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日本の大学 今 未来

カナダの大学11 ブリティッシュコロンビアBritish Columbia の大学etc

ブリティッシュコロンビアBritish Columbiaの大学

British Columbiaは太平洋岸に面した州、人口も西部カナダ最大。その人口はVancouverと州都Victoria周辺に集まっています。このあたりはカナダで唯一の温帯地域で冬も他のカナダほど寒くはなりません。また、南にいけばすぐにアメリカのワシントン州に接します。

この州の特色の一つに人種構成があります。Vancouverでは中国系を中心としたアジア系人種が多数。これはカナダの大陸横断鉄道の建設の際、安価な労働資源としてやってきた中国系住民。そして最近では香港の中国返還の際、Commonwealthの立場で多くの香港市民の移住先としてカナダを選んだからだと言われています。アメリカ西海岸の場合は、黒人とスペイン語を母国語とする中南米諸国の人たちを街中で多く見かけるのと大きな違いです。

British Columbiaの大学はVancouverの狭い地域に集約されます。THEのような大学ランキングでも評価の高いブリティッシュコロンビア大学University of British Columbia同様に評価の高いサイモンフレイザー大学Simon Fraser University、そして州都Victoriaにあるビクトリア大学University of Victoriaも日本との交流が盛んです。なお余談になりますがSimon Fraser Universityのキャンパスにあるモダンな建物を使って一昔前一世を風靡したTVドラマ『X-File』の撮影が行われたりしています。

ブリティッシュコロンビア大学 University of British Columbia https://www.ubc.ca/ 

サイモンフレイザー大学 Simon Fraser University https://www.sfu.ca/

ビクトリア大学 University of Victoria https://www.uvic.ca/

ブリティッシュコロンビア大学 University of British ColumbiaのメインキャンパスはVancouverの西部地域の海沿いにあります。日本関連としてはこの地で亡くなった新渡戸稲造氏を記念する庭園・新渡戸庭園と周辺にはアジア地域関連の研究施設があります。

新渡戸庭園(植物園)https://botanicalgarden.ubc.ca/

【写真】アジアセンターf:id:FOU:20201013060347j:plain

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Victoria周辺

州都VictoriaVancouverからも近いのですが、その位置が本土ではなくバンクーバー島側にあるので行くとすれば飛行機か船になります。そのためVancouverの喧噪から離れた落ち着いた雰囲気。観光するにも長期滞在するにもオススメできる場所です。学生身分でも語学研修などで訪れるのでも治安も良く楽しめます。

【マイルゼロ】カナダを東西に縦貫する国道の起点の碑

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【写真】ブッチャート・ガーデンButchart Gardens Victoriaにある美しい庭園。アメリカの観光客も良くきます。

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【写真】州議事堂と少しひなびた風情の港も観光スポット

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アメリカ・シアトルの情報を少し

カナダ目線でみるとこれでだいたい終わりなのですが、アメリワシントン州は間近。TorontoMontrealアメリカのChicagoNew YorkBostonあたりと近いのですがこちらではさらに簡単に往来ができます。例えばVictoriaからの直線距離ならVancouverへ行くのもSeattleに行くのも同じ。飛行機で日本からこのエリアに行くにしてもSeattleに行く方が便利かもしれません。Seattleの大学と言えばどちらも名門のワシントン大学University of Washingtonワシントン州立大学Washington State Universityがあります。国境を越えることになりますが、大学からの語学研修や学生個人で語学研修でこのあたりに行くのであれば両都市を見比べをして違いを感じてみるのが良いと思います。また、アメリカ側のメリットはSeattleならMLBNFLプロスポーツ観戦、近郊のマウントレーニア国定公園などへ行ってみればカナダとの文化の相違を感じれると思います。

ワシントン大学 University of Washington https://www.washington.edu/

ワシントン州立大学 Washington State University https://wsu.edu/

【写真】ボーイングの工場見学1 SeattleにはBoeing社の飛行機製造工場があります。ツアーに参加すれば製造中の大型旅客機を間近に見れます。

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【写真】ボーイングの工場見学2

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【写真】マウントレーニア国立公園1 Mount Rainier National Park Seattleから日帰りで十分楽しめます。この時は市内のホテルからGray Lineのバスツアーを使いました。Gray Line https://www.grayline.com/は、カナダを含む北米を中心に都市圏ツアーを行っている会社で頼りになります。

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【写真】マウントレーニア国立公園2

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【写真】マウントレーニア国立公園3

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カナダの大学10 アルバータAlbertaの大学2

カルガリー大学 University of Calgary https://www.ucalgary.ca/

筆者個人的には、カナダ西海岸で学部レベルの学生が語学研修を中心とした訪問を考えるならこちらが一番だと思います。まずCalgaryから。

Calgaryカナディアンロッキーへの玄関口。Calgary空港からダウンタウンへもスムーズに到着できます。この街の特色は都市計画で市内中心部への車の流入を防ぐため郊外のトラム(CTrain)の駅周辺に大きな駐車場を設置し公共交通機関の利用を促しています。市内にはボウ川Bow Riverが流れ夏場は人々の憩いの場となっています。

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University of Calgary へ行くにはトラムで、そのままの名前University Sta.を下車してすぐになります。この時筆者がUniversity of Calgaryへ行った理由は映画鑑賞。国際交流基金は海外事業の一つとして日本文化の紹介をやっていています。たまたま総領事館の文化広報担当のお誘いもあり行ってみることにしました。国際交流基金は外務省所管の機関ということもあり、大学で働く者からすると少し遠い感じもしますが特に海外では仲良くしておくといろいろ良いことがあります。このあたりは大使館・総領事館の広報文化担当の人たちも同様。

国際交流基金 https://www.jpf.go.jp/

(記憶がうつろですが)土曜日の夕方に渋めの日本映画を2本上映。大きめの講義室は盛況。無料イベントということもありますが、それなりに日本文化に関心のある学生が多いことを感じられました。また、こんな時には当該エリアの日本に関係のある人たちが集まるのでネットワーク形成のためにも学生でも研究者の人でも積極的に参加してみましょう。 

いくつかCalgary情報

リヴァーカフェ https://river-cafe.com/

リヴァーカフェは、ボウ川沿いの公園の中にあるカフェ。出来て30年たちますがとても良い雰囲気で市民の憩いの場になっています。筆者個人的には夏のブランチが良い感じがしますが、冬に店内の暖炉で一息つくのも悪くありません。

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カルガリーからカナディアンロッキー

学生引率でこのあたりに来たら必ず行かないといけないところ。地理的にはCalgaryからカナディアンロッキーまではそう遠くはありません。バスツアーなどを使えればなんとか日帰りでも行けます。余裕をもって行くならカナディアンロッキーの拠点Banffに泊まって行く方がオプションが増えます。Banff発のツアーは途中の名所であるレイクルイーズやエメラルド湖、最後にコロンビア大氷原に行き着く感じ。同じツアーなのに日本語ツアーの方が割高な印象です。なおレイクルイーズできれいな写真を撮ろうと思ってもなかなかお天気が許してくれないことを覚悟しておいてください。

【写真】Banff市街

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【写真】Banffを出発するとこんな光景が続きます

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【写真】コロンビア大氷原での氷河の上歩き

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【写真】道路上に普通に熊やシカが現れます

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カナダの大学9 アルバータAlbertaの大学1

アルバータAlbertaの大学

Albertaは、東のManitobaSaskatchewanの2州と比べると人口は多めで、EdmontonCalgaryとも百万人都市圏を構成しています。とはいえここはカナダ、見晴らしの良い平原が延々と続きますが州の西側に行くにつれ険しいカナディアンロッキーの山並みが待ち受けています。この州の特色はオイルサンド呼ばれる天然資源の採掘が盛んで経済的に潤っていること。そのおかげで州の売上税(Provincial Sales Tax:PST)がありません。他にも農業、畜産業も盛ん、特にAlberta Beef は有名ブランドとなっています。そのため、夏になると北米有数のロデオ大会Calgary Stampedeが行われ盛り上がります。www.calgarystampede.com/

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【写真】畜産業の展示もやってます

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アルバータ大学Alberta University https://www.ualberta.ca/index.html

Edmontonにある大学。カナダの主要都市の多くは、米国国境から隣接したところにあるのですがEdmontonはかなり内陸。そのため人がたくさん住んでいる都市としては世界有数の寒さとなる街です。筆者がEdmontonへ行ったのは、こちらの空港乗り継ぎでさらに北にあるノースウエスト準州Northwest Territoriesの州都イエローナイフYellowknifeへオーロラツアーへ行くため。ここは緯度的にオーロラベルトと呼ばれるオーロラの発現が多い場所で多くのオーロラ好きな日本人が訪れます。(カナダ人は見に来ません)ある意味当然ですが、オーロラを見るのは深夜、郊外の街の明かりのないところ(氷結した湖の上とか)に行くのですが気温的には普通にマイナス40度超に、ツアー会社は十分な防寒着や施設を用意してくれますがかない体力勝負となります。また昼間(冬に行くと高緯度なので昼間自体短いのですが)は、湖上に着陸可能な小型機でカリブーCaribou(所謂トナカイ)の群れを見に行くツアーや犬ぞり体験などそれらしいプランを提供してくれます。筆者のイメージとしてEdmontonという街自体決して悪いところでもなくアルバータ大学も外国人留学生の受入れも熱心なのですが、カナダの中でのたくさんの選択肢から選ぶとすれば他にも魅力的なところがあるかなあと感じます。Alberta内から選ぶにしても(筆者個人的には)Calgaryの方が楽しそうに感じます。

  

 

 

カナダの大学8 マニトバManitoba とサスカチュワンSaskatchewan の大学

カナダ 中西部の大学1 マニトバManitobaサスカチュワンSaskatchewan

マニトバManitobaサスカチュワンSaskatchewan の大学は狙い目?

カナダ東部に住んでいると話題になるのはOntario より東側のお話が中心。居住人口がどちらも百万人少々というManitobaSaskatchewanの両州は、プレーリー(草原)が延々と続く地で山すらありません。その少ない人口もSaskatoon、ReginaWinnipegなどの都市圏に集中しておりそれ以外は何もない世界。飛行機で下を見ていたらよく分かります。 筆者もカナダの多くの州へ行きましたがこの2州は素通りでした。知人の外交官(カナダの総領事館勤務の経験あり)によるとカナダ政府も中部カナダ地域の振興策には熱心で観光や留学生招致に他州より積極的。ただ、近年はこの地域も中国人留学生の流入が著しく授業料等のインセンティブが下がってきたようです。以下の4大学が両州の基幹大学です。なお、WinnipegSaint-Boniface地区にカナダ最西端となるフランス語話者が多く住む地区があります。(この州に意外な感じですが)こちらにはフランス語による教育を行うサンボニファス大学Université de Saint-Bonifaceマニトバ大学の姉妹校)があります。

マニトバManitobaの大学 

マニトバ大学 University of Manitoba http://www.umanitoba.ca/

ウィニペグ大学 University of Winnipeg https://www.uwinnipeg.ca/

サンボニファス大学 Université de Saint-Boniface https://ustboniface.ca/

サスカチュワンSaskatchewan の大学

サスカチュワン大学 University of Saskatchewan https://www.usask.ca/

レジャイナ大学 University of Regina https://www.uregina.ca/

 

カナダの大学7 ダルハウジー大学Dalhousie University etc

ダルハウジー大学Dalhousie University etcカナダ 東海岸の大学

ハリファックス Halifax, Nova Scotia が起点

Quebecより東側で人がそれなりに住んでいる場所はセントローレンス川とその出口セントローレンス湾の周辺。カナダの地名だとわかりにくいのでアメリカ側だとメイン州ニューハンプシャー州マサチューセッツ州あたりが近い場所。このあたりはカナダ建国の過程でできた小さな州の集合体となっています。その中で中核となる都市は、Nova ScosiaHarifaxHarifaxは、大西洋に面した中核都市。冬場も使える不凍港アメリカとの関係が悪かったころ作られた星状要塞が今でも見学できます。また、タイタニック号がこの街の沖合いで氷山にぶつかって沈没したように気候的にはかなり寒めです。とはいえ東部カナダ全般に言えることですが、短い夏はとても魅力的なシーズンです。また、 Harifaxを起点としてバスなどで近隣各州(プリンスエドワード、ニューブランズウィック)へ行くのも容易です。

トリビアとしては、セントローレンス湾に浮かぶSaint-Pierre-et-Miquelonの島々はフランス領、ユーロが普通に使えます。1763年のパリ条約で唯一北米でのフランスが領有することが認められた場所。当時は主としてグランドバンク(漁場)の漁船の海産物加工場と待避地として利用してきました。それが現在まで続いています。

サンピエール島・ミクロン島 Saint-Pierre-et-Miquelon http://www.spm-ct975.fr/

そのHarifaxにあるのがダルハウジー大学Dalhousie University1800年代初等のイギリス植民地時代に設置された、カナダ東部海岸では最大の大学。留学するにも(夏季に)語学研修に行くなら楽しめます。カナダの大学は州立が基本、小さい州でも質的に確保されていることは魅力と思います。

ダルハウジー大学 Dalhousie University https://www.dal.ca/

さいはての大学 ニューファンドランドメモリアル大学 

Memorial University of Newfoundland  https://www.mun.ca/

Newfoundland and Labradorの州都 St. John'sにある大学Newfoundland北米大陸最東端に位置するところ。ヨーロッパから船で北米に行く時、一番近い場所になります。州都 St. John'sは、天然の良港で荒々しい外洋から一転して小さな湾内はとても穏やかになります。ただ、人はとてもまばら。筆者は盛夏に行きましたがかなり寂しい風情。観光する場所としては、昔の港の防御施設シグナルヒル、ローカル風情漂うホエールウォッチング、たまに軍艦や帆船の展示など。観光に行くのは夏の一定期間にとどめる方が良いと思います。また、地域的な理由かこのあたりのエアカナダに乗っていると、民間航空機内にぞろぞろと戦闘服姿のアメリカ軍の人たちがたくさん乗り込んできたり、ある時は、言葉もよく分からない(イメージとして)100年前の東欧風の服装をした人たち(難民?)が乗り込んできたりと、ある意味カナダの実情を知ることができたと感じています。そんなところにフルタイムの学生が1万人を超えるMemorial University of Newfoundlandはあります。この大学を紹介した理由に、当時の勤務先でこの大学でPh.Dを取ったWHOの幹部(地域コーディネーター)を非常勤講師で招聘手続きをしたことも少し親近感につながっています。この時初めて国連職員の水色のパスポートを見て喜んでいました。こんな感じでカナダには日本人にはなじみはなくても興味深い大学がいろいろとあります。

 

 

 

カナダの大学5 Quebecの言語・社会 その他

Quebecの言語・社会 その他ーカナダ・ケベック州の大学ーその5

ケベックのフランス語事情

Montreal にいて気づく こと

筆者はもちろん言語学者でも歴史学者でもありませんので1年Montrealに過ごした際の経験、現地情報をもとにしたお話です。カナダと言えば多文化多言語主義を思い浮かべるのですがこちらでの状況は他の州の取り組みとは異なります。

日本人が初めてMontrealに行ってみると「思ったよりも英語が通じる」という言葉が返ってくることが多いと思います。これはある意味正しく観光地のOld MontrealMcGill University 周辺、昔より裕福な英国系住民が住むWest Mount 地区あたりは英語が通用します。反対に言えばそれ以外の場所は完全に仏語優勢。さらにQuebec州法により看板なども仏語語使用が優先されます。筆者がMontrealにいた頃、Montreal Expos と言うMLBチームがホームチームとして試合をしていました。その試合の際、スコアボードの掲示はフランス語標記にする徹底ぶり。また、Quebecにあるゴルフコースではスコアカードをフランス語記載のみに変更させられ英語話者の利用者を困らせたりしています。

【写真】エキスポス×カージナルス戦(1998年シーズン)@Stade olympique

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カナダのQuebecの仏語話者をケベクワ(Québécois)と言い、この人たちをFrench Canadianだとイメージしがちですがそうでもありません。Quebecに隣接するOntarioにおいても人口の10%は仏語話者、また、セントローレンス川沿いのカナダ諸州にも多くの仏語話者(この地域の仏語話者はアカディAcadieと呼ぶことが多い)が存在します。さらにアメリカのルイジアナ州もフランス文化が根づいています。これらの人たちの起源は英国より早く入植したフランス植民地ヌーヴェル・フランス。英国13植民地は北米大陸東岸に沿って形成されましたがヌーヴェル・フランスは、セントローレンス川に沿って五大湖周辺までの広大な範囲を(支配するには人口が少なすぎるため植民ではなく)管理下におきました。しかし居住人口の増加は少なく、規模が大きくなっていくイギリス植民地側との戦いに敗れます。1763年のパリ条約(七年戦争の後始末)において当時のフランスはイギリスにほぼ全ての北米大陸での領土を譲渡しました。このパリ条約の少し前、1760年にMontrealでヌーヴェルフランス植民地政府がイギリス軍に降伏文書に調印した際、北米でのフランス人居住人口の多さを危惧したイギリス側は、フランス本国への帰国を望むフランス人には私財の保証と帰国船の手配までする厚遇を行いQuebecで財をなした商人や軍人・官僚たちはとっとと帰国してしまいます。それでも7万人程度のフランス人がQuebecに留まります。その多くはフランス本国に帰るあてのない狩猟や農耕を行っていた文字を読めない貧困層と強固な意志で布教を行うイエズス会の修道士たち。そのためイギリス統治となってからもQuebecカトリック教会による教区制度を中核とした前近代的な統治が長く続きます。その出来事が現在まで続くQuebecの様々な因縁となっています。以上のような経緯があるので、ケベクワがそれほどフランスが好きな訳でもなく、彼らなりに彼らの歴史や文化を大切にしたいと言う思いがあるのだと筆者は感じています。

時制表現の違い

分かりやすい事例として、フランスに行ってホテルに泊まって朝がくるとPetit déjeunerと矢印をされたところに行くと朝ご飯が待ってくれているのですが、Quebecでは違います、朝になって矢印をされているのはdéjeuner(midi)。なんでこうなるのかは理由があって基本的にQuebecの仏語は1763年頃(アンシャンレジーAncien régimeの頃)からフランス本国とは異なる独自の発展をしてきました。外部的要因としてはイギリス統治化と北米英語文化圏内での孤立があげられます。また、英語からの借用語が多いのも特色となります。

トリビア的な話になりますが、在カナダの日本公館は、Toronto総領事館Ottawaの大使館含む)は英語系の職員で固め、在Montreal総領事館(管轄はQuebecより東の州)は仏語系の職員が中心となりなります。筆者がいた頃よくお話をしたMontreal総領事館の広報文化担当領事の人によるとQuebecの状況については仏語文化圏ということもあり、今でもフランス本国も気にかけているところがあり、大学への人的交流をして文化の交流を図ろうとしているのですがあまり(フランス本国側としては)成果は出てこないとのこと(あくまでご本人の弁)。それでもMcGill Univ.の中でもフランスから国籍変更してQuebecで暮らす教員は複数見かけますし、筆者がMcGill Univ.でフランス語を教わった先生はフランス国籍者でした。(この先生『Quebecではこう言うけどフランスではこうなる』的な授業をしてフランス人としても差異を感じているんだなと感じました。)

 

 

 

 

 

 

 

カナダの大学4 ラバル大学 Université Laval

ラバル大学 Université Laval ーカナダ・ケベック州の大学ーその4

ラバル大学Uniersité Lavalと周辺

ラバル大学Université Lavalは、Quebecの州都Quebec Cityにある大学。他の都市からQuebec Cityへは、飛行機が基本。ただ、Torontoや近隣のアメリカの諸都市からのフライトもありますが、便数はそれほど多くありません。

州内のMontrealから行くとすれば、鉄道(VIA Rail)か長距離バスの利用となります。鉄道は日本人のイメージからすると本数はかなり少なめ、どちらかと言うと長距離バスの方が予約なしで乗れて便利です。Lavalという名はヌーヴェル・フランス初代の本国から派遣された司教 François de Laval に由来しています。この地区は、Quebecの中でも仏語優勢のエリア。大学の人は英語を話してくれますが、観光地の旧市街以外は 仏語を知らない人は不自由するかもしれません。メインキャンパスのあるサントフォアSaint-Foy世界遺産の観光地Quebec City旧市街からそう遠くもない場所できれいな住宅街の中に。また、旧市街のアッパータウンには、Université Laval が管理する博物館Musée de l'Amérique Francophoneがあったりします。

ラバル大学 Université Laval https://www.ulaval.ca/en/

【写真】旧市街にあるラバル大学の施設1

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【写真】旧市街にあるラバル大学の施設2

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なお、歴史ネタ的には、このあたりは七年戦争フレンチ・インディアン戦争)の古戦場がたくさん。モンモラシー滝の戦い(1759年)、アブラハム平原の戦い(1759年)、そしてサントフォアの戦い(1760年)などが現地の人の記憶に留まっています。 

この時、イギリスは、ヌーヴェル・フランス侵攻のため、100隻を超える戦列艦隊を編成、一万人を超える兵員と多数の火器・弾薬、食料をのせてセントローレンス川を遡上、Quebecに到着しています。このコスト意識が十数年先のアメリカ独立戦争への引き金となったということまでは日本の歴史教科書にはあまり書かれていません。 

 【写真】州議事堂の外壁には1759年のアブラハム平原の戦いでともに戦死したウルフ将軍(イギリス)とモンカルム将軍(フランス)の像が今では仲良く飾られています。

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【写真】 Château Frontenac とTerrasse Dufferin

世界遺産となっている旧市街は非常に美しく観光地化されています。語学研修などでTorontoMontreal あたりに滞在している人は日帰りか一泊で旅行するととても楽しめる街です。