FOU’s blog

日本の大学 今 未来

日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる ー1年たったふり返りと見守りー

日本大学さんでは林真理子さんの新体制が発足して1年となりました。良い機会ですので、外部からの目で忘れず取り上げてみたいと思います。一応、筆者は林さんを応援しています。

日本大学さんは良くなった? ー大学創設以来もっともマトモな執行部の誕生?ー

筆者の印象では、新執行部の皆さまは、健全な大学経営に向けて頑張っていらっしゃるように感じられます。2023年4月には、『令和5年度新生日本大学推進に関する理事長メッセージ』『令和5年度日本大学教学推進に向けた学長メッセージー計画を迅速かつ適切に実施ー』『日本大学ダイバーシティ推進宣言』等々過去と決別したことを感じさせるコメントがアップされました。また過去への清算も進み『旧株式会社日本大学事業部への訴訟提起(令和5年3月30日付け)』についても記されています。

眺めている限り、文科省主導の大学改革がようやく始まったんだと感じます。(文科省主導という言葉を聞くと、大学が権力側に牛耳られてしまったイメージを持つ方もいるかもしれませんが、もともとそもそも旧執行部の放漫経営が原因ですから自業自得です。)今後、日大さんは、日本の大学におけるスタンダード、コンプライアンスの事例を見習いつつ改革を進めていくものと思います。特に大学の数値的な見える化を行うことで以前との相違を見せることはとても大切。例えば理事会構成員の年齢・男女比等々で以前と大きく変わったことを示さないといけません。筆者はそんな方向性に賛成です、というか、他に手立てが見つかりませんし。

複雑な部分 ー日本大学さんは良くなって良かったのか?ー

微妙な言い回しになりますが、筆者の思うこれまでの日大さんって、それなりに長い歴史を持ちここまできた大学。日大さんの伝統ある経営手法である執行部の恣意が活きる予算管理、コストカットのためのマスプロ教育、学内で反対する勢力との特色ある調整方法等々は、そのような歴史の中で培われ、日本有数の規模の大学になれたんだと感じます。ですので、新執行部は、そんな大学を従来と異なる方法で一つに束ねることは大変です。

今の日大さんは、過去と決別するためにも正攻法で大学改革を進めないといけません。特に、前執行部の悪しき行いのため、令和3年度の認証評価結果は、大学基準及び短期大学基準に適合していない(大学基準協会となりました。この影響は、外部からの収入面で大きな影響を与えます。そんな状況でも、大学内の不始末を理由に在学生の授業料を安易に値上げするのも社会的な非難を浴びてしまいそう。ですので、しばらくの間は、節約でがんばり、貯金を切り崩し、ホントに最後の手段で授業料の値上げをお願いするのが、学校法人のとるべきスタンスだと思います。このことについても筆者には他に手立てはみつかりません。

正攻法なら

これまでやっていた従来のような予算支出を見直す基本方針は、大学の教育研究部門を除くすべての支出経費を洗い出し削減していくこと。そうすると、どうしも学生予算の中にある部活動経費に目が行きます。筆者は、この大学とは全くの縁故のない部外者だということもあり、大学公費で行うべき必要性を見出しづらいのですが、日大さんではそうでもないのかもしれません。日大さんには、体育会(日本大学競技スポーツ部)・文化会等の公認サークルが山ほどあります。施設も充実、実際、様々な分野で大学スポーツ界をリードし、結果もちゃんと残しています。ですので、学生さんもがんばりも含めて投資に基づいた成果もでている状況。そんな日大さんの大学スポーツ・文化活動というものは、学生文化の発揚の場として培われてきました。ですので、普通にそんなものに予算面でメスを入れるのには難しい判断といえます。また、そのような団体には、長い歴史の中で生まれたOB・OG会組織の影響力も大きそう。外部の目線から経費削減と口で言うのは簡単ですが、いろいろしがらみがあって大変そうに感じてしまいます。

例えば、箱根駅伝についての相場観。日大さんのHPでも100回大会へ向けての意気込みを感じ取ることができます。でも、このことにはどうみてもたくさんお金が必要です。関東圏にある他大学(私大!)も同じようなもんですが、全国にいる長い距離を走るのが得意な高校生みつけて声かけをして、授業料、宿舎や奨学金的な支給等でのインセンティブを提示し、そして入学させ、一生懸命練習してもらう手法は、優れたアスリート養成が目的のような匂いはせず、大学広報のためのイベント予算にしか見えません。特に(ローカル大会でもあり)出場資格すらない関西の大学の者から言わせると、なにやってんだか…、です。確かに出場すれば大学全体で盛り上がるんでしょうが…。

どんなに苦しくても田沼意次さん時代を懐かしむのは ダメ。ゼッタイ。

林さんたちの執行部は、今年からが本当の正念場。ハネムーン期間が終わり様々な課題が目に見えて降り注いできそう。当然各部局に予算の削減を提案すれば不満を持つ人たちが増加するのは当然の摂理、様々な執行部への指摘や批判は、正当なものもあるでしょうし、反対勢力による足のひっぱりもあるかもしれません。でも、このような時期に理事長というか引き受けたんだから(だからこそ)ここからが腕の見せ所、不撓不屈の精神で大学再生に向けてがんばっていただければ思います。また、こんな時期だからこそ、日本で一番社長さんを輩出している大学だそうですので、同窓会の人たちも一肌脱いでサポートいただければと思います。

筆者が考える、今後、学内で様々な議論、すり合わせを行う際の新執行部のスタンスは、『お金がありません』『それをやると元にもどります』『文科省から言われています』『認証評価を得るためにはそれじゃだめなんです』を毅然と繰り返しとおすこと。最初のうちは好き勝手に文句言ってくる人たちも、常にこのスタンスで臨めばしまいにあきらめてくれることに期待。このことも、他にアイデアは見たりません、。

まとめ

日大さんは、良くも悪くも日本の私立大学の縮図。学生数も多く何か起こればその社会的影響は大きなものになります。まだまだ始まったばかりで、眺めている段階ですが、今後もフォローしていきたいと思います。

 

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