FOU’s blog

日本の大学 今 未来

滋賀県にある大学 大学に『三方よし』はあるのか考えてみる

筆者の思いとしては、このシリーズは関西圏の大学の状況を知りたい様々な方に良いことだと思っていろいろ書いてきました。これで一応全部書き終えたのでこの滋賀県編で終わるようにします。ただ、気になる地域があれば今後も書いてみるようにします。なお、自分で書いてみて交通整理してみて感じたことは、それぞれの地域によって高等教育のあり方について考えるべきポイントがたくさん。特に少子高齢化社会の中、地方での高等教育のあり方についてはいろいろ考えさせられます。

滋賀県の地理を再確認してみる

滋賀県は真ん中に大きな湖がありますので、大きく湖東・湖西に分ける必要があります。基本的に湖東の方が賑やか。京都方面から東海道線琵琶湖線のという呼び名に変えて走っていて、北陸方面や名古屋方面へ向かいます。同じく東海道新幹線の通り道でもあり、滋賀県にある米原駅から岐阜県にある岐阜羽島駅の間の関ケ原あたりは冬になると雪で徐行運転をよくするところ。新幹線に乗っているときのイメージとしては滋賀県湖東の平野部あたりは、いろんな会社の大きな工場の姿が車窓からみられます。ここで取り上げる滋賀大学さん滋賀県立大学さんはどちらも湖東の彦根に主要なキャンパスがあります。また、国立の滋賀医科大学さんは京都に近い大津に学部・病院が設置されています。

湖の対岸・西側の湖西地域は、湖岸からすぐのところに山がある地形が続き、その山の中の代表格として京都に近いところには比叡山延暦寺)があります。また、冬になると湖西は雪がたくさん降るので琵琶湖バレイ等々のスキー場がある感じ、どちらかというと自然豊かな田園風景が中心な場所。また、湖東同様、京都からJR湖西線が湖沿いに走っていて、湖北の近江塩津駅で湖東方面からやってくる北陸線と合流します。

滋賀の大学を探してみる

和歌山と同様、web の mapでググってみると上記3校が中心となる大学。探してみると、京都にはたくさん大学があるのですが、滋賀はかなり少ない状況。また、特色として、京都に近い県庁所在地の大津市には、滋賀医大の施設と滋賀大学教育学部のキャンパスがあるくらいで大学の数的には、ちょっと寂しい印象。滋賀で大学がある場所はは、米原の近くの彦根市が中心。最近ではひこにゃんで有名になっていますが、そのあたりは、江戸時代からの彦根藩主井伊家のまちづくりが影響しているのかもしれません。

滋賀大さんの㏋には、わかりやすい交通案内がのせられていて、それによると、彦根まで神戸から100分、大阪から80分、京都からでも50分時間を要します。これはこのルートを一番速く走るJRの新快速でのもの。反対に北方面からなら福井県敦賀から60分、東方面では岐阜県の大垣あたりからなら50分で到着可能。ですので、神戸や大阪からの電車通学はかなり絶望的。どちらかと言うと、福井県岐阜県の一部エリアからなら、なんとか電車通学の希望が持てそうです。ただし、福井県方面については、さらに北に行けば日本海側国立大学の雄金沢大学のテリトリーになり、岐阜を越えて東へ行っても名古屋大学が控えていますので、質の高い学生を集めるには大きな努力が必要と感じます。また、滋賀在住の受験生にとっても、そう遠くない京都に行けばたくさんの大学があるわけで、この彦根の地にある大学を選ぶための魅力作りが必要になります。なお、湖西に住んでいる人たちは、一度(京都がすぐそこの)大津経由で乗り換えて改めて彦根に行く必要が生じます。なんとなく気持ち的には京都の方が近くてたくさん大学があるのになんで彦根という自問自答がおこるかもしれません。

この彦根の地は、戦国時代には多くの地域へとつながる交通の要害でしたが、現在は、いろんなところへ行くための単なる通過ポイントになってしまい、福井からくるにしても、岐阜からくるにしても、この滋賀の地にとどまるならばで得られるなんらかの学びのモチベーションが必要になると感じます。

この二つの国公立大学をご紹介をしますと、滋賀大学さんは、地方国立大によくある師範大学からの系譜・発展系ですが、途中で高等商業学校と合体したため、教育学部に加え経済学部ができました。さらに経済学(部)のフィールドを発展させ、数理統計学金融工学データマイニング的な学びを専門的にできるようにデータサイエンス学部ができたのが特色といえます。ちょっぴりプチ一橋大学のイメージもありますが、筆者や知人の国立大職員の(世間話的な)イメージでは、歴史ある経済学が強い大学だというのは感じるが、ご近所には京大経済学部もあるので、経済学部としての立ち位置、住み分けが難しい、なんてお話をしたことが記憶に残っています。

一方、滋賀県立大学さんも、公立大のよくあるパターンで、県立の農業や産業、看護の短期大学を束ねて一つにしたもで現在に至っています。この二つの大学の学生数を足すと6000人を越えますのでそれなりの規模を有する大学といえます。

この二つの大学のメインキャンパスは、どちらも彦根市内で数キロしか離れていない距離にありますが、それぞれの教育研究内容が被っているようで被っていないので、それぞれで今までやってこれたんだと思います。ただ、将来的には経営基盤の強化のため一大学化しても良いように感じます。

英語名称はOK

阪大と大阪公立大の間で、Osaka Univeristy/University of Osaka 論争がありました。特に地方では、県の名前をもちいた国立大学と公立大学が併存することが多く、その英語名称の取り扱いについて(昔はお互いテキトーなところがあって)どっちがどっちだか判別不能で今もやっている大学が結構あります。(例えば高知では高知大さんKochi University高知県大さんUniversity of Kochi の英語表記は今でもこのまま)このことについて、滋賀大の場合は、Shiaga Univerity滋賀県大は、The University of Shiga PrefecturePrefectureを入れてくれているので明確に区別が可能です。

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まとめ 三方よしはありませんでしたがまあなんとか…

滋賀県編では、なんとなくお話が湿っぽくなってきましたが、一応、奈良、和歌山、そして滋賀の大学について、国公立大学を中心に考えてみました。あまりまとまらないまとめとしては、改めて、地方にある大学の在り方が、首都圏や京阪神地区にある大学とは異なることを確認できました。

このような状況をよくするため、文科省でも(日陰気味だった)地方国立大にきらっと光る拠点化をおこない、存在意義を高めていこうとしていることは注目です。例えば、このブログで紹介した徳島大学理工学部さんや、新規に材料エネルギー学部を作る島根大学さんなどそれぞれの地域において研究拠点化を試みで大学の底上げを進めています。高校生・受験生の人も、大学卒業後もそれぞれの地域で生活をする予定なら、都会にある名前(だけ)の知れた私大より地方国公立大学を選んでみる価値は十分あると思います。

結びとして、滋賀県については、現実として、確かに大学は少ないですが、隣接する電車通学圏内の京都には多くの大学があります。滋賀県の大学関係者の人はたいへんかもしれませんが地元の高校生の人はそれほど困ることはないと思います。とりあえず、三方よしはなくても三方両損(そん)ではないのが今の姿だと思います。

島根大学(材料エネルギー学部) リンク切れがおこるかもしれませんのでトップからお探しください。

www.shimane-u.ac.jp

徳島大学さん理工学部理工学科のご紹介

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文科省さんもいろいろ考えて地方国立の活性化を考えています

www.mext.go.jp