昨年度(令和5年度)に続き採択大学を予想しています。大学職員の方は『何バカやってんだよ!』と思わずご自身でも勉強がてらトライしましてみましょう。※オフィスでピーナッツを集めてヘンなことすると時節柄世間様に怒られますのでお控えください…。書いていることの理解は大学外の方にはハードル高めですが頑張ってごお読みいただければ…。
令和6年度募集の傾向
令和5年度との大きな違いは、募集要件の中に国際連携型という言葉の追記があります。そのため、代表大学は日本の大学、連携を組む大学は海外の大学となります。さらに教育機関ではない連携機関の名前も別途記します。
事業としてやらないといけないことは、海外の大学院・研究機関・企業・国際関係機関等の外部機関と連携するとともに、10名以上の大学院生(修士・博士ともOK)、3 名以上の教員及び 1 名以上のプログラムコーディネーター(URA等)が参画する教育研究プログラムを構築する実効性ある計画であることとしています。筆者個人的には、それほど大学で行う取り組み自体のハードルは高く感じません。応募はその中身で勝負。
で、今年度の応募件数は12件(昨年度は8件)、以下募集の要件。
選定(予定)件数 :4件程度。 (筆者の予想では5~6件程度採択しそう)
経費の補助期間 :最長6年間。(最大 40,000千円(初年度交付・年間)
※他の科研費と同様、必ず中間評価・査定がはいりますので、ちんたら事業をやって目に見える成果がでていないと次年度の交付金額が減額されます。
審査方法
いつもの二段階システム。申請書類の書面審査(ピアレビュー)は、JSPSの学術システム研究センターの書面審査委員による審査(1申請5名程度?)で以下の5段階のランク付けで12件の順位付けをします(公募要領にはそこまで書かれていませんので筆者の推測)。その結果をもとに面接をして選考委員会で最終決定。※交付予定総額から調整をすれば(良いものがあれば)あと数件追加採択が可能と思えます。
なお、書面審査の後は、8月上旬に面接(多分プレゼントと質疑)ののち同中旬に採否決定の予定。※9月初旬には答え合わせ&反省会を行いますのでこうご期待。
a ・非常に優れている
b・ 優れている
c ・妥当である
d ・やや不十分である
e・不十分である
以上に基づき筆者も審査(ごっこ)してみます。筆者の審査に活用する材料は、大学名、事業名称、連携する海外の大学名称・日本の連携機関名称のみ。(もちろん、本当の申請書類にはしっかり応募理由が書かれています。)それではがんばって5段階評価を。
①d・新潟大学
『東アジアの共通課題を解決するための大学院国際共修プログラム』と銘打っています。連携大学は中国、香港、韓国、ドイツの計5大学。題目の共通課題や国際共修と連携する大学との間でどのような成果を期待できるかがわかりづらい。(もう少し題目をインパクトあるものにした方が印象としては良い)
②c・筑波大学
法学分野での国際連携。スペインとドイツの大学との間での連携で一定の成果は見込まれる。
③a・東京大学
公共政策高度人材養成を目的とした国際連携。連携先の海外大学も一流どころばかりなので大きな成果が期待できる。
④c・東京外国語大学
欧州4大学と平和学を基礎とした歴史学のアプローチでダブル・ディグリーを取得を行う試み。多文化的公共圏における歴史と記憶というような主題の書きぶりが何を実際行いたいのか素人目線で見えにくくしている印象。
⑤b・一橋大学
基本的には良いプログラムに感じる。ただ連携先の海外大学は欧米圏で固める方が事業目的に即しているようにも感じる。国連機関との連携も好印象。
⑥c・金沢大学
『グローバルにサステナビリティな人材を養成』をするため、どのように海外大学と連携していくの見えにくい。
⑦b・滋賀大学
台湾、英国、アメリカの大学と Silicon Valley Center of Operations and Technology Management, San Jose State University 、さらに SOAS との連携も興味をそそり良い成果が出そうな予感。
⑧c・神戸大学
連携する海外大学・機関が多すぎ。選択肢が多いのは悪くはないが、大学院レベルでの連携ならもう少し絞り込んだ方がよいのでは。
⑨c・広島大学
題目にある『持続可能な組織文化の形成』のため、どうして北京外国語大学、メルボルン大学とつながる必要性があるのか見えにくい。
⑩b・長崎大学
題目にある『長崎を起点』という表現で、オランダライデン大学などと日本研究をするのは、とても興味深く(勝手に)感じます。
⑪c・愛知県立大学
『多言語多文化社会で必要とされるコミュニケーションデザイン能力を有する人の育成』についてのプログラム。連携する海外大学は、異文化の色彩はあるが、多言語での関わりはあまり感じられない。カナダ、アメリカで実績のある大学の加入があったら説得力は高まった。
⑫c・事業構想大学院大学
インドとのアプローチによる国際連携プログラム。アクセスをインドに特化し方向性はしっかりしていそう。
採択予想
1.③a・東京大学◎
2.⑤b・一橋大学〇
3.⑦b・滋賀大学▲
4.⑩b・長崎大学△
次点(2大学)
⑧c・神戸大学✕
②c・筑波大学✕
(筆者の)講評
やはり東大は応募慣れしていて内容も手堅いので採択必至。一橋大、滋賀大、長崎大は甲乙つけがたいですが、筆者個人的には滋賀大の応募内容に魅力を感じました。その次は候補は予算に余裕があるのなら、国立大以外の愛知県立大や事業構想大学院大学も採択対象としても良いと思います。
課題とまとめ
ちなみに筆者は前回も採択大学予想をしましたが内容は芳しくありませんでした。今回は挽回したいです。
実は筆者が一番言いたいことは以下。なんで私大からの応募が極端に少ないのか?。首都圏であれば早慶上智あたりは大学院も充実しているんだから、(やる気があれば)応募は可能。国際性から考えればICUなんかも国際的なつながりで良いプログラムが提供できる可能性は十分にあります。関西圏でも同様、関関同立なら国際的なパイプもそれなりにありそうなのに申請しません。
出さない理由は、(実は大学として)お金に苦労していないから?。このようなプログラム自体にに関心がないから?。大学院の質が低くてそれどころじゃないから?。教員の質が低く過ぎて対応できないから?いろんなことにチャレンジする気がないから?。なんとなく出しても採択されそうもないから?。採択されるとその予算執行時の外部資金の取り扱いが邪魔くさいから?。等々筆者はうがった見方をしています。
MEXT・JSPS・JSTからの目線でみると、偏差値がとても高いと言われる人気私大でも、国際事業を含めた科研費の申請件数・採択件数ともに非常にわずかなところが多数。これから大学を受験してみる人や家族もその理由は何なのかを知っておくべきだと強く感じます。
↓今回の情報はこちらに。関心のある方はご確認を