FOU’s blog

日本の大学 今 未来

ヨーロッパの大学6 ドイツ編1

ヨーロッパへ行くときは航空会社のマイレージの関係(というかそのレベルで)でフランクフルトからいろんな国へ。その割にドイツは通り過ぎるだけ。筆者個人的な『ドイツの大学はもう一つぱっとしない』理由を含めて考えてみます。特に悪意はないのですが。仕事関係で訪問したことがある場所は、Bonn のAvH と Bonn University くらいですので主として高等教育・研究のお話をしてみます。あとはその2で引き続き写真多めで見所案内をします。

ドイツでの気づき

日本と関わりがあるドイツの教育研究、筆者のイメージでは自然科学系の分野が中心。斎藤幸平さんの登場で人文社会科学系の分野での関心が高まり、学びたい・研究したいという人が増える可能性もあります。でも筆者個人的には(彼個人の特殊性が大きすぎ)ドイツ語文化圏の狭さからもあまり変わらないような気がします。

①ドイツ語は難しい・思ったより英語が通じない

複数回ドイツでタクシーに乗っていますがドライバーさん英語がダメ。筆者のイメージでは日本やフランス以上に英語が通じません。ドイツの初等中等教育の質が低いとも思えないので結構不思議。話は飛躍しますが、昔昔筆者は東ドイツという国があったころベルリン(西ドイツ→東ドイツ(ベルリン)→チェコスロバキアハンガリーオーストリア)へ行ったことがあります。その時の東ベルリンでのったタクシードライバーさんは、片言で『どこから来たんだい?コリア?ベトナム?』と東側らしい聞き方をしたのを覚えています。(さらに蛇足ですが)それから電車やバスでプラハブダペストに行きましたが、ホテル以外では英語は絶望的。さらに街中の掲示物(英語でもなくドイツ語でもなく)が何と書かれているかが分からないというレベルでかなり苦戦。バックパッカーの難所となりました。時には流れましたが、この地で医学を学びたい人はそんな心づもりも必要です。(ちなみに筆者の大学時代の第二外国語はドイツ語です。)

キセル乗車の取り締まりを楽しむ

ドイツというより、広くヨーロッパに言えることですが駅構内から電車に乗るまでのところに改札機を設置していないのが日常。(ドイツネタの最中ですが、フランスの方がわかりやすいので)例えばパリの地下鉄はチケットを通す改札がありますが、SNCF(フランス国鉄)には無いのが普通。乗る人は駅の各所にあるレンジ色の刻印機で日にちと乗った場所をカチッと特定(validation)する必要があります。validationしないで電車に乗って車掌さんに切符を見せても違法乗車になってしまいます。昔と比べればチケットの電子化が進み、車内外検札の必要性は薄れているのかもしれませんがまだまだ健在です。

ハイデルベルグのバス

かなり昔の話。大学の卒業旅行でバックパッカーをしていて泊まったユースホステルを朝出発して路線バスに乗り込もうとすると2名のコート姿の男性が乗車、身分証を見せながら(当たり前ですが)ドイツ語でチケットの確認をしてまわりました。この時はキセルの乗客はいなかったみたいでチェックが終わると次のバスを待っていたご様子。このようにヨーロッパの場合、電車だけでなくバスやトラムなどもチェックがあることはおぼえておくほうが良いと思います。

別の話題になりますが、泊まったユースホステルは深夜になるとバスタオルを巻いた若い欧米系女性たちが大声はりあげながら廊下を走り回っている風紀の悪い?場所だったことを記憶しています。今よりマイノリティーだったアジア人にはついていけない情景でした。

ボン近郊のDB

10数年くらい前のお話。お仕事関係者数名でボン近郊の在来線に乗っていると突然男性2人組が乗客に話しかけだし切符のチェックが始まります。停車間隔の短い路線でも車両を限定して行なっているようです。

フランクフルトの地下鉄

これは5年くらい前のお話。フランクフルト空港からの乗り継ぎで一泊することになり空港からダウンタウンへ地下鉄で向かうときのお話。車両に乗り込むと耳にピアス、派手なフットボール(サッカー)チームのTシャツ姿のいかつい系オッサン2人が矢庭(やにわ)にIDカードを首にかけて(多分ドイツ語で)『今から切符をチェックします!』言いながら切符確認を行ないます。これくらいのコスチュームまでして変装する必要があるのか日本人的視点では謎ですが。この時、筆者がチケットを提示しようとすると(多分ドイツ語で)『君は不要!』と手で制止、多分明らかに外国人に見えたので(仮に捕まえてもあとの手続きが面倒くさいので)確認対象から外したのではないかと思います。

こんな出来事をドイツに1週間も滞在していればお目にかかることができます。そんなこんなのドイツですが、既にお話しましたとおり、他のヨーロッパの多くの大学同様、日本でいえば国立大学のみが存在するような高等教育環境なので、大学間の大きな差異は生じない仕組みとなっています。そして学生が払う授業料はお安め。その中で、教育研究を充実させる仕組みとして、様々な競争的な外部資金を提供することにより頑張った大学・研究施設にインセンティブを与えるようにしています。このあたりは、日本のMEXT、JSPSやJSTなどが行う様々なプログラムと類似性が感じられます。以下がそのファンディングエージェンシーの代表的な機関とその概要。本部は現在でもベルリンではなくボンに置かれています。

AvH アレクサンダー・フォン・フンボルト財団

DAADドイツ学術交流会

DFGドイツ研究振興協会

資金提供の基本方針は大学・研究機関のボトムアップによる基礎研究支援なので日本でいえばJSPSJSTあたりをイメージすれば良いと思います。審査はピアレヴュー中心予算規模も同じくらい。21世紀初頭から日本の『21世紀COEプログラム』的なExcellence Initiativeプログラムを行なってがんばっている大学への研究資金投下を行なっています。ほぼ全ての高等教育機関が国立なので、どうしても予算配分は平等性が必要となるので、良くやっている機関への追加的な給付も何かしらの公的な審査が行なわれます。

日本との関連は、AvHDAADは日本にも事務所があったりで知られた存在なのですが、現在の日独交流というカテゴリー自体がなんとなくマイナーなので(個人的には)盛り上がらない気がします。なお、AvHDAADともこの事業に関わった学生、研究者との同窓会活動が盛ん、ドイツとの研究交流のパイプとして機能しています。(どこで得た情報か覚えていませんが)現在のドイツが国際的なパイプを大切にしている理由の一つに、優れたユダヤ系研究者の流失など、海外の機関と連携を求めず、孤立化した、過去の大戦の反省があったと言われています。ただ、日独間の交流は(筆者個人的には)地味な印象。また、工学系ではTU9という上位の大学の連合体を作り国際化への取り組みを行っています。 

www.humboldt-foundation.de

www.daad.de

 

 

www.tu9.de

 

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