FOU’s blog

日本の大学 今 未来

ヨーロッパの大学2 エラスムスとブレインドレイン

これまでざっと北米の大学たちをみてきました。ここからはしばらくヨーロッパをみていきます。 

エラスムスは続く

大学で働いていて国際交流課の人たちが「エラスムス・ムゥンドスがさぁ~」とかいう言葉を発しているとこの人たちはすごいエリートなんだと一般の職員を誤解させてしまいます。(多分たいしたことは言ってません。)エラスムス計画は、1980年代から開始、MEXTの資料は少々古いですが流れをつかむには分かりやすいと思います。現在はエラスムス・プラスと呼ばれるプログラム群が進んでいます。また、別途、若手研究者を中心とした域外交流プログラムとしてマリキュリーアクションも継続して行われています。

筆者的にこの流れを説明をすると、EUができたそもそもの理由・目的が、域内の経済・政治・外交・防衛など多岐にわたる国家間の統合。その中には高等教育を中心とした教育制度の均衡化によって流動性Mobilityを生み出すこと。その地ならしのため、域内の初等中等教育+大学学部+大学院修士課程+大学院博士課程の標準修業年限の調整、何時間で1単位をもらえ卒業・修了(ECTS)できるかあたりの調整を行い続けています。これらがうまくいけば、A国で取得した学位・成績の読み替えてB国の大学で短期・長期学ぶことを容易にする、というのが当面の目標。しかし、始めて30年くらいたっていますが、EUの予算上の制約、加盟国の西高東低的な経済格差、EU加盟国の増加、英語系次いで仏語系話者の文化圏とその他言語文化圏との衡平性の維持等たくさんをまとめることについてまだまだ時間がかかりそうです。また、ドイツのように公教育化による大学教育の平準化(とても良い大学を作るよりもどこの大学もそこそこのレベルを有する)を行ってきた国もあったりで、それぞれの国によっても大学の存在自体が異なっています。そんないろいろがあるのですが、そもそもな、なぜEUエラスムスを進めざるを得ない理由、それがアメリカの大学へのBrain Drain。イギリスの大学は、それなりにアメリカの大学とwin-winの関係にありますが、EU域内東へ進むほど高いレベルの大学を受けて豊かになりたい人たちはアメリカを目指します。特にアメリカの場合、行ってしまったら(いついてしまって)帰ってこない可能性が高いので、行ってしまわれる国々は大変。そんな背景の中でEUとしてのインセンティブを提供する必要が生じているのがこの制度設計の理由。その中の一部に域外との学術交流という仕組みを作っているものもありますがそれほど多くもありません。 

そして日本の大学の立場ですが、基本的なスタンスは見ているだけしかありません。どちらかというと文科省さんや学振さんが『日本といろいろやりしょう』と様々な機会にEUとのパイプを絶やさないことが大切だと感じます。また、以上の取組みはEUとしてのもの、加盟各国、そして各大学においても様々な交流プログラムがあるので引き続き確認が必要です。

MEXT H16 制度部会(第8回)議事要旨 欧州における高等教育に関する動向について

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/003/gijiroku/attach/1414179.htm

駐日欧州連合代表部 https://eeas.europa.eu/delegations/japan_ja

The Marie Skłodowska-Curie Actions (MSCA) https://ec.europa.eu/research/mariecurieactions/

 【写真1】ヨーロッパつながりのみでMont Saint-Michelの写真 Parisからでも朝早めのTGVにのれば日帰りで行けます。満潮時はこんな感じ

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【写真2】ガレットはブルターニュあたりの郷土料理。島内の観光客向けレストランでいただきましたがお値段を除けばOKです。

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【写真3】いやになるほどたくさんのムール貝 潮の干満の影響でおいしいとこの地方のムール貝AOC格付けされているものもあります。

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【写真4】カモメ 海が遠浅な感じがわかってもらえると思います。

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