FOU’s blog

日本の大学 今 未来

ヨーロッパの大学4 北欧編

北欧はスウェーデン(カロリンス研究所)とデンマークに経験があります。あまり深い話ではなく研究・学びの際の参考情報として軽く書きます。

 何もかもが高いということを学ぶ

 事例をいくつか

①外食は高い

街中にブッフェ形式のレストランが多い理由は人件費が高いから(価格に転嫁しないといけないので)。特にそれなりのレストランで食事をすると(チップ込みで)払うお金は1.5倍をイメージをする必要があります。※カナダで1年暮らした筆者でも高く感じるくらい。ただし、スーパーでのお買い物は、軽減税率している商品も多いので、ちょっとした気配りで出費を抑えられます。

②人件費も高い

大使館勤務の人から聞いた話。現地で一般事務職員レベルのローカルスタッフのコストが月額100万円近くかかってしまい予算繰りが大変とのこと。もちろん職員本人の懐ということではなく税制の仕組みが日本と異なるということ。また、仕事のマッチングが悪ければ遠慮なく辞めることも日常化する社会の仕組みができあがっています。

北欧での学び 

 デンマークの人口は500万人ほど、スウェーデンで1000万人。人口規模に比例し大学の数はそれほど多くありません。大学は社会保障に組み込まれているので当該国の学生は実質無償となっています。その中での特別な存在はカロリンスカ研究所あたり。それ以外はその他の多くの欧州の大学と同様レベルは高いけどそれほど特色なしのタイプが多いと思います。北欧に行く大学関係者は、現地の大学とこれまでになんらかの縁故があったり、また、どこかから予算がついたり等のあまり積極的でない理由で交流が行なわれているような印象を持ちます。また、1年現地に滞在すると一日中太陽が出ていたり一日中薄暗いという(貴重な?)日々を体験できることも魅力かもしれません。

カロリンスカ研究所

北欧を普通にぶらり歩きしてみる

Illum&Illums Bolighus(イルム) は、コペンハーゲンの中心街 Strøget(ストロイエ)にあるデパート。近くにはロイヤルコペンハーゲンのお店、北欧家具のお店等々もあり賑やかな場所。標準的?な高級デパートですが、フランスやイギリスのお店では見慣れないものもある印象。個人的にはコーヒーを楽しむための器具がたくさんあってお土産に最適。なお、日本から来た人は免税手続きが必須、ちょっとした買い物でもかなり還付されます。

illum.dk

 

 【写真1】Gefion springvandet ゲフィオンの泉 人魚姫像の近く。北欧神話に由来して女神が獰猛な雄牛四頭の牛車で突き進んでいます。

f:id:FOU:20210504001609j:plain

【写真2】Churchillparken チャーチル公園  第二次世界大戦中のデンマークへのイギリスの支援のメモリアルとして。今は公園になっています

f:id:FOU:20210504000847j:plain

【写真3】Nyhavn ニューハウン  新港エリア 観光地としても賑わっています。

f:id:FOU:20210504001016j:plain

【写真4】 Kronborg Slot クロンボー城1(世界遺産の古城)電車で行けます。海の向こうはスウェーデン

f:id:FOU:20210504001222j:plain

【写真5】 Kronborg Slot クロンボー城2 この地はシェイクスピアの4大悲劇一つハムレットの舞台として知られています。

f:id:FOU:20210504001248j:plain

【写真6】コペンハーゲン近郊の競馬場 行った日は王室主催のレースがありました。なお、出馬表と投票用紙がデンマーク語なのでかなりきついです。

※調べましたが多分 Klampenborg Racecourse というところです。20240202追記

f:id:FOU:20210505011204j:plain



ヨーロッパの大学3 東欧で医学を学ぶ3 将来は期待半分の気持ちが大切

筆者個人的には日本人の学生が海外を目指すことには賛成。

東欧の多くでやってます

話が冗長になるので個別具体的な事例は省略します。だいたい東欧+医学部でググれば日本語サイトでの基本情報を得ることができます。サイトの特色は一部の医学部受験サイト、海外大学の受験情報サイト、あとは個人サイト。紹介する事項は、①東欧の医学部には英語を用いた国際コースを設けている大学がある。②授業料が日本の私大と比べると安い(だいたい6年で1000万円を超えるくらい)。また衣食住(寮とか含む)も安い。③医師免許の国際性(日本でもうまくいけば読み替えが効く)④(当たり前ですが)英語が学べる⑤入学試験が日本よりカンタン などをあげています。多くの場合授業料がバカ高くてお面白みのない(と思える)私大医学部じゃないところで医学を学べる選択肢として紹介をしています。

東欧と言ってもたくさん国がありますが、(今のところ)日本人が集まりやすい国はハンガリー。また周辺のブルガリアチェコスロバキアポーランドあたりの大学がターゲットになっているようです。特にハンガリーへ行く学生が多い理由は先方の大学と日本側のエージェントとなる斡旋組織がうまくマッチングしているのではと感じます。

まず入学するまで

日本語サイトの案内では(営業上?)安易であまり書かれていませんが英語力。かなりの進学校(高校)でも(それまでに長期の海外滞在経験がない限り)大学入試レベルの英語能力では現地での講義や日常生活についていけません。入学時期の相違で高校卒業後それなりの猶予期間はありますので(入試英語と言うより現地で使える)英語の下準備がかなり必要と思います。また、現地の英語は英国由来のクラシックな英語であることと英語を話す人が(外見上アメリカンな)明るく陽気な人たちばかりではない文化圏だいうことへの理解が必要です。ただ、英語に関してそれなりに救いがあるとすれば、現地のクラスの多くの人たちが英語が多様な国のSecond Language同志でのコミュニケーションとなるので慣れてくると英語の習熟はは早くなるかもしれません。

入ってみたら・EUにあることを理解してみる

入学者は日本のイメージとは違い多め。国際クラスだけでも軽く百人を超えます。日本のように定員どおりきっちり取って育てるのではなくがんばらない・ついていけない学生はそのままの取り残されます。ですので、日本人だけの事ではありませんが、知らない地で英語に苦労して疎外感を感じてしまうタイプの人はトライしない方が良いかもしれません。反対にこんな生活と試練を楽しめるメンタリティのある人は充実した日々を送れると思います。

また、EU域内にあるこれらの大学はエラスムス・ムゥンドスに代表される教育研究の支援プログラムを留学生も参加できるものもあると思いますので現地でアンテナを立てておくことが良いと思います。

卒業してからのイメージを考えてみる

確実に言えて保証されていることは、学んだ国で医師国家試験を受験でき合格すれば医師免許を取得できること。さらにこの医師資格はEU域内でも有効だということ。この事実だけ考えればとてもおいしい気もしますが、(多分多く人が薄々気づくか心配してるかもしれませんが)東欧の医学部での学びと臨床経験が世界的にどのように評価されているか?EU域内において例えばドイツやフランスのような西欧地域において当該国の医者同様の扱いをしてもらえるのか、は重要なポイント。この問題の打開策を考えるなら(ちょっとロンダリング的ですが)さらに頑張って有名どころの大学院でがんばることも必要だと思います。

以上のようなことをしているとヨーロッパに来た時は二十歳だった若者も三十路なっています。当初は日本に帰って医者になると考えていたとしても他の選択肢(欧州で働いてみたくなる、アメリカその他の国で医者になってみたくなるetc)を思い描くようになってくるのではと思います。筆者個人的には(そのような人の流れは欧米では良くある話なので)OKですが、なかなか日本に住んでいる日本人(家族etc)には納得しがたい人も多いでしょうからその対応も必要かもしれません。

まとめ

筆者も文字におこして、このことを整理してもう一度考えてみると、医師免許が取りやすいからというレベルや方向性で安易にチャレンジ するのは危険な感じがします。どちらかというと海外で学びたいことが主たる動機としてまずあって、その学びの選択肢として医学があるという人は成功しそうなタイプ。また、特に医学受験産業のHPで公開している現地情報と予算見積もりは安易過ぎ。スポンサーとなる両親家族の人たちも広くセカンドオピニオンを収集した方が良いと思います。

日本国内では、こんなことがはやりだすと気に入らない勢力から厚労省に圧力がかかって抜け道封じ的なことが起こらないようにすることも大切。こんな勢力に限って(例えば)スタンフォード大でとった医師資格は即日本で通用みたいなダブルスタンダードな読み替えをしかねません。あくまで透明性・公平性のある試験で医学の国際化を進めるほうが良いと感じます。

 

fou.hatenadiary.jp

 

fou.hatenadiary.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパの大学3 東欧で医学を学ぶ2 その背景

それなりの数の日本人が東欧の医学部を目指します。まず、その理由を考えてみます。まずは国内事情から。   

明治維新から続く関東の人が気づかないいろいろな西高東低

首都圏にあるしっかりした医学部の数。関東に住んでいる人たちは、今がふつうの状態で自分たちのいる首都圏が日本で一番進んだ場所だと信じている人が結構います。いえいえ関西圏に住む筆者からみれば首都圏も東日本も西日本より脆弱な医療体制に見えてしまいます。これらは医療系学部全体の傾向ですがこの場では医学部を中心に考えてみます。

単純に人口比

例えば四国(よく例え話に使われます)。この四県の人口は(多少デコボコがありますが)400万人。一県あたり100万人としてこの四県に医学部のある国立大学が四つあります。もっと恵まれているのは山陰地区で、特に鳥取県は人口60万人足らずで鳥取大学医学部があります。(筆者個人的には主要施設が西の端の米子市にあるところが難点?に感じます。)こんな感じで関西以西には人口比に応じた医学部を有する大学があります。方や首都圏。場所を定義するのが難しいですが東京のためにある国公立大学は2校のみ。他は(数で勝負の)私大でまかないます

東京にはたくさんあるけど

まず私ごとから、持病があり子供の頃から病院にかかることの多い筆者は医者選びにはうるさいほう。通常の所謂かかりつけ医に相当する先生は大阪市大医出身、消化器内科を中心に臨床経験は豊富な人。必要に応じて消化器内科で専門性の高い治療(下部消化管)の高い治療をしてくれる大阪の基幹病院の先生は阪大医出身、内視鏡や大腸CTとかの検査を定期的にお願いしています。さらに参考までに歯医者さんは阪大歯出身でポスドクの時ヨーロッパの病院で1年間研修を受けた人物。で、筆者が東京で5年間働いていたときの主治医は慶應大病院が本務で関連するクリニックに週数回診療に来てくれる女医。医者や病院は自分や家族の生死を委ねるものなので一生懸命納得できるまで探します。その中で重要になってくるのは出身大学。お医者さんは可哀想にいくつになっても卒業した大学の名前がついて回ります。

いろいろ書いていますが、何をいいたいかと言うと、(筆者のような)患者は医者のキャリアをみて診療の是非を考えます。阪神間に住んでいると、京大、阪大、神大等に加え各県には公立大医学部があり、医学部の中心は私立大学ではなく国公立大学が担っています。どこも臨床も研究も盛んな大学ばかり。で、西日本はだいたいこんな感じ。特にこだわりがなくても身近に信頼できるお医者さんを見つけることが容易です。それでは筆者が今現在東京に住んでいたらどこ出身のお医者さんを選ぶでしょうか?答えはまず1番は東京医科歯科大出身(首都圏なら一番)。2番が慶応大医出身(金持ちで頭が良くて良いプライドをもっていそう)。あなたがブランド志向なら東大医は?問われるなら、このレベルまでくると臨床医としてよりも先端研究の分野でがんばってもらいたい感じるから。それ以外に私大医学部がたくさんありますが(筆者のような関西人には)正直区別がつきません。当たり前ですがみんな別々の大学なのでその歴史や個性・特色をアピールして学生を集めているのでしょうが、みんな一緒にみえて大して代わり映えなし。そんな私大医学部は研究志向ではなくとりあえず(よく言えば)一般的な通常の臨床医を育て上げるのがその責務。その中で大学を維持できているのは人口過密の東京で医学部受験志向の志願者がそれなりにいるから。仮に何かの事情ので東北のどこかの県にキャンパス移転したら経営はすぐさま行き詰まりそうです。

そして授業料が決め手

首都圏のみならず私大医学部の授業料はかなりお高め。授業料と同じくらいのナンチャラ充実費・ナンチャラ維持費・ナンチャラ協力金などなども盛り込まれ、結局6年間で卒業しても、さらに博士課程にはいったりして初期臨床研修が終わった頃には尋常でないお金を払っていることになります。(国立大ならざっくり入学料+55万円×6だけの明朗会計ですので普通にそれの10数倍)ただ、そんな私大医学部ですが良いところも。そんな大学を選ぶ学生は、特別なバックグラウンドをもつ人が多いので、大学として医師免許がとれるまで手厚いケアをしてくれます。このあたりは歯学部も同様。ところがこれは日本だけのお話で、お金をたくさん払ってアメリカの有名医大に入ったとしても、リッチなだけで勉学のできないアンポンタンは情け容赦なく淘汰されます。

筆者は医学部の構造改革は行なう必要性があると感じますが、厚労省地方公共団体、医師会関係等々の利害関係者がからんで閉塞感が。そんな状況の中(無駄に)たくさんお金を払ってドメスティックな6年間の医学の学びをするよりも他にもっと魅力的な選択肢はないか?そこで思いついたのが医学を学びに海外へです。

 

fou.hatenadiary.jp

 

fou.hatenadiary.jp

 

 

 

 

 

ヨーロッパの大学3 東欧で医学を学ぶ1 

筆者はこのことが日本にエラスムスが与えた影響だと思っています。このことは長話になりそうなので2~3回に分けて書くようにします。

エラスムスの副産物『東ヨーロッパの大学で医学を学ぼう!』

 『東欧の大学で医学を学ぶ』というお話は、10年くらい前から一部の間で知られてきました。日本の中等教育を終えていれば(言語の問題を除けば)比較的自由に世界各国の大学へ受験し入学することができます。特に東欧の大学の一部には、英語で学べる『国際コース』的な学生枠を設けて世界から学びの機会を提供しています。これらを行う理由は綺麗な言葉で用いれば学生の多様性による教育・研究の向上、下世話に言えば(授業料をかなりあげても学生は来るので)大学としての安定した収入確保の一環とも言えます。

この募集に日本人もそれなりの数が受験しています。筆者個人的にこの動きが良いこと、良くないことのジャッジが出来ない部分がありますので、まずはこの動きを幾つかの面から考えてみます。

 【写真1】コペンハーゲンの人魚姫

f:id:FOU:20210308001204j:plain

【写真2】郊外のお城でのランチ

f:id:FOU:20210308001301j:plain

【写真3】郊外のお城(名前確認中)

f:id:FOU:20210308001933j:plain

 

 

fou.hatenadiary.jp

 

 

fou.hatenadiary.jp

 


 

 

University of Osaka が Osaka Metropolitan University になった意味合いについて考えてみる 3/18追記あり

どこまで意地を張るかと思っていましたが(見かけ上は)急転直下英文名称の変更が行われました。この名称は筆者が可能性を示した事例のNO2の名称案!(というか他に良いものがみつからないもので)

3月12日夕刻の発表が楽しい

このことについては、あべのメディックス(あべのハルカスのご近所)において記者会見を行ないました。西澤理事長(市大医)、辰巳砂学長予定者(阪大工)らによる会見が開かれ、1月頃より議論が行なわれ、最終的に3月に新大学名称検討委員会(SDGsを標榜している大学のわりに構成員6名全員オトコの委員会)においてOsaka Metropolitan University(仮称)に(改めて)決まったとのこと。同時に阪大、大阪公立大双方が、同刻にHPにて発表も行ないました。また、両大学は(雨降って地固まり?)包括連携協定とやらも締結することに。ここまでは、双方オトナの対応に見えるのですが筆者的に気になった部分も。

大阪公立大学側のHPからの情報には、University of Osaka から Osaka Metropolitan University に変わった経緯には一言も触れず、突然新たな名前になったことのみ紹介を行なっています。この記者会見の場には阪大の総長西尾先生(京大工)もいて、記念写真にも収まっているのですが、なぜか(写真には西尾先生が写っているのに)写真のキャプションは西澤・辰巳砂先生のお名前のみ(3/13深夜現在)。方や阪大のHP発表には、大阪公立大学側が理解を示し名称変更を行なってくれた等々への謝辞が記されています。なんだか微妙に温度差が。また、勘ぐってみたいことが、この重要な会見に大阪市大の荒川学長(市大医)の姿が見えません。名称変更に反対の意志を示したかったのかも。

このようなお話、全国ネットにはほど遠いので関西圏以外の人たちにとってはどうでもいい話の類だと思いますが、お耳汚しに。また、発表から間もないのでこれからもいろいろ動きがあるかもしれません。詳しく知りたい人はそれぞれのHPや関西圏のメディアをググってお楽しみください。 

【3/18追記】

思ったよりメディア・他のブログとも反応が薄いですね。多分、関西の大学の英語の表記ということもあって、多くの人たちの関心事にまで届かなかったと言うことでしょう。なお、知人の大学関係者の認識は『結局、公立大学法人大阪側が墓穴を掘った上、阪大に修正話を押し切られてしまった』で、筆者もそれが妥当な成り行きと言えると思います。

fou.hatenadiary.jp

 

 

 

 

 

ヨーロッパの大学2 エラスムスとブレインドレイン

これまでざっと北米の大学たちをみてきました。ここからはしばらくヨーロッパをみていきます。 

エラスムスは続く

大学で働いていて国際交流課の人たちが「エラスムス・ムゥンドスがさぁ~」とかいう言葉を発しているとこの人たちはすごいエリートなんだと一般の職員を誤解させてしまいます。(多分たいしたことは言ってません。)エラスムス計画は、1980年代から開始、MEXTの資料は少々古いですが流れをつかむには分かりやすいと思います。現在はエラスムス・プラスと呼ばれるプログラム群が進んでいます。また、別途、若手研究者を中心とした域外交流プログラムとしてマリキュリーアクションも継続して行われています。

筆者的にこの流れを説明をすると、EUができたそもそもの理由・目的が、域内の経済・政治・外交・防衛など多岐にわたる国家間の統合。その中には高等教育を中心とした教育制度の均衡化によって流動性Mobilityを生み出すこと。その地ならしのため、域内の初等中等教育+大学学部+大学院修士課程+大学院博士課程の標準修業年限の調整、何時間で1単位をもらえ卒業・修了(ECTS)できるかあたりの調整を行い続けています。これらがうまくいけば、A国で取得した学位・成績の読み替えてB国の大学で短期・長期学ぶことを容易にする、というのが当面の目標。しかし、始めて30年くらいたっていますが、EUの予算上の制約、加盟国の西高東低的な経済格差、EU加盟国の増加、英語系次いで仏語系話者の文化圏とその他言語文化圏との衡平性の維持等たくさんをまとめることについてまだまだ時間がかかりそうです。また、ドイツのように公教育化による大学教育の平準化(とても良い大学を作るよりもどこの大学もそこそこのレベルを有する)を行ってきた国もあったりで、それぞれの国によっても大学の存在自体が異なっています。そんないろいろがあるのですが、そもそもな、なぜEUエラスムスを進めざるを得ない理由、それがアメリカの大学へのBrain Drain。イギリスの大学は、それなりにアメリカの大学とwin-winの関係にありますが、EU域内東へ進むほど高いレベルの大学を受けて豊かになりたい人たちはアメリカを目指します。特にアメリカの場合、行ってしまったら(いついてしまって)帰ってこない可能性が高いので、行ってしまわれる国々は大変。そんな背景の中でEUとしてのインセンティブを提供する必要が生じているのがこの制度設計の理由。その中の一部に域外との学術交流という仕組みを作っているものもありますがそれほど多くもありません。 

そして日本の大学の立場ですが、基本的なスタンスは見ているだけしかありません。どちらかというと文科省さんや学振さんが『日本といろいろやりしょう』と様々な機会にEUとのパイプを絶やさないことが大切だと感じます。また、以上の取組みはEUとしてのもの、加盟各国、そして各大学においても様々な交流プログラムがあるので引き続き確認が必要です。

MEXT H16 制度部会(第8回)議事要旨 欧州における高等教育に関する動向について

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/003/gijiroku/attach/1414179.htm

駐日欧州連合代表部 https://eeas.europa.eu/delegations/japan_ja

The Marie Skłodowska-Curie Actions (MSCA) https://ec.europa.eu/research/mariecurieactions/

 【写真1】ヨーロッパつながりのみでMont Saint-Michelの写真 Parisからでも朝早めのTGVにのれば日帰りで行けます。満潮時はこんな感じ

f:id:FOU:20210211225840j:plain

【写真2】ガレットはブルターニュあたりの郷土料理。島内の観光客向けレストランでいただきましたがお値段を除けばOKです。

f:id:FOU:20210211225931j:plain

【写真3】いやになるほどたくさんのムール貝 潮の干満の影響でおいしいとこの地方のムール貝AOC格付けされているものもあります。

f:id:FOU:20210211225946j:plain

【写真4】カモメ 海が遠浅な感じがわかってもらえると思います。

f:id:FOU:20210211230002j:plain

 

ヨーロッパの大学1 パリ北駅にて

かなり時を経ましたが以下はパリでの出来事。筆者は夏休みをフランスで過ごしていました。行った先はうつろになってきましたが多分南仏のニースかマルセイユに入ってパリから帰国するルートの途上。この日のスケジュールは、国鉄SNCF(もしくはRER)でパリ北駅Gare de NordからシャンティイChantilly-Gouvieuxまでいくところ。パリ北駅はその名のとおりパリから北方面への玄関口、シャルル・ド・ゴール(CDG)空港へ行くとき、長距離国際列車なら、ロンドンやベルギーに行くときにお世話になります。この日行ったシャンティイ駅はローカル線で30分足らずの場所。多くの観光客は、とても美しいシャンティイChâteau de Chantillyを目指すのですが、筆者が行ったのはシャンティイ競馬場Chantilly Race course と隣ある馬事博物館Musée Vivant du Cheval。この競馬場はとてもローカルな雰囲気で緑の木々の中に小さなスタンドと芝生が拡がる感じ。周辺エリアもパリ市内と違ってゴミゴミしてなくて少し田舎のフランスを感じることができます。本題とかなりそれてきましたのでその時の出来事。

http://www.ville-chantilly.fr/

【写真】こちらはパリの競馬場 Paris Longchamp racecourse 名前のとおりパリの西地区ロンシャンにあります。大きなレースがあるときはメトロポルトマイヨPorte Maillot駅から無料バスがでています。

France Galop(フランスのJRAのような組織)http://www.france-galop.com/en

f:id:FOU:20201230140555j:plain

パリで出会った日本人研究者のお話

話を戻してパリ北駅での出来事。そのシャンティイへ向かう車内。始発駅のパリ北駅で電車に乗り込み発車を待っていると筆者の後ろの座席にアジア系男性2名(一応Aさん・Bさんとしておきます)が乗り込んできました。お二人は日本語でお話をされそれを聞いている(聞こえてくる)限りお一人(Aさん)はパリのどこかの大学・研究所で研究しているご様子。そして彼らの会話内容はこんな感じ:

Bさん『お久しぶりですね。お元気にしていますか?』

Aさん『いやあ元気は元気なんですけどね。やることがなくて』

Bさん『どうしたんですか?』

Aさん『研究室の人たちとうまく行かなくて、予定していた研究もさっぱりで…』

Bさん『それは大変ですね』

Aさん『そうなんです。あと半年いないといけなくて。帰国したときの報告書は適当に書いときゃいいのですが…』

こんな話を延々15分くらい続けて筆者より先にお二人でどこかの駅で下車しました。筆者は彼らの行動を考えてみました。

注意力が散漫、パリの在来線とはいえお隣にアジア系の人間が座っていたら日本人かもしれない、聞かれたらまずい話は場をわきまえる、程度の想像をしておくべきでした。運が悪かったとすれば、その日本人の中でも筆者のような人物の後ろに座ってしまったことかもしれません。結論とすれば、そういう注意力がないから自分たちでも忘れてしまった頃にブログネタにされてしまうことになってしまいます。

会話の中で分かったことは、Aさんは多分、中国地域の国立大学の教員であること、その研究分野は化学・生物系あたり、なんらかの理由で在外研究員・サバティカル的なポジションを得て1年程度フランスのそれなりの研究施設で(一応)研鑽を積んでいたご様子。もう一人のBさんはそのAさんを訪ねてきた知人の研究者ではないかと推察されます。(散々書いていて説得力に欠けますが)海外でのミスマッチは研究者でも民間企業の人でも、もちろん学生さんでも起こりうること、なので起こった事象を責めて批判するだけでなくその良くない状況をどう打開していくかが大切だと感じます。でないと残った時間がとても無駄です。仮に筆者が同情するなら英語圏でも研究室内でのコミュニケーションは難しいだろうにフランスへ行けば尚更のこと。もちろんフランス側の受入れ機関にしても日本人研究者が憧れて行くレベルの機関なら多くのスタッフは英語は話せるでしょうが、全てのことを英語で済まそうとする訪問者がいたとすればかなり邪魔くさい存在になってしまいます。

筆者がヨーロッパで行ったことのある場所は、フランス、イギリス、ドイツ、デンマークスウェーデンetc。そのあたりの大学事情等々を数話にまとめる予定です。