かなり時を経ましたが以下はパリでの出来事。筆者は夏休みをフランスで過ごしていました。行った先はうつろになってきましたが多分南仏のニースかマルセイユに入ってパリから帰国するルートの途上。この日のスケジュールは、国鉄SNCF(もしくはRER)でパリ北駅Gare de Nordからシャンティイ駅Chantilly-Gouvieuxまでいくところ。パリ北駅はその名のとおりパリから北方面への玄関口、シャルル・ド・ゴール(CDG)空港へ行くとき、長距離国際列車なら、ロンドンやベルギーに行くときにお世話になります。この日行ったシャンティイ駅はローカル線で30分足らずの場所。多くの観光客は、とても美しいシャンティイ城Château de Chantillyを目指すのですが、筆者が行ったのはシャンティイ競馬場Chantilly Race course と隣ある馬事博物館Musée Vivant du Cheval。この競馬場はとてもローカルな雰囲気で緑の木々の中に小さなスタンドと芝生が拡がる感じ。周辺エリアもパリ市内と違ってゴミゴミしてなくて少し田舎のフランスを感じることができます。本題とかなりそれてきましたのでその時の出来事。
http://www.ville-chantilly.fr/
【写真】こちらはパリの競馬場 Paris Longchamp racecourse 名前のとおりパリの西地区ロンシャンにあります。大きなレースがあるときはメトロポルトマイヨPorte Maillot駅から無料バスがでています。
France Galop(フランスのJRAのような組織)http://www.france-galop.com/en
パリで出会った日本人研究者のお話
話を戻してパリ北駅での出来事。そのシャンティイへ向かう車内。始発駅のパリ北駅で電車に乗り込み発車を待っていると筆者の後ろの座席にアジア系男性2名(一応Aさん・Bさんとしておきます)が乗り込んできました。お二人は日本語でお話をされそれを聞いている(聞こえてくる)限りお一人(Aさん)はパリのどこかの大学・研究所で研究しているご様子。そして彼らの会話内容はこんな感じ:
Bさん『お久しぶりですね。お元気にしていますか?』
Aさん『いやあ元気は元気なんですけどね。やることがなくて』
Bさん『どうしたんですか?』
Aさん『研究室の人たちとうまく行かなくて、予定していた研究もさっぱりで…』
Bさん『それは大変ですね』
Aさん『そうなんです。あと半年いないといけなくて。帰国したときの報告書は適当に書いときゃいいのですが…』
こんな話を延々15分くらい続けて筆者より先にお二人でどこかの駅で下車しました。筆者は彼らの行動を考えてみました。
注意力が散漫、パリの在来線とはいえお隣にアジア系の人間が座っていたら日本人かもしれない、聞かれたらまずい話は場をわきまえる、程度の想像をしておくべきでした。運が悪かったとすれば、その日本人の中でも筆者のような人物の後ろに座ってしまったことかもしれません。結論とすれば、そういう注意力がないから自分たちでも忘れてしまった頃にブログネタにされてしまうことになってしまいます。
会話の中で分かったことは、Aさんは多分、中国地域の国立大学の教員であること、その研究分野は化学・生物系あたり、なんらかの理由で在外研究員・サバティカル的なポジションを得て1年程度フランスのそれなりの研究施設で(一応)研鑽を積んでいたご様子。もう一人のBさんはそのAさんを訪ねてきた知人の研究者ではないかと推察されます。(散々書いていて説得力に欠けますが)海外でのミスマッチは研究者でも民間企業の人でも、もちろん学生さんでも起こりうること、なので起こった事象を責めて批判するだけでなくその良くない状況をどう打開していくかが大切だと感じます。でないと残った時間がとても無駄です。仮に筆者が同情するなら英語圏でも研究室内でのコミュニケーションは難しいだろうにフランスへ行けば尚更のこと。もちろんフランス側の受入れ機関にしても日本人研究者が憧れて行くレベルの機関なら多くのスタッフは英語は話せるでしょうが、全てのことを英語で済まそうとする訪問者がいたとすればかなり邪魔くさい存在になってしまいます。
筆者がヨーロッパで行ったことのある場所は、フランス、イギリス、ドイツ、デンマーク、スウェーデンetc。そのあたりの大学事情等々を数話にまとめる予定です。