某大学で献体登録をしました、このことでは、SNSを見渡すと、妄想というか、ちょっと違うことをイメージしている人がもいるようですので、良い機会でもあるので実際の状況を考えてみます。
人々の大学医学部・病院への妄想
昔からよく聞く大学の怪談?ものを一つ。『医学部には高額で特殊なバイトがあって、夜な夜な病死者の遺体をホルマリンとかの薬品のお風呂につけて棒か何かでつっついたりひっくり返したり』するお仕事があって?一部のマニアは目を皿のようにしてバイト雑誌で探しているとかいないとか…で、大学職員の筆者でも実際あるのかないのか知りません。
献体の募集
で、全国の医学部・歯学部のある大学では、献体募集を行っています。このお話、おひれがつきやすいようで、SNSとかでコメントを見てみるとちょっと違っているのがたくさん出回っています。そこで、ついさっき実際献体登録したばかりの筆者がその実情を説明してみます。
献体の必要性
まず、献体を行うことの第一目的は、学生が行う病理実習(2年次生くらい)のため。行きつけのクリニック(大阪なんば界隈)の診察の機会があったので、先生(消化器内科専門医)にこの話をしたところ、しんみり『学生の時、実習室へいったら、いくつも死体(献体)が並んでんねん。それまでこんな形で死体をみるのなかったからびっくりやったわ…医学の進歩へのご協力ありがとうございます…』と思い出話をしてくれました。基本このことに献体は使います。また、臨床研究での需要もあるようです。献体ではありませんが、いわゆる基礎医学分野で解剖学を専門としている先生たちは、警察等の要請で不審死者等の死亡原因を特定する場合(法医学的分野)にもおこなわれます。
献体プロセスあれこれ
筆者の経験を中心に以下整理しました。
①献体登録
最初のステップは、献体を希望する大学への登録申請。献体については、それぞれの大学に、お花の名前(白菊会が多い)の献体団体があります。そちらのHP等でまずは情報収集をするのが先決。なお、入会に際しては、人数制限、地域制限(例えば大阪府の北摂地域に住んでいる人限定etc)、年齢制限(高齢者優先、若すぎると管理が難しい)等を考慮に入れた上、書類選考・面談等の上、登録が可能になります。例えば、わかりやすくいうと、東京に住んでいる人が琉球大学さんへ申し込むのは、物理的にムリ、基本的には、自分が住んでいる住所地の周辺にある大学が候補となります。ですので、筆者は、兵庫県の神戸市内にある大学にお願いすることにしました。ですので、最初から京大、阪大やハム大あたりは、選択候補の対象外。
また、登録は本人の意志のみでなく、法定親族の同意も必要。そのため、実際亡くなった際、献体のあり方等々にごちゃごちゃ文句を言いそうな親族がいるなら、早めに調整をしておくのが良いといえます。
②Pick Up (『お迎え』ともいう)
死亡後のご遺体は、大学経費でお迎えに来てくれます。基本的には、献体者の家族が、亡くなったことを大学に伝えると、大学と契約した遺体搬送車がお迎えにきます。で、この部分は、大学とよく相談することが必要で、亡くなった病院からそのまま、いったん葬儀会社に預かってもらい(自己負担)どこかの式場で通夜なり本葬なりを終えたのち、Pick Up してもらえることも可能。余談ですが、夏季の暑い時期に本葬まで執り行う場合、ドライアイス等による保存の必要性が生じます。このあたりは、大学経費ではなく自腹。このようなスケジュール感も、献体者が元気なうちに決めておくのが肝心。筆者の個人的なイメージは、中途半端に葬儀をしてもアレですので、病院directをお願いする予定。
で、搬送費用と距離感。依頼する大学の基本的な考え方は、兵庫県内なら無料でお迎え。ということは、行くのに車で数時間かかる、日本海側のカニのおいしい香住や温泉で有名な城崎(きのさき)で亡くなったら運搬費用は全部大学もちなので、なんとなくお得感?があります。反対に隣接する大阪で亡くなった場合、神戸市内から阪神高速乗って数十分でつくのに大阪府に入ったとたん(県外なので)追加料金が必要になるのは不平等感が芽生えます。このことは大学も気にしているようで、少額の追加料金を払えば大阪でもお迎えにきてくれるようです。他にも、いくつかの大学の事例をググってみても大学所在地にある都道府県内からの費用負担なしが基本的な取扱いになっています。ただ、首都圏は、狭いエリアに複数の医学部があるので、実際どうなっているのか個別によくリサーチすることが大切です。
じゃあ反対に、神戸の大学で献体登録した人が東京で亡くなったらどうか?ですが…(仮に)東京→神戸へ搬送すると数十万のコストがかかるとのこと。ですので、まずは献体はあきらめることに。ただ、事前にうまく相談しておけば、首都圏の大学(東科大?東大?あたり?知らんけど…)で引き取ってもらえるかもしれないとのことでした。
③大学についたら
献体が医学部にご到着。念のためですが、献体は大学病院には行きません。あくまで医学部。献体の取り扱いはヒトではなく(大切な)モノに変わっています。ここからはプロレベル?のお話になりますが、献体の下処理?が始まり数か月かけて実習に適した状態にします。そしてその時を待ちます。
で、解剖等の役目が終わったら、きれいに整え斎場へ運んでお骨に。大学によってはこのような処理のプロセスを(コストカットのため?)外注しているらしいのですが、筆者がお願いする大学はきっちり学内で正確に管理されているとのことでした。大学における献体の取り扱いについては、時々、SNS等への不適切投稿、親族への告知遅れや献体のおきっぱなしや遺骨の取り違えがニュースになります。このあたり大学の責任できっちりしてくれることを期待です。でないと、化けてでて末代まで祟ってやります。
⑤どんな人が献体しているの?
筆者が献体登録した大学の会誌を読んでみると、成願(という言葉をもちいていました)された年齢はお高め、また、思ったよりも、女性献体者が多いのが印象的。憶測ですが、しっかりした人生観を持った人が献体をしているように感じます。
⑥首都圏は大変そう
首都圏を除けば、医学部のある大学は、その生活圏内に多くはありません。ですので、献体先の大学も選択肢は限られます。ですが、首都圏では、電車に乗って数十分圏内にいくつもの医大が。それに、みなさん、キャラが強そうな大学(特に私大)ばかりです。献体者の気持ちとしては、(多くの場合)その医大に何かしらのご縁があったり、思いがあったりで、大学の方針に賛同できるから献体を行うわけで、(例えば)順天堂大さんで献体をしてもらいたかったけど、無理と言われ、聖マリ大さんに引き受けてもらう、という話にはなりにくいと思います。これは、聖マリ大さんが好きの方の場合も同様。そんなこともあり、献体先の大学をしっかり決めることはとても大切。
献体部分のまとめ
献体に関する全国組織は、比較的緩いつながりで、公益財団法人日本篤志献体協会さん、篤志解剖全国連合会さんというものがありますが、大学ごとの献体実施に関する事細かなとりまとめは行っていません。そのため、献体を考えている人は元気なうちに、いろんな大学の状況を知り、学んだうえで登録へ進むのが良いと思います。調べるのは簡単、医学部のある大学なら大学名+献体でググればすぐに見つかります。
死生観と献体の整理のつけ方について、筆者個人的には、とても合理主義者ですので、亡き後、遺族の前から、すぐに物理的に遺体がなくなることがあっても、何も心配することはないと考えます。それに数年後には遺骨の返還もしてくれますので納めたい墓があるのならその時納骨すれば終わりの話。今後も続く高齢化と多死社会の中で、自分の死をどう取り扱うかは、実際死ぬ側の心構えが大切になるんだと感じます。死んだあとも社会貢献できる献体って良いことだと考える立場でこのブログは書いています。
いつもどおり話がなってきたので、一旦ここで終わらせて、次にちょっと関係するかもしれない神戸市中央区界隈のお話をしてみたいと思います。しばらくしたらアップしますのでよろしけえればご購読を。
⇩ご参考 こんな業者さんがお迎え・引き取りに来てくれるようです。※HP読んでいるとドライバー人材等雇用確保のため、HPトップ等をそれらしく明るい雰囲気に更新をされたようです。