FOU’s blog

日本の大学 今 未来

奈良県にある大学 国立大学の再編を前向きに考えてみる

奈良の国立大学再編は面白いかも

奈良先端科学技術大学院大学の先生との立ち話から

最近、某所で奈良先の先生(准教授)と10分ほど立ち話をしました。その時、奈良女さんに新設された工学部のことが話題に。

奈良先:『あれは奈良先にとっては困ったことに…』

筆:『なんで天下の奈良先さんがビビるんですか?奈良女さんの理工系なんて学生数は少ないし、やってることもリベラルアーツの延長的な存在で大したことないでしょ?』

奈良先:『いやいやそんなことはないんですよ。奈良女さんに工学部ができるとそれから先、受け皿となる大学院も拡充されるでしょうから、奈良先を志望する学生が減少するわけなんです…』

等々の(聞く人によってはたわいのない)お話をしました。で、筆者がこれは面白いなあと感じたポイント。これまでチマチマあった奈良にある文科省所掌の機関をうまくつなぎ合わせれば面白い科学反応が生じるかもしれません。

www.nara-ni.ac.jp

国立大学法人奈良国立大学機構の大学とその仲間たち

奈良国立大学機構は(東海地区や北海道地区でもやってますが)一法人二大学(奈良女・奈良教)のアンブレラ方式にして国立大学を取りまとめる組織。そもそも奈良女さんの学生数が約2000人、奈良教さんで1000名ほどなので、(なんとなく)集約化して運営した方が効率が良いような気持ちになります。でも、それだけなら、小さくまとまっただけなのであまり面白みがありません。そこで筆者は、今回の動きを奈良女さんの新設工学部を中心に取り上げてみます。もう一つの大学、奈良教さんは、師範大→奈良教と現在に至るまで歴史に忠実な教育大学ですので、具体的に大きな影響がでるのは奈良女さんという考え方で良いと思います。

奈良カレッジズ構想

この企画、まず、最初に奈良関係の人たちが(多分)考えついたのが、奈良の地の利を活かした学術・教育・研究の企画。奈良県全体、特に奈良市周辺には古都奈良ならではの奈良文化財研究所、奈良国立博物館があり(合わせて奈良高専、ちょっと地理的に少し離れているのと設置趣旨が多少異なる奈良先端科技大も一応対象)と協力関係を増すというもの。いわば奈良にある文科省系機関全てを掘り起こして二つの大学の活性化を図る試み。その中でも女子大という特殊性?を逆に活かしたリベラルアーツ的・文理融合型で工学部を作るのは(筆者個人的には)よく練られた非常に面白い試みだと感じます。※もともと文科省関係者だったこともあり書きぶりが文科省的になるところはご容赦ください。

女子だけで学ぶ理工系は面白いかも

近年、ダイバーシティSDGSという価値観が強まり、なぜ女子大として教育を行う必要があるのかについて注釈を入れないといけない時代になってきました。そんな中、工学部を女子大に新設するというとても面白い取組み。その筆者が考える面白いと考える理由の一つがコレ。だいぶん前(おそらく10年以上)、何かで見たか読んだのですが、海外の大学での研究で、自然科学系講義(例えば物理学)を行なう際、受講者を男女混合で行う場合と、男子だけ女子だけと同性のみ分けて実施した場合の、それぞれの教育効果について調査してみたというもの。その結果、男女混合での講義の際よりも、時として、女子のみで行われた講義の方が、男女混合の時と異なる独自の発想が生じやすい傾向あるとの結果が生じることもあるので、研究結果として、やってみる価値あり、との内容で結ばれていました。この試みを見ていて、筆者も同様に感じるところがありました。事例は全く異なりますが、看護学部の授業で(最近共学化が進んでいますが)女子だけ、男子だけ、混合でとバリエーションを変えて行う状況をイメージしていただければわかりやすいかもしれません(反対に余計にわからなくなった人はすいません)。ただ、漠然と何となく女性だけで行う工学部って異なる雰囲気で学べること、については、多くの人にイメージの共有がしていただけるのでは、と思います。

※念のため、この内容を書くため、このエヴィデンスをいろいろググって探したのですが見つかりません。こんな感じの生物学的実験的なアプローチで、性の相違の不思議についての興味深い事例として紹介されていました。機会があれば別の場でお話できればと思います。

薬学部より面白そう

(予備校の出す偏差値信奉者でない筆者ですが)だいたい奈良女さんへ入学するレベルの学生は京大、阪大、神大のやや下あたりの学力。そして理系が得意な女子高生のイメージになります。そうすると私大を含めて考えると受け皿となり競合する可能性がある学部は、薬学部や理学部が中心となることが予想されます。自然科学系の理学部は奈良女さんにもありますので、それを目指してみるのも可。また、現在の日本の社会的情勢から(資格をとったら一生食っていけそうな)薬学部を目指す女子高生もそれなりにいるかもしれません。そこからは最終的に受験する人の判断になりますが、筆者の考え方は、例えば、家族で医療関係の仕事をしていたり、本人自身が薬学・薬剤師に関心を寄せているのであれば、それはそれでOKですが、そんな感じで特に薬学に思いを抱く受験生とは別に、将来の選択肢を広く持っている女子高生には、筆者はこの新工学部をおすすめしたく思います。

fou.hatenadiary.jp

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その理由として、現状の薬学部のしんどさ。最低6年在学して、特に私大に入ると薬剤師受験予備校的な無味乾燥な学生生活を行い続けることを思えば、まず、学部で4年学び、やる気があれば博士前期(修士)、場合によったら博士後期まで(薬学部と比べれば)自分のペースでさらに学べ、研究できる選択肢を持てるところに魅力に感じます。

さらに現在のリケジョに対する認識の変化も後押しします。ダイバーシティーや少子高齢化男女共同参画SDGSなど様々要因から女性人材獲得の考え方が現実に理解、普及、浸透し始め、企業にも女性の理系高度人材の獲得を行なう考え方が高まってきました。また、女性が働きやすい職場づくりも(過去と比べれば)進んできています。そのような状況ですので、ちょっと前までの女子大理系って~的な(評価が下がるような)心配は必要ないと感じます。

最後に、注意事項があるとすれば、この工学部の魅力とともに少し注意しないといけないポイントは規模。旧帝大の工学部のようにフルラインアップで何でも学べる工学部ではありません。この工学部の設置趣旨に賛同して受験するのも一つの考え方としてありますが、基本的にはこれから自分がやりたいこと、そして自分の将来を考えてみて自分の学びに適合した分野・領域があるかを見極めたうえで選択する方が良いと思います。

予告:次の和歌山県編では薬学部の魅力をお伝えします。二律背反&節操がなくてすいません。和歌山には和歌山の事情があるということでご容赦を。

www.gender.go.jp

https://www.nara-edu.ac.jp/ADMIN/KYOUMU/2018_kaikensiryou.pdf

法人の布陣が興味深い

筆者の(なんちゃっての)玄人(くろうと)目線でもこの再編は興味深く感じます。この人事、誰が決めたのか?、この奈良での取組みを行なっている機構の幹部の人選が並のものではありません。※論評は筆者独自の知識と認識とご理解ください。

理事長:榊裕之さん(東大生産研・名誉教授)は、半導体・応用物理の分野で著名な研究者。

理事(総務・財務担当):榎本剛さんは、文科省キャリアで役員出向で奈良へ、多分2年程度このポジションに就きます。文科省では科学技術畑、学振でもキャリアあり、文化庁でも審議官のポジションにいた人。そのため、大学の活性化には適任、文化庁系の博物館などとも話をつけやすい。お仕事もとても良くされる方ですので事務サイドからのサポートの面でもとても頼りになります。

理事(教育・研究担当・※非常勤):西村いくこさんは、甲南大学退職後もそのまま学長直属特別客員教授。同時に少し前まで学振学術システム研究センター副所長のされていた方。日本の外部資金・科研費関係の取り扱いについてはエキスパート。理系の学部の活性化にはうってつけ。

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工学部客員教授石黒 浩さん(阪大基礎工栄誉教授):大学に関わらない人でもマツコロイドの設計などで知られる知能ロボットの権威。本務先は阪大ですが、週に一回でも大学に来てくれるだけで学生のモチベーションがあがると思います。

以上のような方々の顔ぶれだけを見るにつけても、単に小規模文系大学の統合を行うというイメージではありません。上からの改革となりますが、文科省が今後の国立大学の行く末を見据えた気合の入った再編を行うことが期待できます。なお、筆者私的に申し上げても(双方の個人情報を露出しないようにするためあまり書きませんが)この中のお二人については(仕事で)と東京や大阪で何度もお話した方。そのためもあって期待度は大です。

まとめ

いつものまとまらないまとめですが、この新設の女性専用工学部、大学全体の総定員の縛りがあって50名ほどの募集、ですが、関西圏のみならず、全国的に女性受験者の方やその家族の方には覚えておいていただいて良い学部たと思います。将来的にはお茶さんも同様な試みをされるようですが、東京と異なり、心地の良い地域性があるというところで差別化が出来るのが奈良女さんの強みだとも思います。合わせて、奈良カレッジズ構想により文系学部についても、博物館や研究所との交流が深まることは、教育研究の掘り起こしによる発展が期待できます。筆者の結論としては、今回の奈良女さんと奈良教さんを中心とした組織的統合は他の同じような悩みをかかえる地方国立大学へのモデルケースになるのではと思いました。

古都奈良を楽しむ

奈良女さん、奈良教さんがあるあたりを中心に観光案内。阪神間から奈良(市)へ公共交通機関で行くには近鉄奈良線かJR大和路線を使うのが普通。大阪平野奈良盆地の間には生駒山地和泉山脈と呼ばれる山々が連なっています。一番よく分かるの空から。羽田から伊丹行きの飛行機にのると伊勢湾から紀伊山地にはいり、奈良盆地の上を飛行。そして高度を下げつつ生駒山頂をかすめて大阪平野に入っていきます。その山々を通り抜けるため、地上からだと山脈の標高の低い部分や大阪湾へ流れる大和川に沿って電車が走っています。筆者の場合、近鉄を使って奈良に行くことが多いので近鉄ルートでご説明を。

【写真1】奈良公園1 近鉄奈良駅を降りてそのまま県庁などがある大宮通りを若草山のある東に歩いていくと奈良公園エリアに入ります。シカは駅近くの興福寺や県庁周辺にもいますが園内に入るともっとたくさんに。奈良女さんも県庁の近くにキャンパスがありますので普通に構内にシカがやってきます。

【写真2】奈良公園2 まずは東大寺、誰も知っている若草山春日大社もすぐ近く。奈良国立博物館もご近所

【写真3】奈良公園3 冬毛のシカ

【写真4】奈良ホテル1 奈良公園にほど近いところにあります。木造の洋館スタイルで歴史を感じさせます。

【写真5】奈良ホテル2 ホテル内もクラシック

【写真6】奈良ホテル3 施設内の様子1

【写真7】奈良ホテル4 施設内の様子2 良い雰囲気のレストランでお食事できます

【写真8】明日香村1 こちらは初秋の明日香村。場所は奈良市より南の方向。桜の美しい吉野山へ向かう近鉄吉野線沿線になります。最寄駅の飛鳥駅周辺にはレンタサイクルやさんがありますのでのんびりと走り回って散策すればHappyな気持ちになります。写真はのどかの光景を中心にしましたが、周辺には高松塚古墳、橘寺、飛鳥寺、奈良文化財研究所飛鳥資料館等々いろいろ楽しめる場所が盛りだくさん。

【写真9】明日香村2 彼岸花と田園風景に癒やされます。新緑のころもキレイです

【写真10】明日香村3 亀石 チャリで走っていると、こんな感じの古代石造物を点々と見ることができます。

【写真11】明日香村4 石舞台古墳 とおくから

【写真12】明日香村5 石舞台古墳 近くから

【写真13】明日香村6 川原寺跡はお食事処になっています

 

日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる 7 さっそく最終章の追記

これでこのシリーズはもう終わりかと思っていたのですが……

こんな恥ずかしいお話はみんなの益になりません

いろんなメディアの情報によりますと、田中前理事長さんが所得税法違反罪で(執行猶予付き)有罪判決を受けたあと、千代田区の日大施設に同窓会事務の引継ぎのため?複数回いらっしゃって、(関係する?)日大理事や同窓会関係者と直接対面されたとのこと。報告を受けた文科省は、日大さんからの答申書には田中前理事長さんやそれに関係する人たちとは決別しますと書いてましたよ!ということで、再発防止を求めました。そこで日大さんも関連施設を含む日大構内への立ち入り禁止(場合によったら警察呼ぶぞ)を伝える内容証明を田中前理事長さんへ郵送でお送りしたとのこと。

なんだか、田中前理事長さんは、ストーカーや反社会的勢力への対応と同様の扱いにされてしまいましたが、こんなことになるであろうことは薄々わかっているだろうに、行く方も行く方だし、来たからって会ってしまう人たちも会ってしまう人たちで、どちらにもがっかり。それでもいろいろ考えてみると日大の同窓会組織は大学に大きな影響力を有しているであろうことがわかります。

このような面白ネタの類(たぐい)って、(このブログもそうですが)様々なところで取り上げられてしまい良い印象を与えません。仮に本気で密談をしたいのなら、ホテルであったり料亭であったりのガードの固いところでやればいいものを、と感じてしまいます。また、田中前理事長さんのとりまきの人たちも、もう日大へは行っちゃだめですよ!と言ってあげれば良かったのに、とも感じます。

今回の事で感じたのは、私立大学は、国公立の大学とは異なり、見えないところで、様々な利害のある人がうごめいているんだなということ。日大のこれからも思ったよりも大変なのかもしれません。

4/19追記了

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3月31日に二つの第三者委員会からそれぞれ大学へ答申・調査報告書の提出を受け4月7日に文科省の高等教育局へごめんなさいをしてきました。

仏を作って魂が入るか

このシリーズの最初にも書きましたが、この手の報告・答申は難しいことがたくさん書かれていて読むのも邪魔くさく(特にブログとかでは)コメントするのは大変です。また、ガバナンスであったり内部統制であたりって、部外者にはその内容がよくわからないことがたくさん。日本大学内に独自の組織の抱える問題点があったりするので、健全な管理運営体制の構築とか言われてももう一つつかみ所がありません。特になぜこんなことが起こったのかの検証についてページを割いていますが、(筆者個人的には)そんなそれぞれの家庭の事情を説明されても、もう一つピンときません。それでもがんばって(全文は長過ぎなので)要旨を見ながらいろいろ考えてみたいと思います。

これから巨大組織をどう動かすのか?

まず、今回のようなトップの不祥事が起こると、その反動は、権力の分散の方向に進みます。だいたい、alumni 組織の厚遇、大学外部からの人材を(極度に)求めない、組織内の特殊で不明朗な利害関係者の出現等々があったとすれば、そのようなものを縮小化して、いわゆる民主的プロセスに基づいた組織運営を行なう方向に進むことになるのだと思います。そこで筆者が(要らぬ)心配をするのは、この大学の大きさ。日本のたくさんの場所に、高等教育だけでなく、初等中等教育までもたくさんやっている中、全国津々浦々からの声を東京にある中央執行部で拾い上げることができるのか?そこが今後のポイントになるように感じます。これだけ大きな教育組織になってしまうと傘下のすべてのニーズを汲み取るのは大きな困難が。田中前理事長さんの時代なら、少々のゴチャゴチャは握りつぶして(良くも悪くも)大学は進んでくれました。これまでの日大さんはそんな前理事長さんのやり方だからこそ(表面的には)全てをコントロールができたんだと感じます。

今回の答申は、中央組織の制度変更が中心に書かれていますが、特に巨大組織の大学でもあるので、上部だけ雰囲気を変えても田中前理事長さん的なものの払拭のためには足りず、もう少し下位の組織制度改革にも取り組むことについても明記した方が良いように感じました。特に大学の場合、部局(学部のこと)自治の必要性も求められますので、たくさんの意見の聞いてみんなの声を拾うことは民主的で良いことだと思いますが、当然、新たな執行部の人たちの大学運営はたいへんになるように感じます。筆者は他人なので他人事になりますが、こんな時には本当は優れた啓蒙専制君主があらわれてくれて、なんでもトップダウンの采配でうまくコントロールできればホントに助かると感じます。

女性人材のゆくえ

人事制度改革の一環の中、ジェンダーバランスという表現で女性人材の登用が記されるようになりました。会議での改革内容の洗いだしの際は、もう少し盛り上がっていた気がしましたので、少しトーンダウンした印象。特に医学部、歯学部を中心に、女性が学びやすい、勤務しやすいだけでなく女性の教授クラスの登用が進むと大学の風とおしの良さを実感できるのになあと感じます。このようなチャレンジは数値化しないと前には進みません。例えば、そんな目標として、10年くらいをスパンとして、全職種において最低30%を女性に充てることを目標とする取組みがあると好印象だったので少し残念。(ちなみに筆者はオトコです。念のため)

競技部への思いが印象的

漠然とした印象ですが、筆者のいるような大学では、学生の部活動的なもののあり方を答申の文章の中へ入れることはまずありません。この大学では、教育研究と同様もしくはそれ以上に学生スポーツに力を入れていることが分かります。これ以上のコメントはしようもありませんがこの大学の特色として覚えておくほうが良いとおもいます。

まとめ まだまだありそうなこんなこと

今回のゴタゴタは、アメフトタックルの前振りがあり、日本最大規模の私立大学で起こる病院建て替えの様々な疑惑にお相撲さんやちゃんこ料理屋さん等々の面白ネタが加わり、メディアでの取り上げ易かったんだと感じます。日大さんのお話は、一応これでけりがつきましたが、今現在も、どこの大学でもその将来は前途多難であるはずなのに、怪しげな経営を行なっている大学は結構見受けられます。筆者個人的には、(HPをちょっとのぞけば)見てすぐ分かる行く価値のない大学なのですが、それでも、それなりに学生は入って存続している状況。やはり受験する側の学生や家族にとってはアホでダメな大学だとわかっていても学士をとれるのならそれでもかまわない的な考えの人に支えられているのかもしれません。

これから大学を受験してみたい人やその家族のみなさんは、日本の大学(特に私大)の中にはいろいろ怪しいことがあるのだということを大学入試的な視点以外からも知っておくことを筆者はオススメします。

このシリーズ一応これでおわります

 

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大阪公立大学 超新星が旅立ってしまったことを『やっぱりなぁ~』の気持ちで考えてみる & キューバ旅行記

斎藤幸平さんは大阪公立大学開学の前日静かに東京へ旅立ちました……

こんな出来事でも、競馬誌みたいに自分の予想が的中したらPRをしないといけません。やはり筆者の思っていたミスマッチ感は正しかったということ。でも、ホントは非常に多くの人たちも薄々そう感じていたのかもしれません。

やはりミスマッチでした

4月1日から大阪公立大のHPから斎藤幸平さんのお名前が消えました。あれっと思って調べてみたらすぐに発見。4月からは東大総合文化研究科へお名前が移っています。今から思い返してみれば、新大学に移行するこんな重要な時期なら、大阪公立大としても客寄せパンダ的にいろいろなところでPRに使えただろうに、それが結構静かだったのはそんな事情があったのかもしれません。多分東大からの割愛(かつあい)依頼大阪市大に届いたのは数ヶ月前だったでしょうから、この時点で大学としての慰留は絶望的。所謂詰んでいたんだと思います。

せっかくの機会?でもありますので筆者も大阪公立大(現在)をなんで辞めてしまったのか、最寄り駅のJR阪和線杉本町駅が1時間4本の4両編成の各停しか止まらず、しかも必ず快速通過待ちをしないといけないイライラ感以外にも理由があるはずです。

これまでの経済学というカテゴリーでもない

(筆者の考えでは)斎藤さんの研究は、特定の専門領域を有していません。分かりやすい事例でいうと科研費の分科細目。斎藤さんの研究は、筋の通った経済学のような確固とした専門領域というより、歴史であったり、哲学であったりもプラスされた、学際・複合領域のポジションにあるのだと思います。また、当然、これまで日本でやっていた古典的なマルクス経済学とも言えません。現在の大阪公立大の経済・経営の先生たちはどちらかというと従来型の研究者が多いので彼を受け容れてくれる居場所も限られてしまう可能性がありました。

【写真】十数年前、とある出張で大阪市大へ行ったとき、生協食堂で食べたたこやきうどんの天かすのせ。斎藤さんもこんなものを毎日食べていたのかもしれません。

新しい所属先・東大総合文化研究科との相性

斎藤さんが行くことになった駒場にある総合文化研究科・教養学部は、東大の中でも特色ある教育研究組織。特に教養学部としては、日本の大学における一般教養という課程での教育がうまくいかない中、(東大というブランドもあるので)特色のある教育を行なっています。確かに斎藤さんは、アメリカでの学びの中でもリベラルアーツ系の大学で学んでいましたので、専門色の濃い系統だった学問を行なう組織より、このような緩め研究科で、いろいろ学べ・いろいろな研究が混ざり合う雰囲気がお好きなのかもしれません。ただ、長く東大で骨を埋めるかというとこれまた?。彼ならアメリカの大学からのスカウトも引く手あまたでしょうから、東大でのポジションも一定の時間が経過したら、いつの間にか消えてしまって日本からいなくなっているかもしれません。

斎藤ロスに大阪公立大は

多分、一番のがっかりは、斎藤先生に会えることを夢見て入った新入生。あれだけ年末年始NHKのテレビ(BS1とか)を中心に露出していたら、この先生と学びたい!と考え一生懸命勉強してきた若者はたくさんいたはず。呆然とする学生に対して、大学としては、自分の思うようにならない世の中の厳しさを学んでもらうしかありません。

彼は結局大阪公立大学リトマス試験紙だったのか?

ちなみに大阪公立大の事情通に話を聞いてみたら、この大学は結構若手の教員が行ったり来たりするのが盛んで、そんなに驚くべきことでもないとのこと。例えばノーベル賞を受賞した南部陽一郎さんは、実質大阪市大にいたのは3年ほど、同じく山中伸弥さんは、大学院にポジションがあったため少し長めですが、それでも9年足らず、その下積み生活を経て、大きな成果が出だしたのでは奈良先端科学技術大に入ってから以降となっています。教員についてもキャリアパスとうか人材流動性というものは大切だと思います。斎藤さんの大阪市立大学での時間は、5年ほどでしたが大学にとっても様々な力がもらえて、そんなに悲観すべき話ではなかったのかもしれません。どちらかと言えば、斎藤さんは正しい道を歩んでいて、反対に辞めないまま漫然と居続ける教員の方が問題なのかもしれません。

この項は一応これで終わり。ですが、これも何かのご縁?ですので、斎藤さんの行く末を今後も追いかけてみたいと思います。

 

多少強引にキューバ情報

斎藤さんの割愛を記念して?、今でもマルクス・レーニン主義でやっているキューバについて考えてみたいと思います。とは言っても政治色ゼロの単純な旅行記キューバアメリカからは嫌われていますが、それ以外の国とはそんなに仲が悪いわけでもありません。西側諸国と比べれば物価が安いというメリットもあり、カナダ・ヨーロッパあたりからは多くの観光客が訪れます。筆者の場合は、カナダから。日本→カナダ・トロントキューバハバナというハードなルートで訪問しています。行ってみると結構楽しい旅になると思いますので読んでいる皆様にもオススメ。せっかくなので写真たくさんでご案内します。

【写真1】ハバナ旧市街1 スペイン語が飛び交い、こんな雰囲気で食べるところがたくさん。観光客としていけばどこにでもある普通のトロピカルなリゾート地と変わりはありません。

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【写真2】ハバナ旧市街2 古めの白バイ よく見るとYAMAHA

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【写真3】ハバナ旧市街3 ベイエリア  随所に砲台跡があります。

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【写真4】ハバナ旧市街4 ベイエリアの一角にある支倉常長像。慶長遣欧使節としてメキシコ・キューバに立ち寄ってさらにスペイン・イタリアへ向かったようです。そのメモリアルとして設置されています。

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【写真5】ハバナ旧市街5 旧市街の観光地。(名前を忘れてしまいました。)施設の中を優雅に孔雀が歩き回っていました。

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【写真5】ハバナ旧市街6 良く話題になるキューバの現役クラシックカーアメリカの経済制裁が主な理由といわれていますが、ここまで古いと楽しんで使っているようにも感じます。

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【写真6】Hotel Florida  ハバナで泊まったホテル こんな建て方を British Colonial Style などと呼んでよいものか?筆者の知識不足でよくわかりません。建物自体は老朽化が進んでいますが丁寧に管理されています。日本人的に名前と雰囲気だけみると見ると凄そうなホテルに見えるかもしれませんが普通クラスの部類です。

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【写真7】Hotel Florida の Restaurant1 タイムスリップしたような良くも悪くも Authentic な雰囲気を感じます。革命以前はアメリカなどの富裕者層が楽しんでいたんだなあと思います。

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【写真8】Hotel Florida の Restaurant2 お皿に見える食材はロブスターなのですが、キューバではロブスターは国有財産として管理され(多分)一般庶民には手が届きにくいもののようです。(不確定情報)

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【写真9】ハバナ旧市街7 旧市街にある旧国会議事堂 革命以前、(不正と搾取で?)リッチだった当時の政府がアメリカの連邦議事堂をマネして作ったものらしい

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写真10】ハバナ→バラデロ(Varadero)へ向かうバス バラデロは海外観光客向けに開発されたリゾートエリア。アメリカ人は当然来ませんが、リーズナブルな価格設定なのでカナダやヨーロッパの人はたくさんやってきます。

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【写真11】バラデロ アミーゴ!

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【写真12】バラデロ 泊まったホテル1  Hotel Palma Real いたって普通でした。

【写真13】バラデロ 泊まったホテル2 家族向けのそこそこのレベルで、All-inclusive Style にしているのでお金を一度払ったら追加料金を気にせず楽しめる設定になっています。

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【写真14】バラデロ どこのホテルからでも歩いてすぐにビーチにたどり着きます。バラデロの利点は、地元の人の制限エリアにあるビーチなので、タイのパタヤプーケットみたいに、飲み物買えだの土産物買えだのの人がやってこないので静かに過ごすことが可能。

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【写真15】バラデロ いわゆるバスクリン的な海の青さ ゴミもなくて綺麗です。 f:id:FOU:20220417220626j:plain

【写真16】バラデロ どこかの施設。日本人の観光客的な目線でなにげにワクワクしてしまいます。

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【写真17】バラデロ キューバのイヌも暑いので日陰を求めます

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【写真18】ハバナ旧市街8(バラデロから戻ってきました) 普通の日本人には見慣れない光景なので印象に残ります。このあたりを見ると観光振興と海外資本等が入ればもっと発展しそうに感じました。

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【写真19】ハバナ市街9 旧ソ連製?の戦車(突撃砲タイプ)が何気なく飾られています。

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【写真20】ハバナ旧市街10 革命の博物館 革命当時?のプロペラ機などを展示

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【写真21】ハバナ旧市街11 革命の博物館 こちらは旧ソ連製?のT34戦車

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日大の出来事を感じながら私立大学の有り様を考えてみる 6 最終章

3月31日に二つの第三者委員会からそれぞれ大学へ答申・調査報告書の提出を受け4月7日に文科省の高等教育局へごめんなさいをしてきました。

仏を作って魂が入るか

このシリーズの最初にも書きましたが、この手の報告・答申は難しいことがたくさん書かれていて読むのも邪魔くさく(特にブログとかでは)コメントするのは大変です。また、ガバナンスであったり内部統制であたりって、部外者にはその内容がよくわからないことがたくさん。日本大学内に独自の組織の抱える問題点があったりするので、健全な管理運営体制の構築とか言われてももう一つつかみ所がありません。特になぜこんなことが起こったのかの検証についてページを割いていますが、(筆者個人的には)そんなそれぞれの家庭の事情を説明されても、もう一つピンときません。それでもがんばって(全文は長過ぎなので)要旨を見ながらいろいろ考えてみたいと思います。

これから巨大組織をどう動かすのか?

まず、今回のようなトップの不祥事が起こると、その反動は、権力の分散の方向に進みます。だいたい、alumni 組織の厚遇、大学外部からの人材を(極度に)求めない、組織内の特殊で不明朗な利害関係者の出現等々があったとすれば、そのようなものを縮小化して、いわゆる民主的プロセスに基づいた組織運営を行なう方向に進むことになるのだと思います。そこで筆者が(要らぬ)心配をするのは、この大学の大きさ。日本のたくさんの場所に、高等教育だけでなく、初等中等教育までもたくさんやっている中、全国津々浦々からの声を東京にある中央執行部で拾い上げることができるのか?そこが今後のポイントになるように感じます。これだけ大きな教育組織になってしまうと傘下のすべてのニーズを汲み取るのは大きな困難が。田中前理事長さんの時代なら、少々のゴチャゴチャは握りつぶして(良くも悪くも)大学は進んでくれました。これまでの日大さんはそんな前理事長さんのやり方だからこそ(表面的には)全てをコントロールができたんだと感じます。

今回の答申は、中央組織の制度変更が中心に書かれていますが、特に巨大組織の大学でもあるので、上部だけ雰囲気を変えても田中前理事長さん的なものの払拭のためには足りず、もう少し下位の組織制度改革にも取り組むことについても明記した方が良いように感じました。特に大学の場合、部局(学部のこと)自治の必要性も求められますので、たくさんの意見の聞いてみんなの声を拾うことは民主的で良いことだと思いますが、当然、新たな執行部の人たちの大学運営はたいへんになるように感じます。筆者は他人なので他人事になりますが、こんな時には本当は優れた啓蒙専制君主があらわれてくれて、なんでもトップダウンの采配でうまくコントロールできればホントに助かると感じます。

女性人材のゆくえ

人事制度改革の一環の中、ジェンダーバランスという表現で女性人材の登用が記されるようになりました。会議での改革内容の洗いだしの際は、もう少し盛り上がっていた気がしましたので、少しトーンダウンした印象。特に医学部、歯学部を中心に、女性が学びやすい、勤務しやすいだけでなく女性の教授クラスの登用が進むと大学の風とおしの良さを実感できるのになあと感じます。このようなチャレンジは数値化しないと前には進みません。例えば、そんな目標として、10年くらいをスパンとして、全職種において最低30%を女性に充てることを目標とする取組みがあると好印象だったので少し残念。(ちなみに筆者はオトコです。念のため)

競技部への思いが印象的

漠然とした印象ですが、筆者のいるような大学では、学生の部活動的なもののあり方を答申の文章の中へ入れることはまずありません。この大学では、教育研究と同様もしくはそれ以上に学生スポーツに力を入れていることが分かります。これ以上のコメントはしようもありませんがこの大学の特色として覚えておくほうが良いとおもいます。

まとめ まだまだありそうなこんなこと

今回のゴタゴタは、アメフトタックルの前振りがあり、日本最大規模の私立大学で起こる病院建て替えの様々な疑惑にお相撲さんやちゃんこ料理屋さん等々の面白ネタが加わり、メディアでの取り上げ易かったんだと感じます。日大さんのお話は、一応これでけりがつきましたが、今現在も、どこの大学でもその将来は前途多難であるはずなのに、怪しげな経営を行なっている大学は結構見受けられます。筆者個人的には、(HPをちょっとのぞけば)見てすぐ分かる行く価値のない大学なのですが、それでも、それなりに学生は入って存続している状況。やはり受験する側の学生や家族にとってはアホでダメな大学だとわかっていても学士をとれるのならそれでもかまわない的な考えの人に支えられているのかもしれません。

これから大学を受験してみたい人やその家族のみなさんは、日本の大学(特に私大)の中にはいろいろ怪しいことがあるのだということを大学入試的な視点以外からも知っておくことを筆者はオススメします。

このシリーズ一応これでおわります

 

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ついに大阪公立大学が開学することを冷めた目で冷静に考えてみる その2

少ない訪問者の皆様。現在多忙で更新遅めですが、落ち着いたらピッチをあげますので少々お待ちください。今回は小ネタで場をつなぎます。ネタはまだまだありますので、これからも皆様のお役に(少しでも)たてるように頑張ります。

開学しましたけどあんまり…

結局みなさん冷めていました。NHK等々関西系のテレビなどでは、最後の卒業式、最初の入学式的な視点で(いつもよりは)取り上げられている程度。たしかにローカルネタなので関西圏外ではもっと関心が低いのも当然と思います。次の新大学にかかる大規模行事は、4月11日に大阪城ホールで予定されている入学式・開学記念式典。府知事や市長あたりがくれば少しは盛り上がるかもしれません。

公立大学法人大阪のHPをみていると 2022年度の役員体制(7人)について というのがあり、ご立派な男性幹部7名のお姿を拝見することができます。このことはUniversity of Osaka の時も少し書いていますが、筆者目線では、私たちの大学は男性中心でやっていますの決意表明にしかみえません。基本的に日大さん同様、世間からかけ離れたこの大学の旧態依然の状態を垣間見ることができます。こんな大学に限ってSDGSで頑張っていますなんてしゃーしゃーとコメントをいれることがありますので、受験生、一般の方は(偏差値だけでなく)要チェックだと思います。

 

おいしいお店

今年のホワイトデーはこちらのお店にお願いしました。本店は奈良県生駒市にあるようですが、筆者が購入したのは、JR神戸線住吉駅北側すぐのお店。お店の人のお話によると毎日焼菓子等々を生駒から運んできているそうです。お値段少々お高めでしたがおいしくいただくことができまました。

【写真1】お店入口

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【写真2】商品いろいろ

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【写真3】あけたらこんな感じ

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konditorei-detti.com

 

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ついに大阪公立大学が開学することを冷めた目で冷静に考えてみる

開学前夜

ついに4月1日、大阪公立大学が誕生します。JRの駅や車内の広告でこのコピーレイアウトの展示がたくさん。(山手線的な)環状線にはラッピングした電車も走っているようです。筆者の場合、JRの三ノ宮駅界隈や大阪駅界隈で見かけます。筆者の印象では、多分携わっている人たちは盛り上がっているのでしょうが、知らないヒトは知らなくて興味もない感じです。首都圏もそうでしょうが、神戸や京都のヒトもそれほどの関心事でもありません。とはいえ4月からの動きも見守っていくつもりです。また、このブログを眺めている奇特な方々も、この関西・大阪での出来事に関心をもっていただければ。

【写真1】JR大阪駅3階改札口横の広告。こんなのがJRの主要駅みられます。

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【写真2】3階から北方向に歩くとグランフロント方面へ

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違う話ばかりで肝心の獣医学部自体は大丈夫かを考えてみる

結局、学部を新設する際のミステリアスな経緯とその登場人物の豊富さで盛り上がったのですが、肝心の獣医学部の必要性云々については忘却の彼方へ消え去って行きました。政治云々の話よりなぜ獣医学部だったのかを今更ですが考えてみます。

獣医学部はどこへ行く

モリカケとかで騒がれていたのが2017年ではや5年過ぎてしまいました。盛り上がった内容は登場人物豊富の政治案件が中心。獣医学部のあり方に自体については議論の片隅に追いやられてしまいました。結局認められた獣医学部は、構造改革特別区域構造改革特別区域に選定され今治にできた岡山理科大さんのみ。ここではそもそもの獣医学部について考えてみます。

地域偏在性が良くない

当たり前ですが、日本のどこにでも動物はいるわけで、豚コレラ鳥インフルエンザのような家畜伝染病の対応を都道府県なり市町村で家畜の病気への対応ができる専門知識を有する人材(獣医公務員etc)が今以上にいても(というか足りないので)良いと感じます。

現在の日本では、全体的に東日本に獣医学をやっている大学が偏り傾向。一番ひどい地域が関西で、大阪府立大学(獣医学類)の入学定員40名のみ。筆者の根拠に基づかない相場観ですが、関西圏で獣医師になりたい人がいても入学定員40人のみの狭き門。それも関空の対岸りんくうタウンという場所にキャンパスがあるのも(海外へ行くなら便利ですが)通学には辛いと感じます。ちなみにこの泉州地域は秋になると岸和田を中心にだんじりで盛り上がります。

同様に、四国エリア、今回新設された岡山理科大さんのが出来るまではゼロ。四国のうしさん、ぶたさん、にわとりさんが病気になっても四国の中には獣医師さんを育てる教育研究機関はなく、四国外に依存しなかればなりませんでした。方や対岸の山陽道には、岡山理科大に設置されましたが、学部自体は四国今治。広島にも無くて西端の山口大までありません。また、山陰地域の鳥取農学部にも獣医学分野はありますが、中国山地が隔てているので行き来は結構不自由があります。

募集定員の不可解さ

そもそもとても長い間、獣医学部の入学定員キャパが1000人未満なので、新設岡山理科大学さんの140人というのは(理由はよく分かりませんが)黒船襲来というか他の大学へは何かしらの脅威になるのだと思います。反対に言えば今の国立大学の場合、大学毎の募集人員が40名ほどでは、獣医学のフィールドだけで自立的に学部編成できず、他の大学と合わせて共同学科を編成せざるえない不可解な状況が続いています。もちろん薬学部のように作りすぎてボコボコになってはいけませんが、5年から10年くらいかけて徐々に定員を増やして、最終的に2倍増くらいにしても様々な社会的な要請に応えることができ、たくさんの人に喜んでもらえると感じます。研究分野全体としても、その定員増で今のような、農学部の一学科に甘んじている状態から一学部・一研究科に格上げができ、獣医学というフィールドのプレゼンスをも上げることが出来るのでないかと感じます。

全国の入学定員自体1000人を切ってますので、教育は、獣医学部という名前でやらず、特に定員に厳しい国立大では、農学部の中の一学科程度の存在。関西なら(設置の可能性があった)京産大さんや(日大さんはあるので)近大さんあたりで新設しても良いように感じます。その当時、経済特区での選定が岡山理科大さんにしか認めらなかった際、京産大さん側は、もう一校作るだけの教育研究資源が足りないという理由で追加応募を断念した(と言われている)のなら研究基盤の脆弱さについても考える必要が生じます。

漫画やアニメの業界で働きたい、声優になりたい等々の気持ちの強い若者のため、専門的に大学で学べるようなオンリーワン志向の大学であれば日本に数校で良いような気がします。一方、獣医学部については、全国で一定の需要があるのですから、一定数の大学があって教育・研究が行われている環境が保持される方が良いように感じます。ついでに獣医学部に動物看護師の学科なども附置すれば社会的な要請にもさらに応えられそうですし、(特に私学なら)大学の収益にもつながると感じます。

当たり前ですが獣医師は医師ではありません

お名前的に医師がついて、(動物)病院内にはCTやMRIがあって、手術着を着て、注射をしたり血液をとったり難しそうな治療をしています。ただ、一般の人が注意しないといけないのは、対象が人間以外の生き物であること。ですので、コロナのワクチン接種に助っ人として獣医師さんが応援に来てくれて、ワクチン接種のヘルプをすることはあり得ない。万一そんなことがあったら接種に来た普通の人もびっくりします。同様に、ご家族がご自宅で急に体調を崩しても、急患で犬猫病院の先生にお世話になる選択肢は考えられません。

このことを見つめてみると、獣医師という人たちは、例えば大学で医学部や歯学部の仲間とはちょっと違った存在であると考えられます。ですので、医学部の中に獣医学科が設置されることは(今のところ)絶対ありません。例えば、ブタさんの心臓を用いてヒトへの心臓移植に試みる場合も医学部の医師が全てのプロセスで中心となっていきます。ざっくりした説明ですが、獣医師さんの仕事を理解する上では大きなポイントであると思います。

獣医師会さんの強気が不気味

直接のリンクや引用はしませんが、公益財団法人日本獣医師会さんのHPには、私たちはしっかり自立的にやってますよ、ちゃんと自分たちやってるんだからみんなごちゃごちゃ言ってこないでください!的(に筆者には読める)なコメントと彼らなりのエヴィデンスで獣医学部の定員増についての否定的コメントが満ちています(関心のある人は直接読んでみてください。)。そんなんで獣医師業界への外部からの声にはなかなか耳を傾けてくれない体質を反対に良く表しているように感じます。

獣医師試験についても、これだけコミュニティが小さいと、今年は誰がどの問題出題しているか(薄々)分かってくるレベル。なんとなく緊張感に欠け国家試験で不正行為等々はないとしても何もかもがマンネリで新しいものが生まれる仕組みは生じそうにありません。

まとめ

いつものとおりまとまりませんが、大学職員で働いている人たちの中でも獣医学の分野のお仕事に携わること自体非常にまれ。一体どんなカリキュラムでどんな授業をやっているのかも知る機会も多くありません。今回の出来事は、大学における獣医師教育にスポットがあたる良い機会になりました。

Coffee Break

一つ目、この項を書くためにいろいろパラパラ眺めていましたが、一例として鳥取県にある一般向けの犬猫(動物)病院って結構しっかりしているな、と感じたこと。なぜ鳥取県を掘り下げたかというと、亡母方の田舎が鳥取県倉吉市ということもありました。例えばその倉吉の犬猫病院の先生が、現場レベルで治療方法に疑義があれば、近隣で相談できる専門研究施設(鳥取大学)があるというのは、獣医師の人たちも頼りになるんだと感じます。

なお、診療する生物をイヌ・ネコに限定しているところ(犬猫病院)がある一方、鳥、は虫類、カメetcまでよろず相談できる病院も結構あります。近隣住民の要請もあるのでしょうが、どんな生き物がやってくるか分からない大変なお仕事のようです。関心のある方はいろいろググってみてください。

二つ目は競走馬のお話。日本の競馬界はかなり世界に追いついてきました。このあたりは調教師さんの頑張りもありますが、裏方と言える獣医師さんたちの研究水準の向上も大きいと感じます。競走馬のトレーニング法、ノド鳴り喘鳴症)や屈腱炎のような競走馬としては不治の病といわれたものへの治療も進み、少しずつ光明が見えてきたように感じます。二つ目は読まれていて意味不明な方も多いかもしれませんが、見えないところで獣医師さんの存在は欠かせないということが書かれているとご理解ください。

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