FOU’s blog

日本の大学 今 未来

留学生選抜試験でのカンニング(不正行為)についても多方面に考えてみる

共通テストの際もコメントしましたのでこちらでも引き続き考えていることを。

共通テストの時より悪質・巧妙化?

今回発覚したのは、一橋大学さん。大学HPにも第一報等状況が書かれています。共通テストの時、受験生は、多分、袖の隙間あたりからスマホでビデオ撮影し、外部協力者へ送信。外部協力者その1は、画像編集して鮮明化、外部協力者その2へ解答依頼し、それをSNS等で送り返してもらっていましたが、一橋大学さんの場合は、同様に撮影したデータを、外部協力者その1へ送信。外部協力者その2へ解答依頼し、その結果を(文字ではなく)音声にして耳元のイヤホンへ伝えるもの。すべての試験で不正行為は成功?したようです。この行為には、共通テストの時より、さらに悪質化していると感じます。そのため、大学院生を含め、多くの関係者が逮捕されています。

※筆者は、国籍云々やその国の文化も含めて書きたいところですが、特定国を名指ししレッテル貼りするのが良くない時代になってきましたので、不正行為を中心にして書きます。

試験監督側にも改善点

この私費留学生選抜試験の試験監督も、(筆者の認識では)大学教員が主体となっています。もちろん試験の前には(多分)一定の試験監督のやり方についての説明会があって段取り等々は教えてもらいます。ただ、この時の説明会の中で、不正行為者への対応について(これも筆者の認識では)時間を割いていないことが多いと思います。

これは、一橋大学さんが悪いということでなく、現在の(特に筆者の知っている国立大学の場合)大学入試を行う際の試験監督業務の方向性として、円滑な試験実施に重点がおかれ、不正行為者に対する対処は原則論のみ、実際何かおこった時の対応については、細かなマニュアル化はされずすぼんやりとしています。こんな状態で、年に一回しか割り当てられない普通のどこにでもいる大学の先生が、その試験会場で不正行為(もしくは類似行為)にでくわして、とっさに正確で毅然とした判断と対応が出来るかどうかは、とてもロシアンルーレット的で、運悪くそこにでくわした先生の資質に依存してしまうところがあります。その対応として、大学側としては、試験監督が委縮しないよう、もっと分厚めの対処方法マニュアルを作って事前レクでも時間を増やし説明し、何かあった際の後始末は、大学側が責任を取るのでビシビシやってくれ的なサポートも必要だと思います。

日本社会の縮図

今の日本を感じてしまう出来事。『試験監督の席が近くで緊張した』だの『試験監督の靴音がうるさくて試験に集中できなかった』だの『試験監督が居眠りしていた(真偽不明』等々受験者側からの訴えばかりが目につきます。どちらかと言えば今の日本では、受験生がちゃんと受験できるように大学は対応しろ、というのが社会の趨勢。筆者の知っている話では家族が『(受験生の)体調が良くないので別室でやってもらえないか?』のような過剰要求も。この意味は、ツメツメで圧迫感のある受験室より落ち着いて?試験に打ち込める?というのがホントの理由。そんな背景の中、不正行為防止の厳格化が社会で容認されるかもポイントになるかもしれません。

1999年、筆者が海外にいたころ、McGill Univ. で行なう定期試験の実施状況を直接見学(というかズケズケ気味)させてもらいました。この大学の場合、試験監督は、先生ではなく学生。でも、日本でいうバイトという感じではなくジョブトレーニングの一環のイメージで働いている雰囲気。同じ年代の学生に対して超毅然とした態度で対応、私語は許さず命令口調、絶えず巡回して、机上の筆箱を勝手に開けたりや時計のような小物をチェックしていました。幾つかの部屋を見ましたがみんなこんな感じ。日本人的なイメージではここまでしなくても、という感じでしたが、大学側も基本的に許容している様子。これは個別の国の個別の大学の事例ですが、日本でもやるきがあれば現行のやり方でも厳しい試験監督は可能とも言えます。

寒い時の試験なので

日本の四月入学のための入試の多くは、1月の共通テストから始まり大体二月中がメイン。どうしても寒い時期に行なわれます。そうすると寒いからという理由で(筆者の経験上)コートやジャケットを着たまま試験を受けている受験生も結構いますし、(健康管理の面から)大学も許容しています。この分厚くてモコモコした服装がその中に何かを隠す温床になることも。筆者個人的には、受験時には、部屋の温度を調整し、肘から先は薄てのシャツ以外の着用を認めないことも重要なポイント。

まとまらないまとめ

東大での共通テストにおける不正行為をうけ、大学入試センターさんも、2023年度共通テストから、スマホ等の電子機器の使用禁止の厳格化を決めました。筆者個人的には、これでかなりの抑止にはなると思います。大学側はこのガイドラインに基づき前期・後期日程などの次の試験においても同様の取り組みをすれば良いと思います。ただ、悪意のある人たちは、複数台のスマホを隠してもっていたり、超小型のイヤホンやメガネの中に仕込んだカメラ等々スマホスタイルではない電子機器を用いる等々さらに悪質で巧妙化する可能性は大いにあります。似たような事例は(残念ながら)今後もおこる可能性が高いので事例研究しつつ改善していくしかない状況だと感じます。

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