FOU’s blog

日本の大学 今 未来

【短編】大学の食堂ってどうあるべきか考えてみる ー課題と未来ー

小ネタです。最近の学食事情。これ書いた理由は最近食堂が生協組合員(所謂学生)でないとお食事のお値段を上げることになったことへの逆恨みから。

大学を受験しようとする人や外部の一部の人の大きな勘違いとして、素敵なキャンパスの素敵なレストラン、最近の大学は変わったね!というのがあります。これはオープンキャンパスなどの際のおいしい食堂の過剰演出?しすぎていることが影響しているようにも感じます。

結局生き残るのはごく普通の学食?

大学で働いていればわかりますが、基本的に大学内での食堂営業は厳しくなってきているのを感じます。その理由として、街中によくある食堂と大きく異なる仕組みとして、混むのはお昼前の授業が終わった時間帯のみの業態。ですので、夜ごはんの提供は基本なしでのランチ営業中心、また、大学の行事によって普通の日なのに来客者(学生)が極端に減ること。やはりこれって食堂経営者側からすると食材・キッチンスタッフのやりくりも大変になってきます。

以下大学であるからゆえの困ったところの詳細。

①食の多様性?が負担

よくある学食のスタイルは、メニューを見て食べるもの決めて(例えば生協の)ミールカードで購入します。その中で街中のよくあるお店との大きく異なるのは食堂の利用方法。大学の食堂では食べるところは公共化されていて、学生は何か注文をしなくても別用途(休憩・待ち合わせ・勉強etc)での滞在もOK、さらに言うと(食堂側では一応制限はかけていますが)自宅で作ったお弁当や近所のコンビニで買った弁当も何気なく食べていれば怒られることもありません。特に学生が複数で食堂利用する際、食堂のカレーを食べる人、途中でセブンの弁当を買った人が混在し一緒に食べる光景も普通。また、お昼時は食堂内が混みあうので、食堂外への食器・トレー・スプーン等の持ち出しも普通。食べた後、ちゃんとトレイを回収コーナーに持ってきてくれるとは限りませんので食堂側としては衛生上も含め困ります。

さらに大学側が(外部の事業者として)キッチンカーの導入をしたりで日々普通にやっている食堂側からすると背中から鉄砲撃たれてしまうこともしばしば。

②食堂は誰のもの?

多くの場合、大学内の食堂は、全国ネットの大学生協が運営していることが多いのですが、ホテルなどが大学と個別に賃借して営業権をもつこともあります。で、借り手側のメリットととしては、学内に自分たちで食堂を作るのではなく、ほぼ食堂用途で作られた場所・建物で開業すればすれば良いだけ(居抜き的な考え方)ですので、大学内の立地を活かし独占的にお食事を提供することが可能、そこはメリットかもしれません。

③授業のないときは閑散

以上のようなお話だけなら、食堂運営者側にもメリットがありそうですが、大変な部分もたくさん。大学職員の人なら良く分かると思いますが、一年間のうち大学で通常の授業が行われるのはだいたい30週(前期15コマ/週+後期15コマ/週)。それ以外の期間、学生のキャンパス利用は少なくなります。また、大学の行事に合わせ臨時休業や臨時営業オープンキャンパス・入試etc)に協力する必要も生じます。

④今でも学生としてはワンコインを超えるとキツイ

一か月に20日間大学に来る学生がいたとして、その都度500円の食事をしたらそれだけで一万円、その他に飲み物やスナックも買うでしょうから、実際はさらに支出は多くなります。ですので、現実的に提供するランチ類も上限500円を目安となります。でないと利用者である学生の足は(長い目で見れば)遠のきます。物価上昇により街中のお店のランチの価格が1000円を超えていますが、同様の金額では学生はきません。値上げをしようとすると投書箱に値上げしないで!のお手紙が入ってしまいます。そのあたりの食材選びと価格コントロールは大変になります。

SDGsもたしかに大切なんだけど…

街中どこにでも普通にある食堂・レストラン以上に特別に気を遣うこともあります。その典型が宗教食。西アジア・東南アジアなどからの留学生・研究者の人たちへの配慮とハラール認証のお料理の提供にも取り組んでいます。ご承知のとおりでハラール認証ってイスラム教を知らない者からすると準備はかなり大変。そしてそもそもおいしいものが提供できるかが課題。このようなことに気にしだすとヒンドゥーヴィーガンベジタリアンはどう対応するか等々で迷宮に陥ってしまいます。

※ハラル・ハラールは、アラビア語➡英語➡日本語での表記だとHalal・ハラルとなるのですが、アラビア語として実際発音するとlaラ部分がlaaに聞こえるらしく、そのため発音に準じて日本語で表記する際はハラールと記す方が良いようです。ご参考。

⇩以下はもう消えていたらごめんなさい

www.univcoop.or.jp

www.utcoop.or.jp

www.sophia.ac.jp

osaka-univ.coop

⑥100円朝食も…

内閣府農水省の資料統計で最近の大学生が食習慣(特に朝めし抜き)が乱れているのでなんとかしなきゃ!ということで多くの大学の大学で行われだしたのが100円朝食。食生活が不規則になりがちが学生のため、安価(100円)なお値段で朝ごはんを提供する取り組み。筆者としては総論賛成ですが、そもそもお寝坊さんで食の乱れのある若者が朝っぱらから大学に来て100円だからといって朝ごはんを食べに来るのだろうか?というのが素朴で大きな疑問。なんだか主役不在で大人の人たちで盛り上がっている気もします。

⑦うまく営業できている事例 ー結局昔ながらが生き残るー

旧帝大だからという理由もありますが、キャンパス内の職業別滞在者比率。普通のマンモス私大の学食ならその利用者の大部分は学生が占めますが、研究型大学院大学の場合、終日学部学生以外の利用者が期待できるのがメリットかもしれません。

その一例として、阪大豊中キャンパス内にある図書館下食堂って、キャンパス内の大学総合図書館の半地下スペースで営業していますが、長年にわたって人気を継続。お昼時は(元祖らしい)天津麻婆丼と呼ばれる高カロリーなジャンク系どんぶりを目当てに学外からの食べに来たり(今でも)テレビ取材があったりで人気店を保っています。結局普通にお値段お手ごろでそこそこおいしいというのが生き残る道のよう。

r.gnavi.co.jp

⑧高級ランチで勝負する(しかない)

神戸のポーアイにある神戸学院大学内のレストラン・ショリポーさん。ポートピアホテルさんが運営するレストランとして周辺のグルメ志向の人たちには知られた存在。学外者は50円増、土日限定メニューは明らかに学外者向けに設定されています。このやり方って主人公であるべき学生さんに依存していませんが、お店をやっていくのには仕方ないということなのでしょうか…。筆者はいったことはありませんが、とても良いロケーションのところ。特にお天気の良い日にいけば、ホテルオークラ、ポートタワー、Mosaic 界隈の景色を眺めつつおいしいランチを楽しめそうです。

www.portopia.co.jp

⑨食堂は生協会員様のものですから…

一つの大学の中でも、複数食堂があると経営母体はいろいろありますが、多くの大学で主として食堂を運営しているのは大学生協さん。学生は、入学時(半強制的に)に、お金を払って組合員になります。生協に入る学生のメリットととしては、本が安く買える、自動車学校が安く通える、旅行が安く行けるetc。そして一番よく利用するのが多分食堂。ただ、キャンパス内にある食堂ということで、これまでは生協会員でない人も当然自由に利用しそれが普通でした。それが昨今は、基本に立ち返り?利用者が特定できるミールカードなどを用いて組合員の学生には組合員価格での食事提供を行う仕組みが増えてきています。とはいえ、大きな金額ではありませんが組合員・非組合員との間で価格に差異を設けることは、(筆者のような)非組合員にとっての心証は良くありません。経営上これまで来ていた利用者離れにつながるかもしれませんので検証が必要かもしれません。

むすび

ぜんぜん結ばれていませんが、以上のとおり、筆者の理解では大学での食堂運営者のオシゴトって結構大変。ですので王子公園の関学さんのように、周辺住民にも開放した夢のような安易なレストランの開設話に(どんな運営手法をとるのかは今のところ未知数ですが)違和感を感じてしまいます。そんな大学の食堂にも外部から学食マニアの方も時々きますが、価格を圧縮した若い人向けの料理が多いのでご年配の方は特に期待しない方が良いと思います。

fou.hatenadiary.jp

実際のメニュー例(個別の評価は控えます。)

【写真1】カレーに温玉つき

【写真2】カツカレー

【写真3】(これでも)チャーシューラーメン

【写真4】味噌ラーメン(バター付き)