FOU’s blog

日本の大学 今 未来

ヨーロッパの大学3 東欧で医学を学ぶ2 その背景

それなりの数の日本人が東欧の医学部を目指します。まず、その理由を考えてみます。まずは国内事情から。   

明治維新から続く関東の人が気づかないいろいろな西高東低

首都圏にあるしっかりした医学部の数。関東に住んでいる人たちは、今がふつうの状態で自分たちのいる首都圏が日本で一番進んだ場所だと信じている人が結構います。いえいえ関西圏に住む筆者からみれば首都圏も東日本も西日本より脆弱な医療体制に見えてしまいます。これらは医療系学部全体の傾向ですがこの場では医学部を中心に考えてみます。

単純に人口比

例えば四国(よく例え話に使われます)。この四県の人口は(多少デコボコがありますが)400万人。一県あたり100万人としてこの四県に医学部のある国立大学が四つあります。もっと恵まれているのは山陰地区で、特に鳥取県は人口60万人足らずで鳥取大学医学部があります。(筆者個人的には主要施設が西の端の米子市にあるところが難点?に感じます。)こんな感じで関西以西には人口比に応じた医学部を有する大学があります。方や首都圏。場所を定義するのが難しいですが東京のためにある国公立大学は2校のみ。他は(数で勝負の)私大でまかないます

東京にはたくさんあるけど

まず私ごとから、持病があり子供の頃から病院にかかることの多い筆者は医者選びにはうるさいほう。通常の所謂かかりつけ医に相当する先生は大阪市大医出身、消化器内科を中心に臨床経験は豊富な人。必要に応じて消化器内科で専門性の高い治療(下部消化管)の高い治療をしてくれる大阪の基幹病院の先生は阪大医出身、内視鏡や大腸CTとかの検査を定期的にお願いしています。さらに参考までに歯医者さんは阪大歯出身でポスドクの時ヨーロッパの病院で1年間研修を受けた人物。で、筆者が東京で5年間働いていたときの主治医は慶應大病院が本務で関連するクリニックに週数回診療に来てくれる女医。医者や病院は自分や家族の生死を委ねるものなので一生懸命納得できるまで探します。その中で重要になってくるのは出身大学。お医者さんは可哀想にいくつになっても卒業した大学の名前がついて回ります。

いろいろ書いていますが、何をいいたいかと言うと、(筆者のような)患者は医者のキャリアをみて診療の是非を考えます。阪神間に住んでいると、京大、阪大、神大等に加え各県には公立大医学部があり、医学部の中心は私立大学ではなく国公立大学が担っています。どこも臨床も研究も盛んな大学ばかり。で、西日本はだいたいこんな感じ。特にこだわりがなくても身近に信頼できるお医者さんを見つけることが容易です。それでは筆者が今現在東京に住んでいたらどこ出身のお医者さんを選ぶでしょうか?答えはまず1番は東京医科歯科大出身(首都圏なら一番)。2番が慶応大医出身(金持ちで頭が良くて良いプライドをもっていそう)。あなたがブランド志向なら東大医は?問われるなら、このレベルまでくると臨床医としてよりも先端研究の分野でがんばってもらいたい感じるから。それ以外に私大医学部がたくさんありますが(筆者のような関西人には)正直区別がつきません。当たり前ですがみんな別々の大学なのでその歴史や個性・特色をアピールして学生を集めているのでしょうが、みんな一緒にみえて大して代わり映えなし。そんな私大医学部は研究志向ではなくとりあえず(よく言えば)一般的な通常の臨床医を育て上げるのがその責務。その中で大学を維持できているのは人口過密の東京で医学部受験志向の志願者がそれなりにいるから。仮に何かの事情ので東北のどこかの県にキャンパス移転したら経営はすぐさま行き詰まりそうです。

そして授業料が決め手

首都圏のみならず私大医学部の授業料はかなりお高め。授業料と同じくらいのナンチャラ充実費・ナンチャラ維持費・ナンチャラ協力金などなども盛り込まれ、結局6年間で卒業しても、さらに博士課程にはいったりして初期臨床研修が終わった頃には尋常でないお金を払っていることになります。(国立大ならざっくり入学料+55万円×6だけの明朗会計ですので普通にそれの10数倍)ただ、そんな私大医学部ですが良いところも。そんな大学を選ぶ学生は、特別なバックグラウンドをもつ人が多いので、大学として医師免許がとれるまで手厚いケアをしてくれます。このあたりは歯学部も同様。ところがこれは日本だけのお話で、お金をたくさん払ってアメリカの有名医大に入ったとしても、リッチなだけで勉学のできないアンポンタンは情け容赦なく淘汰されます。

筆者は医学部の構造改革は行なう必要性があると感じますが、厚労省地方公共団体、医師会関係等々の利害関係者がからんで閉塞感が。そんな状況の中(無駄に)たくさんお金を払ってドメスティックな6年間の医学の学びをするよりも他にもっと魅力的な選択肢はないか?そこで思いついたのが医学を学びに海外へです。

 

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