々なチェックが入ることへの警戒心があるようにも感じます。

筆者が感じる組織の閉鎖的傾向

で、筆者へ、お前はこのことど~考えてんだ?と聞かれるなら、正直情報量が少なくてよくわかりません、というのが今の答え。ただ、眺めていて感じるのは、今の勢いは、理事長に不信任を出した病院の先生たちの方に理があるようにも見えます。でも、病院側が担ぎ出した荒川さんについて、ホントに余人をもって替えがたい人であるのかは未知数。(学部入学定員という制約付きで)国公立大学第三位の規模になったことをPRの材料にしている公立大学ですので、これまで以上に組織の公開性・健全性(会社でいうCSR)が期待される中、病院側が二度にわたって担ぎ出した荒川さんが、70歳越えと言うのも?ですし、もっと優れた業績をもった人はいないのか?と、ガッカリの気持ちにもなります。同様に、荒川さんを断る西澤理事長さんが、さらに75歳越えの方というのもなんだかなあ、と感じてしまいます。合わせて、大学病院の院長だからといって、自分の大学の人から選ぶ必要もありません。仮に病院の先生たちにそんなお気持ちがあるのなら大いなるマチガイです。

大学というものは基本的には若い人たち相手。新入生の多くは18歳が普通ですので、70歳超というのは、その学生の父ではなくお祖父さんの世代。そんな人たちが組織の上にいて、見えないところであ~だこ~だやりあっているというの姿は、若者たちに遠い世界で大学が動いていることを感じさせます。

別の視点で見ると、この諍(いさか)いに女性(幹部職員)の姿なし。日本で三番目に大きくなった国公立大なのになぜ女性人材がいないかも深刻に考える必要があります。特に医学部・附属病院において、女性の学生・医師が少ない理由を労働資源的効率性から女性不要という文化を(口に出さなくても)根づかせていたことのツケが回ってきたとも感じてしまいます。

マクラ話から感じたもの

そう、なんだか似てるなあ、と感じるのは日大さんの出来事。この時も、元田中理事長さんは1946年生まれ、それ以外の幹部さんたちもご高齢で日大出身という活気の無いオトコばかり。なんだかネッコは同じように感じます。欧米にある大学でこれだけオトコの高齢者ばっかり集まってウダウダやっている姿ってみたことありません。欧米では30台の女性首相がいてリーダーシップを発揮しているのに、こちらの70台の男性たちは意地の張り合いしてなんの解決もできない状態。このあたり、世界の大学評価で日本の大学の評価が悪い理由の一つと感じます。筆者個人的には、高齢者対策?の目安として、自民党参議院比例代表選挙時の最高年齢が70歳としていますので、このあたりを基準にしてみるのが良いよいと思うのですが。

次の病院長さん選び&まとめ

批判ばかりのブログを書いても詮(せん)なきことなので、今後の見とおし、落としどころを考えてみます。まず、いま(多分)学内には西澤さん派と荒川さん派がいてとても仲が悪い状態。そしてどちらも自分たちが悪いとは思っていません。ですので、次に病院長がどちら派が選ばれたにしてもしこりは残ります。なので、(良い機会でもありますので)外部から(どちらにも与しない)院長に来てもらってドロドロの立て直しを図りイメージの払拭をしていただける方はいないものか、と考え、候補をお二人、ただし、お二人がお受けすればですが……

山中伸弥さん(1962生まれ):2022年4月に京都大学iPS細胞研究所所長の職を退かれましたのでご依頼しやすいかも。また、この市大医学研究科で博士学位も取得されていますのでつながりはありそうです。ただ、市大医学研究科ではiPS細胞のような先端研究ができない環境なのにがっかりして、奈良先端科学技術大学院大学へ移った経緯もあります。それでも一肌脱いでいただいて母校のためお願いできれば。

澤芳樹さん(1955生まれ):元阪大大学院医学系研究科長、紫綬褒章受章、心臓血管外科学(心臓移植)の権威。市大の先生の中で、山中さん同様の澤さんのお名前・業績を知らない人は存在しません。先の阪大総長選挙では、意向投票において、一番人気だったのに、選考会議で逆転されてしまうというちょっと不可解で可哀想な出来事があったあと、阪大から系列病院長に身分を移しています。これまでの実績的に格が違いすぎますが、ウルトラCで院長として来てくれたなら大学と病院に大きなインパクトを与えてくれると思います。なお、現在お勤めの病院は、天王寺にある医学部附属病院からお互いにに歩いて往き来できるスープの冷めない一キロ余りの地というご縁も。この2022年4月に赴任されたばかりですが、うまく折り合いをつけていただき、こちらも一肌脱いでいただければ。

筆者の考えるお二人については、荒唐無稽のお笑いネタととられるかもしれませんが、この大学の抱えるアンシャン・レジームから抜け出すためには、それくらいの機構改革が必要です。特に日本の医学部はどこでも大学内においても、俺たちは人の命を救うためにやってんだ!と言えば、なんでも無理筋がとおる特権階級という認識が支配していると感じます。そのため、古いものが温存されやすい気風が残っているんだととも感じます。周りの人(大阪府・市・メディア・市民の目)からキツク言われる前に、身内でしっかり片付けないともっと状況がさらに悪くなるということに早く気づくことが必要がある、というのが筆者の提言。

このお話、まだ長引きそうですので、引き続きフォローしていきたいと思います。