FOU’s blog

日本の大学 今 未来

同業種交流会の世間話から2023年の大学を占ってみる1 ー私大の惨状編ー

すいません。単なる忘年会でのお話です。場所はいつも KOH SAMUI BY CHEDI LUANG@ハービスPLAZA ENTで(首都圏の人にはどこのどんなでしょうが…)。小さなあつまりですが教員2人事務職員二人くらい。別の人物とももう一回。その1ではおすすめできない私大のことを。時間があれば、その2も書くようにします。

とある私立大学の今 ーわたし、3月で辞めますー

開口一番のお話が関西圏の私大看護学部に常勤教員として勤める女性。勤めている看護学部は最近ずっと定員割れが続いています。想像に難くありませんが、そんな大学では当然何がおこるかというと給与の削減。(例えば)ちょっと前まで年間で4か月以上支払われていたボーナス(賞与)が、年末の支払いが1か月にまで減らされてしまったとのこと。こういうことがおこると当然連鎖的に働いている人の見切り退職者の増加。誰かやめると誰かにしわ寄せがいくわけで、働きだして数年なのに修士学生のマル合(論文審査)の仕事まで降ってきたりで大変、入ってくる学生も基本的に全入なので教えるのも大変。そんなところで働いていると当然ギスギスした学内風土になり人間関係も壊れだしハラスメントも横行、それでも残っている人たちは次は誰がいつ辞めるんだろうの疑心暗鬼に、当然そんな大学には新たに優秀な人材もやってきません。ちなみに退職する人、英語ペラペラで看護学の博士学位はもっているのですが、一般的な看護学研究のフィールドから外れているので次のところはまだ見つかっていないようです。普通に考えて、経営環境・職場環境の悪い組織からは人は去っていきます。そんな様々な大学内のもめごとまでHPや表向きのオープンキャンパスだけでは見分けはつきにくいかもしれませんが、受験生とその関係者は大学選びには注意が必要と思います。

定員割れが一つの目安

首都圏なら山手線沿線、関西なら京阪神あたりに住んでいたり仕事をしていたりすると、ピンとこないというか、イメージしにくいというか、目を伏せてしまうというか…。日本には大学生なんてまだまだたくさんいるんもんだ、と考えがちですからそうでもありません。大学・学部によっては都心でも、さらに千葉方面、埼玉の北あたり、茨城方面などなどへ行けばどこも入学定員の学生数を維持することが厳しい状況。特に私大では授業料収入と同様、受験料と入学料の目減りは大学経営への深刻なダメージになります。そのようなポイントからの大学選びも必要です。

立ち直りは絶望的

民間の業績の悪い企業であれば、経営幹部の刷新、不採算部門・不要人員の切り捨てや、新規事業の立ち上げ等の問題解決へ向けたアイデアがあるかもしれません。、それが大学の場合(文科省への設置申請で縛られていることもあり)一度定員割れが発生した学部を特効薬を効かせて右肩上がりに持ち直すことは、現在の制度下ではまず不可能。※筆者のブログ記載はあいまい表現が多いですが、この件については、残念ですが自信があります。それでもそれなりに解決方法はありますがそれは次で。

そろそろ学部の身売り・買取りの時代へ

で、その解決方法は身売り。既に身売りではありませんが、類似の手段として、大学のグループ化や系列化、効率化で他の大学の一部となっているのはよく見かけることに。その例として、同系統のキリスト教グループのよしみで支援、協力を受けているものは良くみかけます。次の段階はホントの身売り。いくつかの学部がある大学なら、まだ使えそうな学部のみ売り出し、不採算な学部については清算してしまうような対応も近い将来日常のものになるかもしれません。

大学卒業と国家試験は別の話になってきた

これは医療系学部のお話が中心。筆者のような昔の人のイメージでは、大学というものは学生がそれぞれの国家試験を合格できる水準まで親身に一生懸命教育するという姿勢を持つのが基本だと信じていました。そして卒業式の際には『国家試験合格おめでとう!』をしていた記憶も。そんな牧歌的な時代から、大学は学生に対して『やることはやりました。あとは自分の努力で』という淡白で突き放されたお付き合いに変わっていくことを覚えていないといけません。

定員割れ全入の時代になると、学生の質は一段と低下します。わかりやすいのは薬学部で、薬剤師国試の合格者数を維持・増加させるため、6年間薬剤師になるため過酷な予備校教育を課してきました。それはそれでヒドイお話なのですが、大学側のフェーズはさらに次の段階に移ったことを入学を考える人たちと関係者は自覚する必要があると思います。これまでなら、留年で卒業を遅らせその間に一定水準の国試能力を得るまで勉強させるという手段をとっていましたが、全入・定員割れのレベルの学生では誰もが進級できなくなる状況になってしまい一段と教育のハードルを下げざるを得ません。

看護学部も同様、筆者個人的には定員割れの看護学部に行くなら(ホントに看護師にピュアになりたいのであれば)質の高い3年制看護学校を選ぶ方が良いかもしれません。最近の私大で新設される看護学部って看護を学ぶ人のために作るというより、授業料の安定確保のため安易に作られている印象。教員の質も学生の質も悪いようじゃ将来の展望はできた時から見えません。筆者の歳ならどうしても一昔前の法科大学院の乱造を思い出します。

まとめ 受験生・在学生は腹をくくること

定員割れ全入という時代、筆者がここで書いていることは目新しいできごとではなく(自然の摂理なので)前から誰も知っていた話。考えようによっては、誰でも簡単に入れることを逆手にとって学士資格(例えば法学部卒を履歴書に書ける)を得られる大学ユビキタス?の時代になったのかもしれません。特に受験する人が気をつけないといけないのは、大学卒業時に(仕事のため)国家試験を受ける必要がある学部。

ここで書いているようなことは、倍率のある大学を受験をすれば、今のところ教育の質の最低限は維持されている(はず)ので大丈夫と信じたいところ。えり好みさえしなければどこかの大学に入れる時代。だからこそ大学選びには慎重さが必要になると大学職員の立場として感じます。

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